第1位
個人評価点:121点 ( 126-5 ※減点の5点は分厚すぎること )
『 恥辱という名の真のSM概念 』
著者:きあい猫
タイトル:ベスト・オブ・きあい猫 ~ スカトロ・セレクション
発行:東京三世社
発売:2009年4月3日
ISBN:978-4-8126-2708-2
露出・主従関係・スカトロなど 変態性交一直線で 築きあげたる金字塔な 記念すべき著者の10冊目は タイトルどおりのオールスカトロジー作品な短編全12編を収録し カラーイラスト4頁 および イラスト入り後書き1頁付属な 総238ページ
カバー折り込み部片面にカラーイラスト アリ
カバー内は特に無し
単行本初収録となる 『 バックオーライ 』 を除けば 全作品既出作品
なので 既刊をすべて揃えちゃってるコアなファンの方なら いちおう注意が必要だけど 実は この 『 バックオーライ 』 も含めて7作品が大幅に手直しを加えられていて 作品としての完成度が桁違いなため 既刊を所持していてもぜひ手に入れていただきたい逸品です
まさに 変態な皆様方へのバイブル的な一冊
無論 変態には興味のない皆々様には無用の長物です
端的に言えば まんこにちんちんを挿入しなきゃセックスじゃない と頑なに感じている方には抜けません
さて 収録作品でありますが
きいろ猫名義の2冊目 『 嗜虐 ~ よごれ ~ 』 より
『 たがために 』 『 スルメ 』 『 冬も好きなんです 』 の 3編
4冊目 『 公然 ~ おそと ~ 』 より 『 車内放尿 』 『 粗大グソ 』 『 本当の彼女 』 『 困った 』 の 4編
6冊目 『 排泄 ~ えねま ~ 』 より 『 外便 』 『 暖泥 』 『 必要条件 』 『 中華連結 』 の 4編 が 再録され
『 バックオーライ 』 『 たがために 』 『 スルメ 』 『 冬も好きなんです 』 『 車内放尿 』 『 困った 』 『 暖泥 』 の7編が 手直しされてます
まあ 手直しというよりは描き直しレベルですね
コマ割りやセリフは変わらないものの 男女の表情がすべて描き直されているところで 想いが生き生きと発揮されてて 単なる愛蔵版で終わってないところがステキすぎました
乳輪のトーンと乳首の描き方で これほど雰囲気が変わるというのも ちょっと新鮮な発見でありました
手直し後の陰毛は綺麗に整えられているのですが 個人的にはナチュラルな方が好みなので そこだけがちょっと微妙でしたが
でもリアルよりファンタジーな方が受け入れてもらいやすい市場なので 需要的にはきっと好いことなんじゃないかな と
ウンコをひり出す肛門の収縮の描き直しが圧巻でありましたよ☆
描かれた当時は当時なりに きっちりと想いを表現する手法で描かれてたことは充分に読み取れますが 改訂にあたって 『 ひとに感動を与えるための手段としての技法 』 の進化が あまりにも如実であることに驚かされたしだいで
ほとんどすべてのコマで 相手に対する想いや 現状に対するテレや 喜怒哀楽という単純心情形態を飛び越えたところにある微妙な想いのブレンドまで届いてきてステキすぎましたナ
巻頭の 『 バックオーライ 』 は未読だったため この時点では判りませんでしたが 2編目の 『 たがために 』 を読み終わって激しく感動
ストーリーは完全に同じなのに違うドラマとして感じることしか できなかったのですね
『 困った 』 のラスト2頁で 彼女のキモチがまったく違うものに感じられましたし、 『 車内放尿 』 に至っては もう別のドラマみたいな輝きでした
ストーリーラインにはいっさい触れないところでここまで魅せてくださっとことに 本来なら素直に感嘆すべきなのでしょうが 寧ろ 作家としての誇りこそを強く感じずにはいられないオイラなのでありました まる
最近の出版傾向としての 東京三世社の強めの消しが気になっていたのですが 既刊より改善されているのも嬉しいところ
成コミの好さは消しだけじゃ測れませぬが やっぱりポルノ解禁に向けて関係者各位様には一歩ずつでも努力して欲しいと個人的には願ってますしね
個人的に超大好きな 『 冬も好きなんです 』 『 困った 』 『 外便 』 『 本当の彼女 』 『 たがために 』 が収録されててとても嬉しかったです
無論 『 必要条件 』 は すべての真性SM愛好者に絶対に見て欲しいバイブルですし 『 粗大グソ 』 『 暖泥 』 は 今回は残念ながら漏れちゃった 『 クソ虫 』 『 可愛い妹 』 などと並んで スカエロ漫画の名作ですし
さて 本当に素晴らしいセレクションでしたが オイラ目線で言わせていただければ ベストセレクションに入れて欲しい作品群はまだまだたくさんあります
本当はスカという括りよりも スカ・露出・自慰・主従関係を包括するところでのSMを プレイそのものよりも 主に女性に目覚める精神的なM性というところから描かれているのが きー猫ちゃまの本質なんじゃないかなと勝手に解釈させていただいてますので 括られちゃうとかえって難しくなっちゃう面もあるのですが 『 だって好きなんです 』 『 仕えるということ 』 『 日記 』 『 プレゼント 』 『 ほんとのトコロは? 』 『 商品価値 』 『 可愛い妹 』 『 クソ虫 』 『 野外のススメ 』 『 水の奴隷 』 あたりは最低でも スカトロ・セレクション2として発刊して欲しいところ
無論 露出・セレクションの方もできるだけ早期にお願いしたいのですが 問題はそういう枠に収まらないタイプの名作群で 『 雨雲と月 』 や 『 夢の向こうに ~ 絆 』 や 至高の名作露出劇 『 甘露 』 といった作品群をどうしてくれるのか?というところも含めて 個人的欲望を言えばキリがないのですが なんとか売れまくって次回作が発刊させることを祈ってるしだい
単行本未収録作品のなかには まだ未読のものもありますので 東京三世社様 ぜひぜひヨロシクお願いいたしまする
記念すべき10作目が 名目ともにベストで嬉し涙でございました
素晴らしい単行本を 本当にありがとうございました♪
ってなワケでノーガキはほどほどにして
レビューモドキ?です ( 爆
『 バックオーライ 』 ( 16頁 )
アダルト商品開発者のカレシがカノジョに頼み込んで 商品のモデルになってもらうというシチュで
放尿ぶっかけがイミナシじゃね?と思えるくらいカレシの発想がボケすぎてて ぶっちゃけおもしろくない
プレイに終始しちゃってテレの演出も不足しているためエロももう一歩
『 たがために 』 ( 20頁 )
でもって今度は簡易トイレのモデルのため 弱冠2センチの肛門を 人前で4センチのウンコをひり出せるように開発されちゃうお話なのですが
『 テレ 』 と 『 トキメキ 』 のブレンドが抜群で
めっさ エロース☆
やっぱり 愛 が なくちゃね♪
『 スルメ 』 ( 20頁 )
校庭の隅にある滅多に人の来ない倉庫小屋に 身勝手に 『 スルメ同好会 』 なる基地を設けて変態三昧に明け暮れる♂1♀2 ( 姉妹 ) の物語
ニオイに関する考察が とてもマニアックで変態向きに素晴らしい
オチが クサイ のもシャレ? ( 爆
『 中華連結 』 ( 20頁 )
くだんの3人による 思いっきりオバカ クサイ お話
肛門チューブ連結のアイデアが超秀逸
ちょっとノリをギャグに振りすぎて漫画チックに偏ってしまったため 珍しく心情のリアリティーは弱め
けどこのアイデアはヤバすぎなので どんどん使って欲しいものですな
『 冬も好きなんです 』 ( 16頁 )
露出が大好きな女生徒のお話
冬は寒くて大好きな露出が思いっきり楽しめないので嫌いだった彼女が ふとした思いつきで冬も大好きになるってのが大筋
『 服を着たまま人前でおもらし 』 という羞恥プレイ
100点満点で120点のエロさ
これぞ変態御用達の 極めつけの逸品☆
『 外便 』 ( 20頁 )
帰宅途中漏れそうになって パン屋さん?のトイレを借りようとするも 力尽きその場で脱糞しちゃったとき 初めて知ることになった己が性癖
日増しにエスカレートするうんこタイム
そして ついに彼女は…
抜きまくれッ☆ ( 無論 変態じゃないと抜けないヨ
『 困った 』 ( 16頁 )
ネットで知ってしまった 『 露出 』 世界へいざなわれ
さりとて 人前で痴態をさらす勇気までは無い
そんな彼女は計画性をもって安全に露出願望を充たしていたのでありましたが
何事にも完璧などということは無いワケで
アクシデントが呼び水となって…
ヤバすぎる 露出狂本格デビューの詩☆
『 車内放尿 』 ( 16頁 )
事故で停車中の電車の中で尿意を我慢できなくなった彼女に乗客たちの悪意の罠
ぶっちゃけ、きー猫ちゃまじゃなくても描けるたぐいの作品ですので
コメントは無しとゆーことで
『 本当の彼女 』 ( 20頁 )
とある女生徒の露出の資質を見いだした男子生徒による調教計画脳内妄想劇
ミゴトな特大一本糞をひりだすシーンに目が釘付けになるワケだが
むしろ テーマとしては 『 露出 』 『 調教 』 『 主従関係 』 という著者のもっとも得意とするスタイルをもすべて包括しているところが見逃せない
個人的に妄想劇はエロ漫画で得策とは思えないのだが この作品の場合 むしろ結末から始まる物語として功を奏している
読者に さらなる妄想をいだかせるための妄想劇として 抜群の空間力を提示できていることに圧倒された作品☆
『 粗大グソ 』 ( 20頁 )
女生徒の嫉妬からはじまる友人女生徒への陰湿な強姦劇
強姦とは なにも マンコを侵すことではないということを完璧に表現している
完膚無きまで心を侵される彼女の悲哀に凄まじく萌る☆
さすがにリアリティーはもう一歩だけど これ以上リアルの配合率を上げると スカ物語としての意味あいよりもトラウマ系になってしまうのでギリギリの線かもしれない
友人の尻穴からウンコがひり出されるカットの欠如が勿体なさ過ぎるけど
ともあれ
糞 素晴らしい作品だ
『 暖泥 』 ( 20頁 )
上述作品以上に悲惨な作品
ヒロインが膀胱が弱いらしくお漏らし癖があるためオムツ着用の女生徒なのだが
そんな彼女を保険女医と同級生の女生徒が同情するフリをして
スカトロ儀式の贄にしちゃうお話
ヒロインが病人なだけに哀れさも余計に募る
これもミゴトに 糞 まみれだが
痛み成分もかなり強め
『 必要条件 』 ( 20頁 )
『 糞 』 をモチーフにして SMの基本ともいえる 『 主従関係 』 をミゴトなまでに演出した作品
個人的な趣味で申し訳ないが オイラの性癖として 今日までに観た成コミで
いちばん性的に興奮し感動的だった作品は
長編なら文句なしに 『 掘骨砕三 』 の 『 閉暗所愛好会 』
そして
短編なら これも文句なしに 『 きあい猫 』 の 『 必要条件 』
ってなワケで
SM愛好者なら必読の一撃
時代と言えばそれまでだけど こういう素晴らしい作品がほとんど拝めなくなってしまった成年コミック界に 正直 未練はほとんど無い
ようするに 変態は成コミユーザーには要らないということらしい
無念であるが致し方あるまい
第2位
個人評価点:120点 ( 122-2 ※減点の2点は第2巻であることが表紙で判別できないこと )
『 いのちの声が届きましたか 』
著者:町田ひらく
タイトル:黄泉のマチ
発行:茜新社
発売:2006年10月14日
ISBN:4-87182-873-5
新ISBN:978-4-87182-873-4
社会のなかで闘いつづける少女のファンタジーを描き続ける著者の金字塔にして 記念すべき10冊目は 短編2編と 全2巻 全15話で描かれた長編 『 たんぽぽの卵 』 の 第1話から第6話を収録し イラスト入り作品解説8頁 たんぽぽの卵漂流記6頁 イラスト入り後書き1頁付属な 総186頁
カバー折り込み部は3色イラスト
扉絵はカラーイラスト
目次はカラーイラスト
カバー内は 闇にとけ逝く たんぽぽの卵
著者:町田ひらく
タイトル:たんぽぽのまつり
発行:茜新社
発売:2009年12月26日
ISBN:978-4-86349-123-6
社会のなかで闘いつづける少女のファンタジーを描き続ける著者の12冊目は 全2巻 全15話で描かれた長編 『 たんぽぽの卵 』 の 第7話から最終15話を収録し イラスト入り作品解説9頁 たんぽぽの卵漂流記9頁 イラスト入りあとがき1頁と 茜新社刊行の町田ひらく単行本既刊2冊の自社宣伝記事 ( 原稿見本アリ ) 4頁付属な 総218頁
カバー折り込み部は2色イラスト
扉絵はカラーイラスト
目次はカラーイラスト
カバー内に カラーイラスト アリ
『 たんぽぽの卵 』 ( 304頁 )
ブラウン管のなかで少女は男のパンツを下ろし そこで横を向き おそらくは指示を仰いでいる
次の瞬間 少女は 男の縮んだ男根に口づける
そのビデオを笑い飛ばしながら男は 後ろ手に腕を拘束され首輪をリードで繋がれた少女 を股間に乗せている
少女は言葉も無く 画面をただ睨んでいる
そして物語ははじまる
ビデオの二人は親娘らしい
撮影中 指名客が大量に涌いてきて次々と少女を抱く
娘とのビデオを売った男は退き 61万円也の明細入りギャランティーを受けとる
ちょっと色目を使った彼女はきょうのギャラが無くなるくらい高額な生き物らしい
浅黒い肌のベトナム系?みたいな流暢な日本語を操る仲介人曰く
「何シテモOKな子
「死ぬまでなんでもやっていい子だから
新たな少女が売られてくる
連れてきたのは兄
誓約書代わりのビデオ撮影
謂わば保険料
「コレはさサービスじゃあねェの
「子供を一人で部屋においとくだけ
「来た男がハメようが 勉強教えようがメシだけ食って帰ろーが自由なの
オプションの兄妹姦ビデオ撮りを断る兄
「ごめんな お前処女だったらもっと高かったんだってさ
「ごめん? どれに?
ランドセルの少女
帰り道
アパートの駐車場にミニバスが停まっていた
玄関でバッグを交換し 乗り込む
乱交会
乗り物酔い
気づけばお布団
夏休みの宿題
終わったヤツからココへ来る
「ああ…やっぱりおフトンのセックスじゃなきゃイヤだ。
雀の囀り
目覚めるとワープロ打ちの読書感想文
安部公房著 飢餓同盟を読んで
「読めないし……
祖父と孫娘の公開セックス
哀れなのは娘なのか 祖父なのか
いずれにしても 惨め
そして そこからはじまる輪姦劇を鑑せつけられる少女
起訴された父親の代わりに贖うべき罪をほろぼすのか
誰がために
フランス人のパパに売られてきた少女
12年ぶりの 初めての再会
少女は姉との対面をはたす
少女と兄
アタシ帰る所無いんだ
ケイちゃん 次はどこで仕事?
え?
旅館で姉妹少女丼な客たち
覗き見の男はビデオ撮りされ生殺し
「明日から一緒に俺らの船に乗っか?
どうやら年中行事らしい寒村の少女乱交会
少年のこころ
ネズミクンと睨めっこ
トビキリの少女に首絞められながらヨガル爺やのこころ
降りしきる雪
「三番ホーム 下り列車参ります
一瞬 目が逢った少女のこころ
ガタタン タタン
振り向いた少年のこころ
『 いい加減にしないと 卵に戻して落とすよっ!! 』
「へェーそっちでは怒られる時そう言うんや
「エー? こっちの方はエゲツ無いで
「転校生にも容赦無いよ?
『 爺ちゃんが夜孕ませに来るぞっ! 』
「アハハハハッ あり得なーいっ
「せやろ? 死んだ方がマシやろ?
バスの中で姪っ子を探し回る男
探し求めているのは姪なのか
それとも 行為なのか
来年にはダムの底に沈む村
慶長の頃より続いてきた風習も幕引き
少女たちを集めてくるバス
おぼこ娘を肴に小躍りして迎える衆に背を向け村長は馴染み少女と想いを馳せるが
燃え尽きた焔
届いた報せ
残された少女の行き場を喪った想い
子を孕まされた少女をみてショックを受ける男としてのキモチ
まだ子を孕めるからだであったことに感動すら憶える少女としてのキモチ
『 女の子が海に落ちたのは、根性が無かったせいでは無い。耐えて生きる程に意味のある自分の命だとは思っていなかったからだ 』
↑著者の作品解説より引用
溺れかけた海でマンボウが見つめていた
「アタシは日本中のどこにでも咲いてるの
オイラの中でマンボウが笑った
姪を捜していた男がたどり着いた漁港
くだんの 『 下手落ち 』
少女を集めて性感染症の臨床実験体にする医学プロジェクト
帰宅した少女のもとに使いの者が現れ頭をたれる
「永きの御役目 お疲れ様でございました
嬲り殺してもいい女の子がいるらしい話はウワサに聞いていた
もちろんその見返りは アタシ達一般児童とは桁違いらしいけれど
求めを拒む気持ちなんか無い
時には人形になり
またこうして…オンナになり
いつからかな――
どうせなら 少しはアタシもイイ感じにしてもらおうと思うようになったんだよ
在るところに国が在った
その国では 幼子を求めて止むことのない男たちのために 国家の贄となり 命を以て業を鎮める役目を担った 『 少女たち 』 がいたという
「生きて戻って来られますように
少女たちは祝詞を授かり送り出される
少女屍姦
行為中に蘇生
覚醒した少女は 懐妊を告げられる
「目につく男の人 みんなハダカに見える時がある あそこ歩いてる人 精液濃いんだよね あーゆうタイプ
「あーそうかもね 白いオタマジャクシみたいの出されたことある
「アハハッ
「そういや棒が二本っての見た?
「ウソッ!? オシッコの穴二つは見たけど
「アッハッハッハッ
【End】
少女と もと少女
ふたりの高笑いが空に木霊して
そして物語は幕を閉じる
雲によりそい その宙空をただよう たんぽぽの卵
彼女たちは どこにでも咲いている 普通の花だ
その空は
どこまでも澄んだ青色をしているに違いない
ファンタジーなエロ漫画として 物語世界に感動という付加価値を与えてくれるのは 常に整合性である
あり得ない話に力を与えられることこそ作家に求められる力量に他ならない
町田ひらくは 残念ながらロリコンでは無いが
二次にしろ真性にしろ この物語に託された いのちの謳歌に耳を傾けてくれたら嬉しい
町田ひらくの作品は 常に物語に整合性がとれていて だからこそ 現実に引き戻されることなく幻想世界に浸りきれるのだが 正直 この物語が紡ぎ出されはじめた当初は これまでの著者の作品の集大成的な作風だな と感じていたことも事実である
が
しかし物語が中盤を過ぎた当たりから ドラマは一気に方向性をもって加速しはじめ
そして
ついには 『 いのちへの賛歌 』 というところに帰結していたのだ
以前 もうひとりの町田ひらくがコアマガジンで描いていたステキ過ぎる かの幻想譚をも凌駕するほどの精緻なファンタジー
こんなことは あり得ない
と 否定する前にまず読め
きっちりと世界を創りあげた物語には魂が宿っているのだから
いのち を 区別し 蔑むあなたへは 踏み絵
いのち を 分け隔て無く愛しむ あなたへのお薦め
風さえ吹けば かんたんに どこへでも飛んでゆける たんぽぽの卵
彼女たちは どこにでも咲いている 普通の花だ
なお第1巻に収録されている短編は
『 手をとりあって黄泉の国 』 ( 22頁 )
『 お絵描きロビンフッド 』 ( 14頁 )
の2編で
いずれもモチーフは売春行為を余儀なくされている少女なので 食い合わせは悪くない
第3位
個人評価点:119点 ( 122-3 ※減点の3点は分厚すぎること )
『 恥辱を超えて淫化する女たちの賛歌 』
著者:きあい猫
タイトル:露出願望
発行:ティーアイネット
発売:2009年10月9日
ISBN:978-4-88774-324-3
露出・主従関係・スカトロなど 変態性交一直線で 成コミ界のマニア路線をひた走ってきた著者が東京三世社の路線変更によりホームを移し 初めて他社より刊行された11冊目は タイトルどおり全作品 露出劇 な 短編全8編を収録し イラスト入り後書き1頁付属な 総232頁
カバー折り込み部にカラーイラスト アリ
カバー内は特に無し
ティーアイネットは 『 BUSTER COMIC 』 に掲載された作品なので 当然のことながら マニアックな表現形態は激減
残念ながら氏のいちばんの売りである 『 挿入描写の無いセックスのカタチ 』 というSM変態性交の基本理念が使えないため 真性のSMファンとしての立場からは大いに物足りなく エロースも格段にパワーダウンしてしまっているワケだけど 掲載誌が真性マニア向けではなく一般成年向けの雑誌なので致し方ないところ
無論 作画的にも 漫画展開力的にも1位に推した作品集より格段にレベルアップしているものの 本質的な部分を描けないところは如何ともし難く 残念ながらグランプリは逃した
『 花の咲いた日 』 ( カラー4頁含む30頁 )
とある富豪のお屋敷のメイドとして働く女性のお話で
物語の中核を成すのは 『 ブルーム 』 と 『 パド 』 という役職の違いによる性の色分けから こぼれ落ちた 『 想い 』
ブルームは いついかなる場合でも 御主人様の求めに応ずる 謂わば 『 肉玩具タイプ 』
バドは ブルームの羞恥心を煽るために セックスでカンジテイル ブルームの顔をマジマジと見つめる 謂わば 『 興奮剤タイプ 』
ヒロインはバド
ブルームへの昇格条件とは
『 バドとして1年以上の勤務経験があり かつ自分の誕生日に その意思表示ができる者 』かくして蘿蔔の テストが始まる
内容は?
無論 乞うご期待☆
『 誰かの穴 』 ( 30頁 )
上述作品と同一空間軸にあるお話で でもヒロインは別人
今回のヒロイン 唐松は 猫プレイの調教を施される
言葉は無論 『 にゃー 』
無論 床に直置きのお皿でミルク
シッポは当然 常時装備
なので トイレタイムにアイデアを盛り込めるという いたってノーマルなSM愛好家的発想に則って物語は展開する
花瓶挿し 漏斗挿し いずれもマニアなら経験済みであろうか
そんな変態な彼女は 実は処女
だからこそ可能だったラストシーンまでの流れが抜群
ただし
媒体が媒体なだけに致し方ないとはいえ
肝心のスカシーンは 音だけですう~~~ ( 涙
ぶっちゃけ ステキすぎました~♪
それにしても詰め込みまくりましたね
人並み外れて性欲が強く その性癖が全方位に向いてる女性の方って リアルでは実はけっこういらっしゃったりもするのですが 巡り逢えるのは時の運ということで ついつい三次元に求めてしまうものが大きかったりするワケで
まあ 男性にしろ女性にしろ 己がアブノーマルな性癖に正直に生きて人生まっとうできるってのは ある意味とてもシアワセだと思うのです
さて 他者介添えによるイラマチオはとても素晴らしかったのですが 右頁左下のコマはどうみても喉の奥まで呑み込んでるように映りますが せっかくならディープスロート時の陶酔した表情まで判るコマが欲しかったですね
まあ 脳内で補完しましたけど
あと やっぱり とゆーか 意図的にオミットされたスカシーンは上下のコマ間に余白をつくっていただいたおかげで ミゴトな一本糞を瞬時に脳内ライブラリーから くだんのシーンを引っ張り込めましたよ♪
にしても テーマも素晴らしかったですが 展開がバツグンでしたね
これでもかこれでもかとアイデアを惜しみなくたたみかけてくださいましたが 少しは次回作用に温存しとけよみたいな ちょっと勿体なかったくらいです ( 爆
ともあれ ステキすぎる唐松クンの今後がとても心配な 充実の30頁でした♪
彼女の シアワセすぎる今後のセックスライフをアレコレ思い巡らすのが愉しすぎるんで できるなら続編とか描かないでくださいね
無論 一ファンの身勝手な願望にすぎませんので その節は無視してください
さておき 貞操帯ってSMカップルには必需品でありますが 衛生面では相当に危ないシロモノですよね♪
って でもリスクがあっても絶対に辞められないのが性癖なんですけどね
まあ 二人仲良くVD医通いってのも またたのしデスけど
ともあれ なんてことないシーンなのかもですが やっぱり私は紅茶のシーンが最愛デス
無論 6頁目からの流れの好さがあるからなんですが 卓上でローアングルで捉えた彼女の 得も言われぬ表情に 思わず射精デシタ♪
今回もステキな作品をありがとうございました♪
『 変な彼女 』 ( 30頁 )
真面目だから変態に憧れたのか 変態だから真面目なフリをしてきたのか
大人が求める理想的な子供を演じつづけてきた彼女に訪れた転機
きっかけは露出系エロ本
自らが衆人環視下のオカズにされている妄想をオカズにしてのオナニー三昧
日に日にエスカレートする想いはついに現実の扉を開けるに至り
そして
一人での露出変態プレイの限界を感じた雪笹は 幼馴染み下級生の弟切にパートナーを依頼する
14頁にわたる電車内ロストヴァージンシーンは圧巻と誉めたいところだが やはり
何だかのアクシデント的な +α が欲しかったところ
結局は 挿入描写に頁を割かなければならないことへの弊害だが
このシーンを除けば完璧な出来
ラスト2頁も その後の妄想を読者に煽るには充分すぎてお釣りが来る☆
アッパレ☆
『 生け贄 』 ( 32頁 )
著者がもっとも得意とするパターン
いかにして露出を楽しむかという願望をもっている人間なら誰しもが一度は妄想したことがあるのではなかろうかという マニアにしか考えつかないマニアのための逸品
これもくだんのスカシーンで糞の現物が描かれてないという 斯様に残念な結果は現状がスカを求めていないので致し方ないとあきらめ 無理矢理他の単行本よりシーンを切り貼りして楽しむのも乙
切り貼りしたり セリフを書き換えたりは茶飯事だが その程度の労力で宝物に輝きが増すなら安い時間の浪費であろう
あっ???
お話は ヒロインの女生徒 紫紺が 脅迫されたことを理由にクラスメイト全員を巻き込み 一ヶ月間露出の生け贄をつとめるというもの
まっ オチはファンならバレバレだろうが 展開もエロも文句なし☆
『 誓約 』 ( 32頁 )
真面目だけが取り柄だった女教師が 教え子の男子生徒と恋仲になり ゆえにカレシの要求する露出プレイにハマってゆくさまを 『 失いたくないから 』 『 よろこんでもらえるなら 』 という刷り込みをベースに描かれたお話
雑誌に載ってるような真似など出来るとは思えなかった彼女が だからこそ自らに課した 『 誓約 』
『 露出をするときは前回の内容より少しでもハードルを上げる 』
二人の願望のグラフはどんどん近づき そして
刷り替えられたカノジョの願望が カレシのキャパを超えてしまったとき
それはもう笑えない喜劇の幕引きが待ちかまえているだけ
きょうよりもあした
という言葉は凄い魔法だけど
本気で毎日進化してしまうと いずれは化け物になってしまうという罠
まあ それでも 上には上がいるので
この程度なら むしろ 拾ってくれる神はいくらでもいそう?
まあ カレシがヒイテ逃げ出すほどには過激な露出劇がたのしめます☆
『 犬 』 ( 30頁 )
大のナカヨシな幼馴染みのふたり ( ♀ ) が交互に飼い主をする犬ゴッコにいそしむお話
ぶっちゃけ 勿体ないくらいアイデア満載
ぶっちゃけ ひとつひとつの行為に目覚めてゆく過程をじっくり連作的に拝みたかったというのがホンネではありますが 直接的挿入描写がないと需要的に難しい現状を思えば致し方ないところでありましょう
ラストシーンはお約束とはいえ
ともあれ 『 直接的挿入行為が無いところでも成り立つ 恥辱から目覚める快楽 』 を とことん堪能できる逸品☆
まあ 最低でも100頁クラスの中編に仕上げて欲しかったというのは極私的な願望
『 願望テニス 』 ( 26頁 )
ティーアイネット初登場にして唯一 『 MUJIN 』 に掲載された作品
とにかく今回も メイド姿で露出テニスという題材自体は もしかしたら掲載誌自体がオシャカになってしまった 『 ラブスポ 』 の影響もあったかもしれませんが
ギャラリーと一体化した流れが まっこと微笑ましかったですね
どんなにペナルティーを科されてもメイドの髪どめだけは外さないというフェチなこだわりもステキでした
が 実際にこういう状況をつくれるかというのが 露出ファンのいちばんの悩みで 場所 人 時間 その場の雰囲気など すべての条件が恵まれないと なかなかこのレベルの露出は現実ではハードルが高いのですね
まあ 当然 機運に充ちたときは やる のが鉄則ですが
さておき
『 不特定多数の人前での性行為 』 は 『 公然わいせつ罪 』 という犯罪に当たりますので 本気でやりたい方は まず捕まらないですむ方法論をきっちり身につけたうえで 挑戦してみてくださいましね
『 ペイントジョギング 』 ( 16頁 )
唯一 東京三世社の 『 ラブスポCOMIC 』 に掲載された作品
なので 絵柄はちょっと古めです
当然 今回の作品集ではいちばんマニアックな内容になってますので 真性の方は必ずチェックするようにしてくださいね
内容は タイトルどおりです☆
ってなワケで 変態としての性癖上 エロは 『 ベスト・オブ・きあい猫 ~ スカトロ・セレクション 』 にまったくかなわないものの 物語として 展開の好さとして 作画面の進歩も手伝い あまつさえきっちりと頁数が確保されているのでドラマとしての厚みもあり 真性露出マニアの方でも充分堪能できるレベルには仕上がってますので ぜひお見逃しなく
来年はコアマガジンからも単行本が刊行される予定ですが こちらは露出・スカも含む変態的風味のエロ行為が主体の漫画ですし 絶対の売りになるはずだった 『 奴婢 』 のシリーズが 『 GOLD 』 の廃刊で半端なまま終わってしまったこともあり マニアックなものはあまり期待されない方が無難でしょう
逆説的に きあい猫の作品をどれか買ってみようと悩んでいる方で あまりにもマニアックなものはどうも…という方へなら こちらよりコアのものの方をお薦めしたいと思います
第4位
個人評価点:119点
『 カバー内まで駆使して読者に最終決定権を委ねた3段オチのミステリ 』
著者:まぐろ帝國
タイトル:あいらんど 淫悦の章
発行:茜新社
発売:2009年7月24日
ISBN:978-4-86349-085-7
さて 著者の記念すべき成コミ10冊目の金字塔 ( 通算13冊目 ) は 全2冊 全18話で描かれた長編ドラマ 『 あいらんど 』 の 第1話から第9話までに カラー4頁の前奏曲と1頁の間奏曲付属な 総196頁
カバー折り込み部にカラーイラスト アリ
カバー内に ラフイラスト アリ
著者:まぐろ帝國
タイトル:あいらんど 淫虐の章
発行:茜新社
発売:2009年9月26日
ISBN:978-4-86349-095-6
著者の11冊目 ( 通算14冊目 ) は 全2冊 全18話で描かれた長編ドラマ 『 あいらんど 』 の 第10話から最終18話までに カラー4頁の変奏曲と3頁の舞台挨拶付属な完結編の 総196頁
カバー折り込み部にカラーイラスト アリ
カバー折り込み部にヒント アリ
カバー内に 最後の鍵 アリ
ぶっちゃけ デビュー当時より 凄まじいほどの才能をもてあましながらも なんとか隙を見て折り合いをつけ 才能の一部分を切り売りして表現つづけてきた著者の 一部の作品は超大好きで 一部の作品はどうでもよくて エロ業界へのアンチテーゼだけで もはや跳ぶことすら拒否して 読者までをも見下して描いた 『 放課後奴隷倶楽部 』 は燃やしてしまったオイラではございますが
初めて 心から納得のゆく作品を魅せていただいたことに 感謝の言葉も見つかりませぬ
なので レビューモドキです
門外漢なので断定は出来ないが 小面らしい能面を掴んでいる女の指
波の音を聴きながら目覚めた青年の股間で少女が寝ていた
少女は半覚醒状態でそのまま青年のチンチンに頬ずりし 舌を這わせ
起きていることを確認したうえで 青年のことを 『 六郎兄ちゃん 』 と呼んだ
少女は名を 『 双葉 』 と言った
そして青年には 記憶が無かった
どうやら六郎が教え込んだらしい閨の技を駆使して求めてくる双葉との性交中に 襖があく
明らかに女生徒の制服で入ってきたのは 『 瞳 』
双葉の姉であるらしい彼女はふて腐れた面持ちで着替えを置いて ひとこと捨て台詞を吐いて出て行く
庭のすぐ先にある浜
双葉と六郎のセックス
夕餉
双葉の言葉で瞳の想いを六郎に伝える
電話連絡
盆に受話器を乗せた片目眼帯の召使い娘は 『 七瀬 』 と言われ
命じた和服の女性が主と知れる
どうやらその奥方の命で 七瀬が皆への連絡を済ませたらしい
湯浴み場の壁には その小面ばかりがいくつも掛けられていた
果たして浴室での双葉との性交中
六郎は突如として夢であることに気づく
さらに 自らが崖から墜ちる夢
悪夢に飛び起き水を汲みにゆくと そこには六郎を思いながら自慰に耽る瞳が
痴態を目の当たりにして六郎は襖に射精するが
気づけば布団の中
能面に身を隠した男女集団の酒池肉林
6が戻り1と2が接触
全員が揃うまで報告は待とう が結論らしい
一方 書き置きだけで誰もいない用意された朝食を摂り 六郎は散歩に出る
ほどなくたどり着いた神社
おにいちゃんがもどってきますように の 絵馬
そこへ現れしは巫女
『 美里 』 と名乗る彼女は三つ指つき 主の帰還を祝す
美里が賜ったという張り型を女陰にイチモツを肛門に挿し 手桶に精を放つ
六郎はそのまま 明らかに違う顔で飲ませる
気づけば全裸のまま境内の縁側で寝ていたらしい六郎
はたして絵馬は燃えていた
能面集団のもとへ参上する美里
3へ報告を求める声を遮る命
1への懲罰動議を提出したのは面を外した女
月明かりだけの夜道を急ぎ足で帰宅した六郎
玄関先で出迎えたのはツギハギ人形を抱える七瀬
彼女が鬼面な面持ちでにじり寄ると 雀の声とともに朝
裸エプロンの瞳が朝餉の仕度をしていた
支度中の彼女をいらい
欲しいと言わせ 事を為す六郎
しかしまたも気づけば布団の中
ふたたび台所へ向かうと やはり裸エプロンの瞳
今度は尻を突き出し穴の使用を強きに求める
腸内に放出した六郎は鞄を渡され見送られる
「…あら あの子達は?
「…もう出たわ
「あなたはいかないの? ( 笑
「……
「今度は…前とは違うわ
「そうかもね
「でも…あなたはどうなの? 自分が選ばれると思って?
そこにはお仕置きを受けている1の姿が
一方 通学バスに乗った六郎は いまさらながらに鞄を開けるが
アダルドグッズが山
して 女生徒登場
名は 『 栞 』
やはり彼女も六郎との約束をまもっていたらしい
1を犬にして引き回すのは シルエットだけだと2に映る
栞との性交
が いつの間にか終点にたどり着き 誰もいない
車掌は明らかに7の面持ち
バスを下車する六郎
雨が降ってくる
一方 4は本の朗読
「有躱 羯摩 達磨 解脱 鍵は閨秀 磐咤に求めよ。かくて誰もが彼らの訴えを聞き 皆が彼らの讃えを聴き…あの手紙だ! あの散りしたため紙だ! 早ければ逸女ほどよ辛う! 眉墨筆画の。一語拝借し、論点を逃れ、火口をくすね 石鹸みたいに掴まえにくく。
と 天狗面の鼻面で腕を背後で拘束された女に掻き交ぜられながら詠む
場面変わって 六郎の前に現れたるは小麦色肌の女
『 樹 』 と名乗る彼女は まんこに鍵をかけられていた
して 六郎の手のひらには鍵が
一方 奥様は面を手に
「六郎の顔」に
と
準備が整い 映写
観客は独り
樹と六郎はアナルセックスからゴーヤプレイ
して またも手にゴーヤだけが残り 誰もいない
帰ろうとしてたどり着いた洋館
亡き夫の霊前で未亡人は後ろに控えし かの能面の男に「お義母さん」と呼ばれる
義息から 『 麗子 』 と呼びつけにされ
そして緊縛され 思う存分解放させられる
最後は棺桶内に排便
という記録映画を観ている未亡人な0
して 7が客通しをし 口上をたれる
7の話
むかしむかし女の子がいました
女の子にはお家がなかったので お屋敷で働く代わりに そこに住まわせてもらっていました
でもって牢を解錠し魑魅魍魎どもに身をゆだね 放たれた精液を桶に溜め
今度は拘束された女どもの餌としてそれを饗し
自らのクローンのホルマリン風呂のような処でデッキブラシをかけ
ご主人様という名の化け物の相手をし
そして
ヌイグルミを抱いた7が部屋をあとにする次のシーンで
本を朗読する7となり
傍らで寝息をたてている
6に「おかえりなさい ご主人様」
場面変わって
どうやら熱を出していたらしい6を看病する1
普通に恋人チックな会話から行為に没頭すると豹変する6
精を放つと同時に我に返り
恋人同士の連チャン
「忘れないで六郎 これは夢なんかじゃないのよ」
即尺してる相手は7になっている
第2部への間奏曲
デスクの前でふんぞり返った男装の女
けたましく鳴り響く受話器を取り上げ
「うるさいな 家賃なら来週払うって
セレナーデ
ナゼかチンチン生えてる2と4と5に嬲られる1
6の写真を受けとりターゲットと知らされるヤンキー娘
依頼主は狐能面
聞き込み調査
「交わりをしたならば愛情が生ずる。愛情にしたがってこの苦しみが起こる。愛情から禍いの生ずることを観察して犀の角のようにただ独り歩め。仲間の中におれば遊戯と歓楽とがある。また子らに対する情愛は甚だ大である。愛しき者と別れることを厭いながらも犀の角のようにただ独り歩め。
して 拉致られる
拘束され開脚されさんざん嬲られ
が7によって救われる
波の音がする部屋
しかしいまは洋館
目覚めると7がしゃぶっている
扉絵で明らかになる家族関係
なので1回いたす
0と2と3と4と5との食事
7は給仕
肖像画を観て
誰かが欠けていることを想いだしかける6
6探しな散歩の2
繋いでる鎖の先は 読者には提示されない
さっきまで6と溺れて失神中の5に○をけしかけ放尿させる
書庫で捜し物の7
日記帳を見つける
アンリ・ベルクソン 『 物質と記憶 』 を朗読することによって 記憶のもたらす矛盾を指摘する4
義母との茶会
義母と義息
2匹のウサギが演じる茶番劇
突然降ってきた雨
如雨露でセットに水を注す7
拍手
バルコニーで茶番を繰り返す義母子を睨めつける2は姉に命ずる
犬の目に流れるのは雨それとも
Diary,
奉公娘1の調教日誌
はたして孕んだ子は?
存在を認識する6
寸劇
司会進行は7
演目は 『 若草物語 』
役者は2・3・4・5 そして0
観客はヌイグルミ
吊された生け贄は1
案内したのは7
能面男は射精し
だが6は1を解き放ち逃走
追っ手の影
行き止まりに苦虫を噛み潰し 方向転換しようとした6の手に握られていたてが包帯に代わり
7は6を崖から海に突き落とす
海水浴
参加者は2・3・4・5・6
0は屋敷でお休み
1は拒否
7は漫画みたいな荷物を背負っている
スイカ割りが乱交へ
2の何気なひと言で現実が通り過ぎる
手をつなぐ ふたり
そこへ義母
手を引っ張り回避させようと導く1を尻目に必然としての過去が襲ってくる
偽りの必然を轢き逃げしたのはトラック
布団で目覚めた6の膝に1が寝息をたてている
行為の最中に1から始まる走馬燈は0を経て1に戻り
そこで初めて6は 現実を認識するに至る
ヤンキー娘が掴まえたトラックを運転していたのは7
最終頁の見開きで走り去るトラックは無論アレ
その荷台に積まれていたのは
6を抱えた1
【Fin】
さらに二つめのエンディングが1頁
フィルムに向かって拍手する者々
男1女5の能面者
女は全員孕んでいる
当然 ○は○ではない
絵を観れば一目瞭然な罠
【完】
さらに3頁の三段オチ
凄まじい
1巻の折り込み部引用は明らかに著者より友人への謝辞と思われるが
この2巻折り込み部も含めての物語である
無論 カバー内の4つのフキダシに読者が台詞を書き込むことによって
初めて物語は完成する仕組みになっている
ここまでにオイラがつくれた終劇は3つ
あなたは いくつの結末を創れましたか?
なお 意図的にアイテムを十数カ所端折って書きましたので 本を読まなきゃ解けませんので あしからず☆
まあ 一般漫画いじょうに出来のよいミステリって エロ漫画で需要があるのか甚だしく不明だが
興味のある方はぜひどうぞ♪
難解系ではないので 比較的楽に1つのめの物語は解けますよ
なお エロシーンは充分変態ですので お楽しみに☆
第5位
個人評価点:116点 ( 122-6 ※減点の3点は分厚すぎること ※減点の3点は完結していないこと )
『 鎖に繋がれた片翼だけの天使はシュレーディンガーの猫はもういない筺の中で電気兎の夢を見るのか 』
著者:天竺浪人
タイトル:凌鬼の刻 ~アルカイック エンジェル~
発行:マガジン・マガジン
発売:2009年1月7日
ISBN:978-4-89644-421-6
著者の25冊目は、『 ウォーB組 』 2008年10月号の最終話 『 肉の筺 』 まで連載され すでに完結している長編表題作の第1話 『 笑顔をください 』 から第11話 『 はじめてのひと 』 までと 描き下ろし4頁の後描き漫画 『 エロマンガ家の悲しき真実 』 および イラスト入り後書き1頁を加えた 都合230頁
カバー折り込み部にモノクロイラスト アリ
扉絵にカラーイラスト アリ
カバー内は特に無し
「マリリン! 一ノ瀬真理さん こっち向いて――!!
「おっ いいね
カシャ
「クールな目元が堪んないよっ う――ん パーフェクツ!!
カシャ
「あ もっとアゴ引いてー?
「おっ …イ――はぁと
カシャ
「さすがは我が東部第二高校一のクールビューティー 絵になるなァ
カシャ
と 冒頭からの3コマで4連写される表紙右の主人公なヒロインが カメラ小僧なクラスメイトの金子クンに
「……カメコくん
と への字の唇をひらいたところから物語ははじまります
下段の1コマの引き絵で雑然としたロッカーやら級友たちやらを背景にして まずは状況を説明したのち
天使の羽根の片翼をちぎられイメージ化された彼女が左腕にリボンを巻かれ両手を鎖で拘束されているタイトル頁を 曰くありげに2頁目に配置し
3頁目のボケツッコミな会話でコミカルに二人の一面を読者に提示し
頁めくった4頁目の右上段で
「へー カネゴン マリリンが好きなんだ シュミいいぞ
と 割り込む表紙左の女生徒にして 主人公の親友と自らのたまう 『 トモ 』 を登場させ ここまでで主要キャストの3/4をザッと配置し
さらに「親友」のひと言に反応した真理の図からの1頁半で
4コマ目
親友… ( 曇顔な真理の顔アップ
5コマ目
そう トモは私のコトを親友と思っている 言葉の綾でも お世辞でもなく ( トモ 金子に肘撃ち
6コマ目
私はそれが少し淋しい ( トモの顔アップ
7コマ目
彼女は気付いているだろうか ( 真理の横顔方面から観たズッコケてる金子と勝利者ポーズのトモ
8コマ目
――――ところで ( 授業風景
5頁目 1コマ目 ( 横抜き
私は割と成績がいい ( 真理 剣の強い真剣な顔
2コマ目
何の興味も湧かない
実社会において無意味な知識を淡々と記憶する
そんな機械的な行為に不思議な安らぎを感じる ( 黒バック 真横からの真理の勉強姿
3コマ目
学校は素晴らしい
人生が無意味だということを
膨大な時間をかけて教えてくれる ( 校舎外観
4コマ目
そう だからいいのだ
夢も希望も要りはしない
それは同様に 苦しみも無意味だということなのだから ( 霧のような靄のようなバック
5コマ目
学校での そんな時間を過ごして やっと私は扉を開く 勇気を得られる ( 扉
最終6コマ目 ( 横抜き
私自身の部屋の扉を開く勇気を ( いままさに扉に 指をかけんとする真理の手
そして…
頁をめくった6頁目の
約6割今日を割いた上段からのこの2頁で
この作品の当面の方向性は読者に完璧に提示されるのですね
とゆーワケで これいじょう語る必要はまったく無いと思うので 敢えてストーリー以外のコトをちょっとだけ
さて 天竺浪人は名うての劇作家であるワケなんだけど
実は 比較的最近までは 長編がとてもヘタクソだったのですね
テーマやアイデアや感性は素晴らしく
なによりモチーフ自体が独創性に溢れているのに
かつての傑作の数々はいずれも短編から中編に限られていたのは
ご存じな方も多いと思われるけど敢えて言えば
投げっぱなし
なのですね
伏線の回収すら長くなると出来なくなる作家だったワケです
しかしながら三和後期あたりから徐々に長編での整合性もとてるようになってきて
ついにというか 今回は ツッコミ入れるところがひとつもない作品に仕上がっていて
ミゴトというしかありませんでした まる
まあ、無論それは第1巻に関する批評でして 物語全般通して観れば 結末のつけ方は相変わらず上手かったものの やはりすべての伏線を活かしきるところまでは今回も若干ですが届かない部分も無くは無かったです
ただし それでも充分すぎるほど名作と呼んでかまわない出来だったと断言させていただきますし 個人的には2年連続で1位に推そうか迷ったくらいなのですが
ぶっちゃけ
後書きに
「本当のラストは次巻で描き下ろすつもりです。雑誌ではやはり描ききれない部分もありましたので。乞うご期待!!」
って
のたまわれているので 敢えて評点は落としました
ぶっちゃけ 自分が最終回まですべて読んでいるからといって 変更があるいじょう まだ完結していないと見なし グランプリは見送りです
ってなワケで
最終話まですでに雑誌の方で読んじゃった方でも そのへんも踏まえて購入の指標にしていただければ幸いなのでありますよ
さて 1巻での内容は兄による妹への調教がメインになりますが 無論 最後まで読まれた方ならご承知のとおり 凌辱系の作品ではございませんので あくまでも 倒錯系として購入されるのが吉でありましょう
いずれにせよ変態性心理系統を好まれる方へなら 過去の天竺浪人のあらゆる作品の中でいちばん抜きやすい作品と断言してもいいんじゃなかろうかと
前作 『 パラダイスロスト 』 の方は 『 凌辱 』 『 ロリ 』 がストライクでないと抜きに易しくない作りでしたが 今回のは 『 倒錯性心理 』 さえ好みの範疇なら 所持して然るべき作品集だと思うのです
関連:
残酷な神が支配する現代社会という名の荊の檻で儚くも後ろ向きに闘う少女の他者への哀れみに涙スル。第6位
個人評価点:113点 ( 115-2 ※減点の2点は分厚すぎること )
『 全ての女の子には幸せにならなければならない義務がある。セックスありがとうございます!!! 』
著者:F4U
タイトル:今夜のシコルスキー
発行:コアマガジン
発売:2009年1月24日
ISBN:978-4-86252-546-8
ぶっちゃけ 現時点ですでに完成品のコマ割り理論と 写植配置センス および セリフのカケアイの妙 屈指のテキスト力 テーマにいっさい祖語のないストーリー展開力 作画・台詞・展開で完璧に世界を構築できる確かな洞察力より産み出されたエロ技法 と どれをとっても第一人者レベルなのに やっとこさ著者の処女単行本は 短編9編に 『 きみが苦笑いしてこまらないように… 』 の後日談な描き下ろし6頁付属な 総218ページ
カバー折り込み部にカラーイラストおよび著者近影 アリ
扉絵にカラーイラスト アリ
目次にカラーキャラバストアップイラスト アリ
カバー内は 著者自画像イラスト入りあとがき および寄せ描きタイプのゲスト祝辞
2冊目に当たる一般作では初挑戦の長編プロット作成ミスにより自爆して無惨だったけど 短編構成ならほぼ完璧に近い
発売が1月だったことと著者の単行本がまだ1冊しか出ていないことも手伝って 精液放出回数では本年度新刊のダントツ1位だったけど エロだけじゃなく 漫画としても 凄まじいほどおもしろいので 抜きツールと漫画の両面から成コミを愛している方なら 相乗効果で宝物になること請け合い
『 誰が為か…… 』 ( 20頁 )
彼女には幼馴染みがいた
彼は休憩時間にゲームとオヤツを出してくれるヤツだった
だから
こんなことを頼めるのは
彼を置いて他にはいない
だから
彼女は彼に頼んだ
「汚れてるって思うだろうけど 処女 もらって…」
エッチなコトをいっぱい教え込まれた調教過程のカラダ
全身全霊の突貫劇
遮二無二頬張り吸い尽くすフェラチオからの精飲
自分の愛撫すら その指は単なる媒介物に過ぎず 行為を通してカレシに心を委ねているにすぎない と 理解しながらも 彼は彼女に応える
どんなに穿った行為であろうともそれはたしかにセックスのカタチをしていた
想いとともに放出された大量の子種汁とともに こぼれおちるひとしずくの赤い糸
それから少しの間 彼女は泣いた
誰が為か 彼女は泣いた
『 ザーメン☆ティッシュ 』 ( 22頁 )
その射精は終わりを予感させる事無く…少女の視線を捕らえ続け 小さな子宮を痺れさせたのだ
挿入と同時にまず膣内が精液に満たされる
…そして 膣の許容量を超えた精液は子宮口へと押し込まれてゆく…
絶頂津波である
『 きみが苦笑いしてこまらないように… 』 ( 22頁 )
ガチャ
擬音とともにふたりがネッカフェのペア席に入ってくる
女「わぁ…っ
男「本当に広いねッ このペア席
女「もーっ 広いし静だし薄暗いし最高ッ!!
と 飛行機ポーズで満面の笑み して ソファにころーんと雪崩れ込み尻くねくね
女「寝っ転がれるよ健太郎くぅん ほらぁ…
男は鼻血
女 脳内で「来て」を反芻しながら別世界へ
男「真由子さん……さん…
女 がばっ と起き上がり「え?は はいっ
男「ちょっと…飲み物とか取ってくるね
女 ソファに正座し佇む ( 白バックに ぽつねん… の文字が映える
女「お…落ち着け ワタシっ 今さら色仕掛けが効くわけない…!!! 倦怠期?なのかな なんだか最近ワタシばっかりこんなになってなんだか デートは減ったしエッチもないし バっカみたい… ワタシ…もうすぐフラれ…ちゃうな………っっ
その背後に そ~~~ッと男の手
むん と背後から爆乳を鷲掴みにしつつ男「ただいま真由子さん
女「わっ へ?健太郎く…ん? どっ…どうしたの いきなり
ぐにぐに乳を揉みしだきながら男「周りね…空席ばかりだったからさ…久しぶりに セックス…しようか?
女「うん…セックスっセックス……して!!!
男「真由子さんっいやらしい…
女「はぁん
ナマ乳剥き出し 男「ノーブラなんて さすがだね…
女「よかったぁ…もうセックス…してくれないのかと思った…
男「え!?どうして?
女「だって!!だっ! 最近…あんまし逢ってくンないし…うっ あっ あん ワタシのことキライになっちゃったのかなぁって…不安で…
潮吹きながら 女「あ゛あ゛ あ゛い あああ゛ い゛ぃ゛
男「真由子さん 不安になったのはボクが先だよ ボクのオチンチンで 真由子さんは満足なのかなっ て エッチな真由子さんを もっとキモチヨクしてあげないと って 焦らして焦らしてセックスしたらいいのかなっ て ごめん…それで勘違いさせたみたいだね…
と チンチンを鼻先に突きつける
スーーーハスーーーハ
女「もうっ…そんなコトしなくたって このオチンチン最高に好きッ 健太郎くんのオチンチン舐めたい…ガマンしないよ…
男「うん 真由子さん…
女「久しぶりだからぁ… がっついちゃうかも…
シコシコシコシコシコシコシコシコシコ
女「へへへっ
クンカクンカ
女「いただきまぁ
れっ
女「す
カプン
男「お…あっっ
ぷちゅぷちゅぷぷっプハプハプップップチュプチュぷぢゅるる
男「あ゛あ゛ぅ
ポォッ
女「やぁんっ
と いったんオチンチン飛び出ちゃうシーンまでで9頁
しかし即座に咥えなおししゃぶり舐めころがし2頁かけて口内射精
と同時にドアーが開き 勢いよくカレーライスを手に女転院が登場
男「見られちゃった真由子さん 止めないとマズイよ…あっ
に対して
女「ここで止められるわけないよ健太郎くん… セックスしよ? セックスして? セックス始めます
男「はい…
ってなワケで14頁目で
「ん…あれ? 場所どこだっけ…えへへへ…
とぼけかましながら尻おとしてオチンチンを捕まえると
あとはもう怒濤のセックスセックスセックスの嵐で
男「ゴメンね…いままでの分を全部出すよ
女「射精してぇ くれてるぅぁ!!! うれしいよォうれしいよォ ダメダメ!!!!いっぱいこれっい~~ぱいで はぁと あ゛噴いちゃう!!?もったいないもったいないい!ザーメンもったいなくってキモチいいヨオ!!はぁと
で 健太郎くんの中出しで真由子さんは安心しちゃたもンだから ついついアレが欲しくなっちゃったワケなんですね?
巻末6頁の描き下ろし後日談も最高なのでございましたよ☆
『 全ての女の子には幸せにならなければならない義務がある 』
★×10
『 袮津さんが来てくれる 』 ( 22頁 )
ヒッキーなひろあきくんの家に毎度のことらしい委員長の真実子ちゃんがプリント持って訪ねてきてくれるお話なんだけど
襖を開けたその先は 雪国だった というお話です
もとい…
でっかいチンチン握りしめて まさに先端から子種汁を大噴火し その先端がいまだ宙空にあるという美しきストップモーション?
ここで真実子チンは慌てず騒がす 『 3秒ルール 』 を適用するあたりはさすがに委員長
そして…
おもしろすぎるので以下略
『 さらば、純喫茶マスタング 』 ( 24頁 )
行きつけの喫茶店で客の黒井くんは馴染みのウェイトレスのかなこちゃんから閉店リニューアルの報せを聞かされる
メード喫茶
ナリキリ女とナリキリ男の哀れなナリキリシュミレーション
『 彼女を救うすべをもたぬボクは精子が子宮をたたくその音であしたの足音を消した 』 は 「どうして?謝らないで」の彼女のセリフと対になる残念星人男方面的最悪思想
このオチをすんなり描けちゃうあたりが シビレルほどに鬼才だと感じるのはオイラだけではあるまい
『 夏に処女がすごい減る 』 ( 22頁 )
『 セックス ありがとうございます!!! 』
この 一語に尽きる
オチの黒さもステキすぎるぜッ★
『 ありがとうマリーさん 』 ( 22頁 )
入院中の番長に代わって女手ひとつで番長をまとめ上げていたマリー姉さん
が
しかぁしッ!!
気にくわないテカどもは みかじめ料を要求
多勢に無勢で花と散り 公衆便所と成り下がった挙げ句 結果 テカどもを増長させるハメとなり
プライド捨てたヤクザモンの末路を思い知らされるという寸法
最終頁 天狗になったテカ軍団の前で 怯えたキツネリスのように弱々しく俯くマリーさん
「あの…さ」
で 幕引き
その18秒後
もはやピクリとも動かない無惨に地にまみれたテカ軍団を憤怒の形相で睨めつけ仁王立つ番長に抱きしめられながら懺悔と後悔の念に泣き濡れる マリーさんの瞳には それでもあすを憂えるかすかな笑みがあったという そんなお話?
『 スクールカウンセラー琴音 』 ( 24頁 )
本単行本で唯一救いようのないほどダークな作品
可愛い男子生徒くんにスクールカウンセラーの臨床心理士なお姉さんが完膚無きまで堕とされるまでの一部始終なお話
とにかく黒さが抜群☆
『 だめになる酒 』 ( 22頁 )
部活の合宿旅行で コーチとラブラブな女子マネージャーさんでありましたが
ちょっとほったらかされたのがシャクに障り 勢いで飲んだ酒に呑まれ
結果 堕ちる
気づけば肉便器
注意一秒怪我一生
七転び八起き
負けるなマネージャー
あしたがあるさ☆
と まあこんなカンジの本なのですが
なんと?カバー折り込み部とカバー内にある自画像によれば 著者サマは かなりのイカレポンチ系腐女子な作家様でございますがゆえ まあ さすがにすべてが体験談とまでは言いませぬが 『 セックス ありがとうございます!!! 』 とゆーコトで ひとつ著者を侵しまくる気概で抜きまくりましょうね☆
第7位
個人評価点:112点 ( 116-4 ※減点の4点は頁数が少なすぎること やっぱり読み物として170頁は欲しい )
『 天国にいちばん近い不幸地獄で蠢く少女たちに捧ぐ 』
著者:オイスター
タイトル:美徳乃不幸
発行:一水社
発売:2009年6月27日
ISBN:978-4-87076-757-7
著者の11冊目は、巻頭カラー4頁含む 『 歪んだ唇 』 『 蓑火 』 『 神隠し 』 という読み応え抜群の中編3作品および イラスト入り後書き1頁を加えた 都合152頁
カバー折り込み部は既刊表紙と目次
カバー内は特に無し
さて10冊目 『 生贄と牢獄 』 は 『 純愛果実 』に掲載された作品群だったため 久々のサイコホラー系だったけど 今回はまた全作品8・9冊目のような『 コミックMate 』の『 想いが枷となる少女地獄系 』 ( 1編は新婚の奥様だけどね ) なので そちら方面が好みだった方はぜひゲットしてクダサイナ☆ まる
相変わらずモチーフの選定が素晴らしいし 展開力は抜群だし 全作品短編だった前作と異なり頁数が確保されているためドラマが分厚く仕上がっていて それもデビュー以来十八番としている 『 何だかの想いが枷となって不幸の泥沼に突き落とされる少女たちの地獄絵巻 』 系の作品なので 表紙見てピンと来たら即買いせよッ!レベルの作品集です
なので解説は不要でしょう
おしまい
って、それじゃあいくらなんでも乱暴すぎるし、オイラ自信もつまんないし、もしかしたら既刊を持ってない方もいらっしゃるかもなので、ちょっとだけ作品解説でもしてみましょうかね?
ところで巻頭カラーの弊害で 美味しいところが最初に来ちゃうのは エロでは絶対にプラスにはならないと思うのですが
いっかな改善されないカラーシステムに たしょう嫌気がさしてます
あと 『 蓑火 』が現在著者レベルとしてはちょっとだけ弱かった かもです
個人的には前作の 『 サイコホラー 』 に めっさ惹かれるものがあったのだが 本作品集の方がエロとしてはとっつきやすいテーマであることは確かでしょう
『 歪んだ唇 』 ( カラー4頁含む38頁 )
これからシアワセ街道な人生の一大イベントへイザ鎌倉という男女生徒 『 友輝 』 と 『 敦子 』 が、歪んだ女生徒 『 小夜子 』 の嫉妬で二人まとめて完膚無きまでに強姦され 玩具にされ 不幸のどん底に突き落とされるお話
ってか正気すら奪われているので本人たちには不幸の意味さえ解らないかも…という地獄
緊縛拘束され 女生徒は髪を刈られ カレシクンはちんちんに膨張注射され スタンガン スタンガンで処女喪失 連結時にストンピング 乳首ニードル クリピアス引き絞り アナルセックス時にマシンガンフィスト フィスト内臓壁越しセンズリ 両手フィスト などなど
反動で吐血し 地獄の責め苦に常軌を逸するカノジョの憐憫で抜きまくれ★
『 蓑火 』 ( 34頁 )
たぶん とても普通に仕合わせな新婚夫婦の家庭に忍びよる罠
凌辱された妻 『 月乃 』 は尻穴にとんでもない貞操帯を装着され鍵をかけられ帰されるが…
鍵欲しさに 約束の3日後に出向いた森林公園で完膚無きまでに快楽を植えつけられ
そして 解放されるのだが…
SEXは心でするもの
お互いの心と心が通い合って初めて満たされる
「心は繋がってるよね」
いくらそう自分に言い聞かせたところで
心なんかすぐ変わるけど 体は一度変わると戻らない地獄
尻穴貞操帯ディルド三日間の刑 野外調教 失禁 脱糞 輪姦強姦
とちゅうまで夫を心の拠り所にし今夜の夕飯のことを思い巡らせ思考を逸らしていた月乃に決定的な快楽という名の麻薬を憶えさせる男の仕打ちが素晴らしすぎ
ほか2編の凄まじいばかりの狂気の間に位置すると 逆にリアリティーすら感じるが
作品としては手堅いものの 近年のオイスターとしてはズ抜けてないかもしれない
『 神隠し 』 ( 74頁 )
とある時代の とある関西河内方面っぽい山村の物語
『 壱代 』 と 『 千代 』 という姉妹の不幸地獄の物語
いきなり巨人なケモノじみた男に山道で遭遇し 完膚無きまでに欲望の餌食と化す壱代
檻から逃げ出した男は大旦那と呼ばれる壮年の男の息子であった
ニオイで気づいてしまう勘のよい千代
オイスターの不幸物語な地獄絵巻のパターンを知り尽くしてるあなたなら ここから先はたぶん解説不要でしょう
ってか シカケが秀逸すぎるので 解説はむしろ野暮でしょう
ってなワケで想像してたのしんでくださいましね
ともあれ
いいもン魅せてもろたわ ありがとはんどすぅ♪
ともあれ
今後も凄まじい作家であり続けてください
狂気を愛し残酷な神が支配するオイスターの地獄絵巻な世界を覗いてみたいあなたへ
次元を超えた甘美なる毒薬
第8位
個人評価点:109点 ( 113-4 ※減点の1点はかすかに分厚すぎること ※減点の2点は表紙の塗りがペー太らしくないこと ※減点の1点はオリジナル版のあとがきがオミットされたこと )
『 ナメクジの恩返し★ 』
著者:ジョン・K・ペー太
タイトル:激!!悶絶オペレーション プラス
発行:コアマガジン
発売:2009年1月10日
ISBN:978-4-86252-525-3
今は亡き桃園書房からの3冊目 『 激!!悶絶オペレーション 』 の短編全作品に当たる 短編8編ショート4編に 描き下ろしの2編を追加し 旧作1編を改訂した復刻版で イラスト入りあとがき 『 残尿感でPOGOダンス!! 』 2頁付属な 総210頁
カバー折り込み部にカラーおよびモノクロイラスト アリ
扉絵にカラーイラスト アリ
目次にモノクロイラスト アリ
カバー内は 恒例のアレ☆
※ すでに当ブログで紹介済の作品集なため 作品への想いなどは割愛させていただきますね
関連:
女と男の肉体で壮絶な破壊誇張的バトルを繰り広げるイカサマ魔術師にしてボケとツッコミの肉体派お下劣系コメディアンなハードコアヘタレパンカー『ジョン・K・ペー太』桃園時代のジョン・K・ペー太(その2)コアマガジンな時代のジョン・K・ペー太(その1)第9位
個人評価点:109点 ( 110-1 ※減点の1点は分厚すぎること )
『 ドーナツたべたら まんなかのあながなくなった あなたはいったいとせこへいったの? 』
著者:浦井民
タイトル:Hole・sweet hole
発行:茜新社
発売:2009年11月20日
ISBN:978-4-86349-109-0
著者の処女単行本は、LO持ち込みから苦節半年でようようデビューに漕ぎ着けた『 COMIC LO 』 2006年11月号掲載にして当単行本の目玉シリーズでもある長編 『 LET'S GET LOST 』 ( 全8話 = 174頁 ) に3編の短編をセレクトして、イラスト入り後書き1頁を加えた 都合232頁
カバー折り込み部にカラーイラスト アリ
カバー内には 『 読者へのお礼イラスト 』 と 『 後日談漫画 』 を収録
不満なのは 短編 『 つるのおんがえし 』 のラストがナゼにギャグなのか?ということくらいで エロシーンでのヒロインのセリフのリアリティー不足を除けばストーリーの分厚さとしては今期ベストの内容で 感無量でございました☆
あと 凌辱系はまだインパクト不足で甘め残りながら パートナーの男性がきっちり相手を見つめて変態的なセックスをしかけてくる系統の作品は すでに完成度も高く 現状でも充分スペシャリストとしての風格すら漂っているのが凄いです
当然と言えば当然ですが オイラの右手はちんちん専用なので 左手だけで楽々めくれる本以外は抜きツールであるいじょう常に減点の対象です
なお本作は1編除けばすべてLO作品ですが ロリコンものは皆無で 中学生男女の変態純愛物語がメインですので あらかじめご了承くださいませ
基本的にモノローグなフキダシを多めに用いて心情を読者にたれ流すタイプですので 苦手な方は回避してクダサイナ☆
『 春爛漫 』 ( 16頁 )
検尿の設定がファンタジーすぎて 尿意を我慢して膀胱炎になっちゃう人が続出しそうなので それだけが減点ですが ぶっちゃけ100点満点超級のステキなエロ物語にうっとりでした☆
特に記述はないものの推定小6の兄と小5の妹の変態純愛物語なのですが
ちんちんをまんこに挿入しなくても性欲が充たされるというヒトという生き物のみに許された変態セックスの素晴らしさを堪能できる極めつけの逸品です
モチーフは 『 妹の兄への恋心&妹の引き立て役に徹する変態な兄 』
イベントは 『 検尿 』
テーマは 『 大好きな兄に恥ずかしい姿を見られたくなくて とびっきりの墓穴を掘る妹の一途な乙女心 』
クライマックスは 『 人前で 赤ちゃん抱っこな野外放尿 』
コンセプトは 『 赤っ恥のインパクト 』
わずか16頁に思いの丈を詰めこみまくった分厚いドラマに乾杯です
オイラと同様変態な方へなら 最上級の著者よりの贈り物☆
『 誰を怨めばいいのでございましょうか 』 ( 16頁 )
年齢のワリには相当に大人びた 弁当屋サンでバイトに勤しむ14歳の巨乳女生徒が 彼女の正義漢ゆえにクビになった32歳の性格破綻系変質男にスタンガンかまされ緊縛され有無を言わせず強姦されるお話
エロシーンのヒロインのセリフにリアリティーが欠如してるのと
強姦時の描写の抜き挿しの連続性が弱いのと
シーンに 『 間 』 が不足していて 絵本みたいに流れてしまうため インパクトを造り切れてない ( 特に髪の毛を引っ張られて膝立ちさせられるシーンとかは勿体なさすぎ ) のとか
エロシーンのコマ展開が一般漫画的になっちゃっている欠点がてんこ盛りながら これもモノローグのテキストとしての好さで充分味わえるうえラストの落とし方もサビが効いててなかなかよろしかったですね
まあ 16頁しかもらえてないのがそもそもの欠点でもあるため著者の責任とばかりは言えないものの やはりポイントとなるシーンにもっとコマ数を使って展開にインパクトをつくってほしかったというのが本音ではありますが
充分堪能できるレベルではありました
『 つるのおんがえし 』 ( 16頁 )
まだ小娘なので肉体で恩返しは出来ませぬとのたまう鶴小娘 ( 爆笑 ) を とにかく性欲の捌け口にしたいがために難癖つけて犯しまくる人でなしな人 ( だからこそ人という説もアリ ) のお話
エロを描くために無理矢理でっちあげた感が強く 今回の作品の中ではダントツに漫画としての趣しろさに欠けるが 成コミ市場基準なら 無論 充分に趣しろい部類である
セリフのカケアイに著者のセンスの高さが滲み出てはいるものの やはり才能の無駄遣いも感じてしまう
エロシーンは やはり セリフを 無理矢理現在成コミ市場風味に仕立て上げてる違和感が強く そこばかりは大いにいただけない
まあ まだ処女単行本とはいえ いまのうちにトップランナーたちのエロ技法はひととおり盗んで欲しいと切に願う
けどまあぶっちゃけ オチャメにやるせないステキなエロ漫画ではございますがな
『 LET'S GET LOST 』 ( 174頁 )
この連作系長編も 短編 『 春爛漫 』 に負けず劣らず 変態な方へなら爆裂推奨クラス
あまつさえ モノローグのよさで174頁の倍量以上はゆうに膨らみのある分厚いドラマに仕上がっていて 成コミに漫画としてのきっちりとした味付けを希望する方へなら さらにお薦め度も上がる
幼馴染みな男女生徒が紆余曲折の末 単なるセフレから本当の恋人へと愛を深めてゆくお話
まあ ミゴトのひとことなので解説は省くけど
その手のドラマが好みな方は 何が何でもゲットせよッ!!
ってなくらい素晴らしいエロ漫画でございました まる
お終い
あっ?
いちおうメニュー的なこと
①失恋の男子生徒のやり場のないリビドーを義理堅さが災いして処女喪失まで持ち込まれる女生徒
②ドーナツな賭けから 初めてのフェラ ⇒ イラマチオ ⇒ セカンドセックスで初めての快感
③通学列車で勘違いなノリノリ痴漢妄想爆裂乙女心沈没編
④保健室自慰見つかっちゃってオモチャでチャチャチャ☆
⑤そのまま初めてのアナルセックスでエクスタシー
⑥罠にハマって輪姦地獄 ( その1 )
⑦罠にハマって輪姦地獄 ( その2 )
⑧ひ・み・つ
ってな流れですよ?
まあとにかく 心情の紡ぎかたが抜群
小さなイベントを上手に繋げて上質ラノベクラスにまとめあげた手腕がミゴトのひとこと
なにはさておき パートナーのキャラ設定勝ち
そして
メインのストーリーラインとしての主題に 第2話で絡ませた 『 ドーナツ 』 という魔法のアイテムが まるで二重奏のごとく寄り添って全体のオーケストラを引っ張ってゆく核としての美しさが絶妙のハーモニーでした
ともあれ
花マル進呈
第10位
個人評価点:108点 ( 109-1 ※減点の1点はオリジナル版のあとがきがオミットされたこと )
『 パイナップルな妹がもう大宇宙なのでありますよ☆ 』
著者:ジョン・K・ペー太
タイトル:ムチムチ!!悶絶フィーバー プラス
発行:コアマガジン
発売:2009年12月10日
ISBN:978-4-86252-525-3
今は亡き桃園書房からの4冊目 『 ムチムチ!!悶絶フィーバー 』 の短編全作品に当たる 短編8編ショート4編に コアでの新作系な24頁漫画1編と そのオチとしての続編描き下ろし漫画5頁を追加した復刻版で イラスト入りあとがき 『 残尿感の祭り 』 2頁付属な 総202頁
カバー折り込み部はカラーイラストと目次
扉絵にカラーイラストとモノクロイラスト アリ
カバー内は 恒例のアレ☆
※ オリジナル版はすでに当ブログで紹介済なため 作品への想いなどは割愛させていただきますね
以下 追加された作品のみちょっぴっとだけ
『 バーニングJETビーチ 』 ( 24頁 )
コアマガジンの 『 COMIC 0EX 』 第20号 ( 09年7月発売 ) に掲載された作品で
髪型がパイナップルな めっさカワユスな妹くんが 誰にも頼めない恥ずかしいコトを兄者に告白して いたしてもらうというお話です
憧れの 隣の席の君に借りたシャーペンをくすねて宝物にしてオナニーに使用してたらウンチ穴にハマってさあ大変ってなワケで
あとはもう たぶん誰しもが想像するとおりの展開になります
まあ 言うこと無しな展開の末にラス前頁の脱腸が素晴らしすぎましたが
にも増して あどけなく爽やかにキラキラとボケをかましてくれる妹くんの天然ブリに 脳味噌が粟米湯状態になってしまいました☆
『 おまけの触マン 』 ( 5頁 )
前述作品の後日談なのですが
もう ヤメテクダサイ 笑い死にそうです☆
兄者殿が釣ってきた蛸に横恋慕した妹くんの一人芝居が
短編映画並みの破壊力デス
蛸クンもがんばりましたあ☆
最終頁は もう完璧にヤバ過ぎですう☆
はぁはぁ…
ってなカンジですが オマケが2編も入ってた 『 激!!悶絶オペレーション プラス 』 と比べると5頁だけなので ちょっぴり残念な気もしますが 買い換えて損は無い逸品でしょう
もと作品レベル自体は 『 激!!悶絶オペレーション プラス 』 と ほぼ互角といったところですが 個人的になら3冊目の方が若干好みかもです
ペー太の作風のうち個人的にベタ惚れしていた逆方面内視鏡図がわずか1シーンのみと大幅に激減したことと 必ずと言っていいほど描いてくれていた男性のイキ顔が減少しちゃったことで 流れのなかのトキメキが弱くなっていると 個人的には感じるからです
無論 読者から飽きられないようにSMチックなプレイや露出風味な恥辱感も加味されてはいますし 作画面はさらに安定してきてるし さり気なく初挑戦のこともトライしてくれてるし 文句のつけようはございませぬが
ともあれ
今年の聖夜あたりには復刻版が出てきてくれるんじゃないかとタノシミにしていたのですが
ちょっぴり早めに出てくれやがりまして
ありがとうございました の オイラです♪
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