霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第1巻 』 ( 42頁 )
発行:月刊制作委員会 (仮)
発行日:2003年11月16日
描き下ろし
10冊目の単行本
※評価は5巻通してのもの
作画力 ★3の上
発想力 ★4の中
コマ展開力 ★4の下
物語性 ★4の中
世界観 ★3の上
テーマ ★2の下
想いのドラマ ★3の中
漫画的総合評価 ★3の上
ファン的宝物度 ★5の上
さて、霧恵マサノブの10冊目なのですが、以降14冊目までの所謂商業デビュー直前までの3年間、霧恵マサノブは、この作品ひとつに打ち込むことになります。
残念ながら第1部全4巻および物語世界の補足である第5巻 『 ZERO PLATTER 』 の発行をもって、頓挫しましたし、読者に物語を提示する順序としてはお世辞にも誉められないものもございますし、そもそもアイデアを魅せびらかしただけで謎さえ回収できてないとか、テーマ自体が多方向に分散しすぎていていまだに不透明であるとか、完結不可能ゆえのジレンマは五万とございますが、この作品なくして 『 LeviAThaN 』 は 誕まれ得なかった と 断言しても オレ的には間違いないシリーズですので、ファンな方は血眼になって探してクダサイナ☆
レビューを書き始めた頃は売れ残ってたはずなのですが、あまりに時間がかかってしまい、先日の著者HPの日記を拝見したところによると完売とのこと、入手は困難かもしれませんが… ( 汗
とゆーワケで、手元に作品が無い方がほとんどと思われますので、なるたけ、きっちりと筋がわかるようにレビューしたいと存じまする。
霧恵昌朮 『ヤクヤのカバネ 第1話』 ( 16頁 )
霧恵マサノブにしては珍しく冒頭1頁がタイトル
で、下段の約3分の1スペースが 『 のり2 』 などに見られた 手書きのロゴなんですが、一見すると、きちゃねえ文字にも見受けられるものの、よくよく観察すると、とてもビミョーなこだわりに充ち満ちていて、とても棘皮動物門楯手目的にステキな発見をした気になれるところが、ミソなんですね、はい。いや…でもフツーに見ると、アレですよ?
ミミズや蝸牛が這ったあとみたいな…あるいは、潰れて死にかけた昆虫が体液をたれこぼした跡みたいな…もしくはユメナマコの威嚇行為とも、受け止められるような、られないような、そんなカンジ ( どんなだよ?
なのですが、さておき、残り3分の1を縦4分割した上段で、主役らしき人物をクローズアップさせるという、あちがちとはいえ、長編では常道ともいえる手法で始まります。
物語は、どこかの炉端焼きらしき店の、ステージ?みたいな場所 ( このへんは相変わらずイメージしにくい構図というかコマ出し惜しみというか、店全体のイメージはよくわかりません=設定図はつくってないと思われ ) で、いきなりスッポンポンでチチ揺らしながら裸体を魅せびらかしてる眼鏡の女性という構図ではじまり、コマ内で、デストロイヤー ( 古っ ) みたいな覆面の男とカープ帽の男とオコチャマ1名の都合3名が、ビールのみながら、なごんでます。
して、オコチャマがのたまう
「にいやん! あたしは身体の中に
キュビエ器官 を持っている」←熱帯産のナマコかッオマエわッ!!
覆面男「……知りたくない情報だ」
などと、ヨッパライらしくボケまくり
しかし、
『 模様人間探索 』などという、いきなり本題かな?会話に移行し、
ともあれ、
模様人間は、前の戦の原因になっただけあって超絶希少種
『 ザナドゥ 』 で調べてあげようか?
『 電撃王の一撃 』 でオシャカなんだろ? 第一、データ残ってたら依頼自体来ねー。
などと意味深な会話に振り、
オコチャマ「まあまあ。にーやんも ねーやんも ここな天才魔法使いのスピカさんがどーにかしてあげるって」
そのあと、ちょっとおもしろい と かなりおもしろい の 狭間くらいのギャグに振りつつ、
カープ帽の男 『 九重最強魔法使い 』 とか言って そもそも、大体、お前 人間かどうかも怪しいじゃねーか!?」
魔力を疑われたスピカ 眼で芸を成す
蝙蝠蛸かてめえ!
種どころか門から違う~ッ。
※コウモリダコとは
界:動物界
門:軟体動物門
綱:頭足綱
亜綱:鞘形亜綱
上目:八腕形上目 ( ※十腕形上目・コウモリダコ目 に分類する諸説もアリ
目:コウモリダコ目
科:コウモリダコ科
属:コウモリダコ属
種:コウモリダコ
に、分岐生物学的に系統分類される深海生物で、実際にはイカでもタコでもなく、彼らが種として分化する以前に存在した祖形を継承している、唯一の現生種であると考えられているのが定説
無論、これは暗喩であり、スピカがコウモリダコであるという意味では断じて、ない
と思う。
軟体動物門に属するどころか むしろ棘皮動物門ナマコ綱板足目の一員なんじゃないかなとオイラは踏んでいる。
それがユメナマコだったらいいのになあ ( 萌
とか思ったり
ちがうだろ?
思ったり
でも生で観たことはさすがに無いけど、やはりコウモリダコは捨てがたく、DVDで初めて泳いでる御姿にお逢いしたときにゃ、目から鱗が落ちるどころかキュビエ器官から大量のウンコナモノがお出ましになったことを、いまでもよく夢の中で想い出すほどだ。
ともあれ
そこへ「やかましいぞ」と乱入する鎧武者
喧嘩上等で啖呵きるカープ帽の男は、瞬時にクナイで帽子を落とされ波平レベルのハゲだと知らされ、
宇宙人コスみたいなヘンテコ兄弟 2コマ魅せつけ、
『 最前線へ行った二本差しの生き残り 』 という眼鏡女のセリフで、カープ帽の男を 『 ムラジ 』 と知らしめ、しかも「実はハゲでホモ。あまつさえ趣味、脱毛」とつづけムラジの未来予想を80%的中率で語るくだりが鰹の烏帽子 もとい霧恵節
だが、しかァしッ!!
そこへ敢然とたちふさがったのはスピカであった まる
スピカは自らのワンピを臍上までまくりあげ、
縦1本スジを やおら魅せびらかしたのだったッ!!
幼女のスジで宇宙人コスな兄弟をなごませたのち、
襲いかかる鎧武者に、途端、背を向けるスピカの運命は如何に?
而して待て、以下次号に請うご期待★☆★
とゆーのは嘘で、あと6頁あるんだが、つづく3頁は、あまりにも素晴らしすぎて ( おぞましすぎて ) とても語れませんが、想像してみてくださいまし ( 陳謝
ヒント
11頁:スピカは本当にキュビエ器官もってましたあッ!!隊長ッ☆ ( 汗…
12頁:さしもの宇宙人コス兄弟もゲロってるほど、グロなごみまくりでありますッ!!
13頁:ムラジは背番号1のアイツでしたあッ。かの男前泣き虫野郎でありましたぞォォォ
して、14頁目は、騒動を余所に酒場から逃げ出す彼らの図というつなぎなんだけど、今霧恵レベルと比較すると絵の完成度もコマ割りも、かな~りショボ~イ
15~16頁目は、上手くまとめてるだけに、ちと惜しい
ともあれ、そのラスト2頁で、
これから 『 発掘図書館 』 の 『 閉架書庫 』 を目指す
『 旅館協会 ( ハコダテギルド ) 』 から絶対に追っ手がついてる
追っ手が来てることを確認
覆面男いわくスピカへ「お前が海産物だということがわかった」
などを読者に提供し、後書き2頁はさんで第2話へ
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第2話 』 ( 16頁 )
冒頭3頁を世界説明に徹します。
色々あって ダメになった世界の かたすみの物語。
人々に残されたのは
かつての世界に張り巡らされた情報網、
『 ネット 』 の痕跡。
いくらか分断されてはいたが
その 『 究極の魔導書 』 は
それを操る 魔法遣い達によって
徐々に修復されていった。
そんなおり、
比較的破損の少ない巨大なサーバが発見される。
発見されたそれは 『 Xanado 』 と命名され、
内包していた文明の残滓とそこに集められた膨大な量の情報は
魔法遣い達の新たな信仰の対象となった。
しかし、
残された人々に 数限りない恩恵を与えるかに見えた 『 Xanado 』 、そのデータの一部が完全にロストし
数日間システムダウンする事件が発生、
これが俗に言う 『 電波王の一撃 』 である。
という語りの部分で提示されたのは、多分に 『 電波塔の魔法遣い 』 の世界観とリンクしてるんじゃないかと邪推
ってか一目瞭然
さらに巻頭にイラストがあった、現状では謎の人物 ( 銃を携えた女性 ) も描写。スコープが望遠鏡みたいな古代未来合わせ技的仕様がカッチョイイ☆
さて4頁目
くだんの4名が軒下で雨宿りな図
眼鏡女は迂回路を検索すると言い、眼鏡で読み込んで網膜で情報探索してる?もよう
一方、スピカは雨中にとびだし
大口あけて雨をガブ飲み
結果
が、
いやバカすぎるだろ?ソレ…
やはり人間業とは思えない能力?を見せつけ
そしてムラジのセリフ「スクネ~、灯火魔法使って~」により、眼鏡女の名が知れる
スクネ、送電線を読む
見つめる覆面男に「なに?私にホレた?」
のあとの、「本当 ( ホント ) 、似てるなあ ってね」 は、たぶん伏線 ( 実はモロバレ ( ただし要読過去霧恵漫画
で、電気点く
なにげに、いまショッピングモール風背景世界を、スクネは、
少なくとも 『 黄金期 』 以前に造られたと断定
「まだ神のおわしませぬ神代の時。神無き神憑りの時代。外縁部に残る朽ちない建物も、私達が遣う魔法の原形も、みな、その時代のものだそうよ」と続ける
でもって、このあとくだんのスピカ方面のギャグに振るが、霧恵おもしろレベルからするとイマイチかも
と、そのときスピカの後方に巨大な獣、出現
11~13頁までわずか6コマで、漫画描きなら絶対にやってみたくなるであろう贅沢なコマ割りのうちに、巨大な獣にパクリンコされるスピカと、それを見てる3名様の驚愕を下段3分の1で流すが、アイデアは秀逸なれど、画力的にそれを活かしきってはいないかもなので、いつかこの物語が陽の目を浴びる時代が来たときき、激しく描き直し希望
して14頁目で一転
大樹が映し出され、
ユグドラシル的内部建築物世界で対峙する女2名の図
眼鏡女「野々村さんはどこ?」
猫耳女「外へ。仕込まれた荒ぶる魂を鎮めに」
猫耳女「それにしても先の一件、あれの存在した証拠 ( あかし ) と一緒に酒場ごと丸々消すなんて…いったい何人死んだのやら。 『 シノ 』 様ともあろう人が何故、 『 狂人同盟 』 なんかを?」
眼鏡女 ( シノ ) 「怒りや悲しみ そして憎しみ。人間 ( ヒト ) は善意の感情だけで構成されているわけではないわ。それにあれは 『 模様人間 ( ユカたん ) 』 の懸案よりも重要であると考える。有間さん、あなたならわかるはず。中道の超越者たるあなた、なら」
と、そこでシノはゾクゾクッとシビレタようになり、
猫耳女 ( 有間 ) は、口から糸引くヨダレを指までしたたらせながら「電波王も大変だニャー」
どうやら近未来風情的椅子に腰掛けている電波王 ( シノ ) は、
左腕が欠損しているらしく、物憂げな表情を読者に提示しつつ、
そしてあとがきをはさみ2巻へ続く
恒例の奥付ポエム
白い雲に照らされて
ひかり輝く 瓦礫が好きだ。
青空のそよぐ風と
割れたコンクリからのぞく
かすかに揺れる タンポポが好きだ。
廃墟に泳ぐ 魚のように
しばし幽世 ( かくりよ ) に 心をそよがせて
いましばらく 旅人は
涼やかな木陰にもたれ
まどろむ。
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第2巻 』 ( 46頁 )
発行:月刊制作委員会 (仮)
発行日:2004年5月4日
描き下ろし
11冊目の単行本
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第3話 』 ( 16頁 )
さて、第3話の前の目次頁に登場人物紹介有り なのでご紹介
■ DREIMINION ( ドライミニオン ) 電波塔管制塔で働いてる謎結社
■ YAKUYA ( 八色 )
□ ムラジ ( 連 )
戦士。右腕。限りなく波平に近い髪型の青年。過去世界の闘争術 『 やきゅう 』 に心酔し愛用する。
□ スクネ ( 宿袮 ) 盗賊。制御者。酒を飲むと脱衣する性癖を持つ露出ねえちゃん。連れ合いは大変だ。
□ イミキ ( 忌寸) 僧侶。頭。装飾。覆面のクールなにいちゃん。なぜかスピカになつかれる。実は主人公。
■ CycloDynamis ( キュクロディナミス ) でっかい樹に住んでいる謎集団
□ 電波王志乃
魔法遣い。簒奪者。十六年前の災厄 『 電波王の一撃 』 の張本人にして 『 神殺し 』 の異名を持つ大罪人。ちなみに前作の主人公。
□ 有間由佳理
獣人。キス魔。超越者。志乃となんだか怪しいことをしていたが あの先を描いたらこの本18禁。 ( どうしよう )
□ 野々村林檎
獣人。犬嫌い。隷属者。ミノス迷宮の入り口を守る 『 不殺 』 のスナイパー。元本より性格がだいぶ円い。眉毛太っ。
■ Madman Alliance ( 狂人同盟 )
□ 東兄弟 ( 弟 )
本名 東京太郎。電波がすごい。超モッコリ。
□ 東兄弟 ( 兄 )
爆弾がすごい。超モッコリ。実は彼らは義兄弟。スジに釘付け。
■ PilesNine ( 九重 )
□ スピカ
( ココノエ・イペル・イオタスピカ )
魔法使い。潮干帯の岩場に棲息。いじめると何か出す。程よく太った後、犬に食べられた。本作のヒロイン…え~?
■ 所属不明
□ 謎の親父
ステキ。ヒゲが。
1頁目
崖の上に立つ人影
いずこかへ ひとこと
魔法使いっぽいフード付きローブをまとった眼鏡娘の頬には謎の模様が。これが模様人間 ( ユカたん ) なのか?
右肩にカニが乗ってるところがポイント☆
2~3頁目。
「見つけたよ お兄ちゃん」と、東弟のセリフより、その後語られるのは主にスピカたちのことではあるが、おそらく、前の模様人間にかかってるのではないかとも推測
タイトルのロゴはカタカナとアルファベットの重ねになる。もう糸引きミミズはやめたらしい
東兄弟のボケぶりがナイス
特に2頁目の構図がよい
4~7頁目
そこへ現れしは謎の親父なくだんの鎧武者
双方の会話で、東兄弟こそ酒場をなぎ払った張本人と知れる
なんとなく、ヘンナモノを出して ( ちょっと絵がわかりにくいが ) 謎の親父を倒したらしい東兄弟
が、「
本物の魔法みたいだろ?」と弟本人が言うのでニセモノ魔法らしい
謎の侍は電波王の子飼いの侍であるとか
アクションシーンはやはり、分かり易さが不足なので迫力も出てこない
8~16頁
ゴタゴタしていた7キロ前方。地下10メートル。な、
スピカ方面へ
巨大な獣がスピカを呑んじゃうところから
あとは怒濤のアクションシーンで
ラストまで
なんだけど、やっぱり、アクションシーンは上手くないなあ
見た瞬間に、何をやっているのか不明瞭な絵が多くて、ゾクゾクしない
よーするに、少年週刊誌での人気のアクション系作品のような、脳内で勝手にシーンが流れていってくれるようなレベルには、到底まだ至っていない
ので、3話はもういっぽ
わざわざ呪文を詠唱してまでムラジが 『 水極腕 ( みきかいな ) 斬断形態 』 とか放ってくれるワケだが、くだんの 『 影技 』 みたいなド迫力もない
そういう絵的な部分いがいは上々なはずだが、絵で状況を伝えきれてないので、作品世界に引き込まれないのが惜しい。ってか、惜しすぎる
とりあえず、巨大な獣は オルトロス級拠点警備用加工獣 『 番犬 』 と知れるが
トドメのはずな「お前も仕込まれた魂に盲従する哀れなケモノか。引けぬなら、せめて俺が祀ってやる」の イミキの一撃も回避され
「認識 ( みえ ) 」てやがる!!
「スクネーッッ開錠してくれーッツッツ!!」
とハラハラさせたところで
ともあれ、過去作品紹介 『 剣師物語 』 な あとがきをはさみ3.5話へ
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第3.5話 』 ( 4頁 )
冒頭いきなり初登場する娘は、目次にあった紹介のおかげで野々村林檎と知れる
武器取扱店のカウンターで店主に向かって弾丸の精度が悪いと悪態をつく林檎
店主「実砲の再利用専用スキルを持つ人間 ( ヤツ ) などここにはおらん。雷管の制度は上げようがない。戦闘職業に限らず 生粋の純血技能者は数が少ない。その中でもおまえさん達は特別中の特別。芸術的とさえ言える特注品だ」
野々村「あの猫と一緒にしないで」
店主「魂に猛き獣の本能と相反する忠誠心を刻み込まれた愛玩種…」
店主「おまえさんに 人が殺せるのか?」
いきなり右手で店主の腕を極めながら肘を落とし、野々村は銃をつきつける
野々村「己が体内に流れる血脈に自ら縛られているのは私もおまえも変わりはしない」
店主「おまえさんは優しすぎる。狂うこともできぬ哀れな子犬だ」
野々村「シノ様に飼われている責務を果たせ。次に不備があればその時は おまえが私のはじめてだ」
そして屋外。
ひとり仁王立つ野々村にすりよる子犬 ( めっさカワユス
その4コマ後 野々村は
強烈に 犬の顔面を 踏みつけた
この最終4頁目のコマ展開はバツグン
でもってそのまま過去作品紹介 『 掃除屋 』 をはさみ4話へ
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第4話 』 ( 16頁 )
1頁目
いきなり物語の世界観にかんする重要な事実が提示される
後に、 『 ネオ・バロック 』 と呼ばれる時代。
西暦 2000年8月29日 午前6時25分
アメリカ合衆国 ミネソタ州 ミネアポリス
世界初のオートクチュールベイビー、 『 デザイナーズチャイルド 』 誕生。
この日、人類は繁栄と引き替えに 自ら、連綿と続く憎しみの鎖 『 怨嗟 』 の端相を手にとった。
やがて世界を覆う、偉大なる黄金期 ( イレギュラー ) との出会いより はるか昔のことである。
2~3頁目
どうやら久方ぶりに外へ出たらしいシノ
「外の方がご飯おいしいし ( 中略 ) たまにはお日様と風にあたんないとしおれちゃうぞ」な有間の台詞から
シノはヒッキーであると知れ
由布華が出奔してからずっと詰めっぱなし
とあるが、まだ謎の人物
この第4話は情景がきっちり描写されているのもここちよく、世界観を汲みとりやすい
して4頁目でタイトル
ストーリー以外の描写がなく、世界観を想像しにくかった 『 剣師物語 』 と比較するととてもよくなったのは、5頁目に提示されるような人々の生活感が伝わってくる描写
はたして街に着くと、人気者らしく、みなが声をかけるが、「 『 様 』 をつけんかーッツ」と、路上でたまって落書きしてた子供たちの輪に乱入して蹴散らすあたりで、有間のキャラを読者に提示してるところも、長編としてとてもよい
シノに声をかける女性は、漫画の中で名が知れぬものの、第3巻の目次で静香と判明する予定
どうやらこの作品、霧恵キャラ総動員であるらしい
描いたキャラに思い入れしてしまうのは作家なら当然とも言えるが、逆に、描けないことや発展性を縛ってしまう括りにもなりかねない諸刃の剣
ともあれ、
静香「あなたは変わらないわね。こうしていると昔あったときそのまま」
志乃「あなたは少し歳をとったかな」
静香「十六年は 女にとっては長いわ。いいえ誰にとっても充分」
志乃「……模様人間 ( ゆかたん ) のことでしょう? 完全開錠したマテリアルを持ち出して恐らく不可視 ( ステルス ) 形態化している。 『 やつら 』 に見つかる可能性は低いとはいえ こちらの探査にも引っかからないわ。ファザナドゥにも網を張ってるけど…。あの子の求めるものは そこにもすでに無いから 望みは薄いわね。
『 全てを知るもの 』 が 自分探しの旅なんて 皮肉なことだけれど」
静香「……あの子の身体はもうすぐ固定されてしまう」
志乃「自分の存在理由 ( うまれたわけ ) を知るのは……とても残酷なことだから。知って傷つき、憎しみに気がふれる。お師匠様とあの人の言葉は 結局私には届かなかった…。私達は狂人。私にはこの街を維持してゆくのが精一杯よ」
場面変わって8頁目
極度の遠視なうえ老眼が深刻化してるので、手書き文字が虫眼鏡を使用しても全然読めない ( 苦笑
ので、よくわからないが、コピー人間みたいな眼鏡女オペレーター軍団たちの報告なのか…最後のコマの円卓に向き合う3名がおそらく次の頁への振り
なのでとばして、9頁目
女「もう随分と昔、電波王になる前の彼女に逢ったことがあるわ。希望に満ち溢れた いい眼をしていた。憎むべきは彼女に混じった脆弱なる原種の血脈 ( せいしん ) といったところかしら」
男A「それが狂う前の彼女の魅力でもあったんだけどね。ともあれ今は、ミノスの壁と炎の壁の向こうに神を壟断した 『 神殺し 』 キュクロデュナミスの狂える魔法遣い ( みこ ) と言うわけだ」
男B「問題は、我々がその障壁のいずれをも突破する手段を持ち合わせていないことだ。迷宮の攻略も模様人間の探索も遅々として進んではいない。フォールドクラックのリスクは甚大だが イオタ幼体が我等の手の内にある以上 開錠と神塊制御の試験的発動は頃合かもしれぬ」
一気にこれだけ未説明の単語を並び立てられると、さすがに汲み取りにくいと思われます。
謎めいた言葉が、一つ出てくると人はたいがい注目してしまうものですが、ここまで多いと私のようなフツー脳味噌レベルだと、イメージするのを諦めてしまうというもの…
まあ、女は志乃に逢ったことあって、昔はいい眼をしてたけど、 『 脆弱なる原種の血脈 』 が混じって狂ったと。ここでいう 『 脆弱なる原種の血脈 』 が現生人類を指しているのかまでは断定できませんな。ともあれ今は2つの壁 ( 障壁 ) に守られたキュクロデュナミスの地で、神を独占して魔法遣いしてるということでしょうか。もしこの作品が 『 電波塔の魔法遣い 』 の世界観までもを完全に踏襲していると考えるならば、神は知識と置き換えてもいいのかもしれません。でもって彼らは障壁を破る技術をもちあわせていない。キーとなる迷宮の探索も模様人間の捜索も進んでない。が、フォールドクラッグうんぬん以降は、初読時ではほとんどまったくイメージできませんでした ( 涙
場面戻ってスピカ方面な9頁目下段~10頁目
しかし、スクネの魔法は申請中でいまだ発動を見ず、番犬相手に相当に行き詰まってるというシーンが流れるだけで、すぐに志乃vs静香方面に物語はバン
静香「血縁になれない子供に懸ける想いなんて…あなたにはとても愚かに見えるでしょうね」
志乃「……そんなことないわ。あなたも あの人も…、とてもうらやましい」
静香「…… 『 電波王の一撃 』 十六年前のあなたの判断は…間違ってはいなかったのよ」
というのを2/3頁ほどでやっつけて、
おそらくは、男Bであろう人物へバン
「進歩こそ生物 ( ヒト ) の証。停滞こそ忌むべき命 ( ヒト ) の終 ( おわり )。なにものにも換えがたい刻の代価はすでに充分支払った。
よろしい。イミキ・ムラジ両マテリアルの完全開錠と神塊器の部分開放を承認する」
でもって12~13頁の見開き
オミ・アソミ ( ※後に登場する2名の人名。初読時には人名だとは露にも思わず ) へのデータ転送により、神塊器 『 ココノエ・イペル・デルタスピカ 』 が部分開放を開始する の図
して、14頁目
上段:第3話冒頭の模様人間
中段:志乃に似てるが微妙に髪型とか違うし、な 女を含む 神々軍団?みたいなの
下段:スクネが眼鏡で? 『 マテリアルの開錠 』 の 『 承認 』 を確認
「変成する! 魔装 ( マテリアルヤクヤ ) 完全開錠 還元制御形態 ( レデュケイションコントロールフォーム ) !!」
して、15頁目
志乃方面
怒りに般若の形相な志乃に静香怯えるの図
さらに、このときのセリフ
「ドライミニオンの導人 ( ミチビキビト ) どもッ!!」
で、くだんの円卓の3名が誰なのか 『 生者の刻 』 を読んだことある方には直撃する仕組み
ともあれ、最終16頁目
約2/7サイズ上段に全体図としてのオペレーター集団と、中央の円卓に3名の図
残り5/7の下段を縦3分割して、くだんの3名のセリフにて第5話 ( 第3巻 ) へ
男A ( 司 ) 「ははッ 無知は罪! なれば、捨て去られた罪人の群れ集うこの世界に真実の光をもて導く我等、まさしくドミニオンの正当なる嫡男」
男B ( 諏訪 ) 「ゆえに、我等こそがこの星の清浄なる後継者 ( にないて ) 。やがて来る滅びの刻より罪人の群れを救うもの」
女 ( 友美 ) 「なれば今こそ我等が人間 ( ひと ) の未来のため ヤクヤの理とココノエの力を借りて簒奪者を討ち滅ぼし 逆賊より古神ザナドゥを解放すべし!
我等が聖地を返してもらうわ!!」
さて、あとがきにて、霧恵過去単行本の紹介がなされているのですが、今回は 『 剣師物語 』 と 『 掃除屋 』
そして、その文中で、野々村林檎 = のりちゃんであることも判明
名字と名前から先頭文字とってなんだろが、こじつけすぎ
さて、恒例の奥付ポエム
僕は犬が嫌いなのに
犬は僕に寄ってくる
親しげに鼻を鳴らして
僕の周りをぐるぐるまわる
そんな時僕は静かに眼を閉じて
彼がとけてしまうのを待つのだが
犬と虎の組成は違うみたいで
彼はなかなかバターにならない
犬はいよいようれしげに
僕の周りをぐるぐるまわる
負けじと猫もぐるぐるまわる
僕も回ってしまったら
僕がバターになるのだろうか
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第3巻 』 ( 54頁 )
発行:月刊制作委員会 (仮)
発行日:2004年11月21日
描き下ろし
12冊目の単行本
さて、目次頁の登場人物紹介より 初登場組のみご紹介
■ DREIMINION ( ドライミニオン ) 電波塔管制塔で働いてる謎結社
三幹部
ミチビキビト。
□ 諏訪孝彦
□ 越廼友美
□ 信楽司
□ ×多数 ( くだんの眼鏡女性軍団
管制室勤務。
同一の遺伝子情報を持つ並列演算処理特化型有機複製体 ( ※ 『 掃除屋 』 参考のこと
■ CycloDynamis ( キュクロデュナミス ) でっかい樹に住んでいる謎集団
□ 静香
模様人間と縁深き女性
□ 謎の親父 ( 所属不明 → この枠に分類
■ PilesNine ( 九重 )
□ ココノエ・イペル・デルタスピカ
神塊器。力。
幾星霜もの間、宙空に漂う新しき神。
■ 所属不明
□ 模様人間
全てを知るもの。
パルテノHD。
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第4.5話 』 ( 5頁 )
森の中、武器 ( ストラディバリウス = 超長距離狙撃用魔具 ) 背負って歩く物騒な野々村
岩上で悠々自適と待つは有間
野々村「何の用?」
有間「見送りだよ。キミの
はじめての おつかい のサ。それにしても保険とは。シノ様も酷いことをする」
野々村「まだそうと決まったわけではない」
有間「冗談。
それ用に調整されたドライミニオンの実行部隊と、なにより
本物の魔法使いだよ。あの二人が勝てるわけないじゃん。ってゆーかキミでさえ無理だよ。気付いてるんでしょ? 本当の目的は
口封じだって」
野々村「ああ。由布華が出奔してからシノ様は心に 『 非常 』 という名の鎧を纏われた。だが、その裡に秘めた御心は、昔からずっと変わりはしない。 『 電波王の一撃 』 も 先の 『 爆破 』 の一件も 全ては、原罪
『 怨嗟 』 を断ち切るための楔。その覚悟は我等臣下とて同じこと」
有間「そうさ、全ては次の世代 ( こどもたち ) のため。私達は笑って狂えばいい。でももし、
そうでなかったとしたら?
封滅したはずの記録 ( データ ) がまだどこかに残っているとしたら? ねえ、どうする?」
気配に銃を抜く野々村
振り向いたときにはすでに握られていた
陣内妹「ちにゃ~~ス ( はぁと ) 」
そして陣内兄も登場即ボケる
が あっさり有間の踵落としを喰らう
野々村「っシノ様に是非を問うなッ!! 我等が仕える主 ( あるじ ) は深き慈悲の御心と猛き全能の御力を持つ神に等しき御方!! 王の深き御思考 ( おかんがえ ) など我々愚臣の思い及ぶところではない!!」
有間「……でも それだと神は孤独 ( さびし ) すぎる」
いつまでも銃をつかんでる陣内妹を睨みつけて な図のボケコマ
野々村「なぜだ。造られた目的は同じはずなのに いつもいつも どうしてこう食い違う」
有間「……ワタシは猫で…アンタは犬。ただそれだけのことだよ」
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第5話 』 ( 16頁 )
冒頭から 場面は八色方面の闘いへ
ムラジ スクネ イミキ vs 番犬
「魔装完全開錠還元制御形態ッ!!」
と、なぜかスクネは上半身ハダカに ( 腹筋タマラン
が、こうゆー 一気に引き込むべきシーンでの4頁目1コマ目のギャグは、やるなら徹底的に破壊力のあるものが欲しかったが、ちょい半端
とりあえず、魔装具分解のくだりでイミキは何も好きこのんで覆面してたワケじゃないことが判明ス
契約は絶対
『 呪い 』 は操者が死ぬまで外れない
でもって、スクネ、左腕を展開ス
5頁目中央に小さくタイトルロゴをはさみ
ドライミニオン司令部の命令系統方面
「受信翼 ( アンテナ ) 展開! 術者脳波心拍数共に規定値内! 制御呪文コアプロトコル注入開始!」 ( エヴァを彷彿
でもって三幹部の信楽司「片翼だけでも完全展開したのは……あの日以来だねえ」
と、振って 頁を繰ると見開きで、使徒みたいなの
つまるところ デルタスピカ と推測
さらに翌8頁目で、三幹部による想い出語りで、過去事実を提示
友美「思い出すわぁ。十六年前の忌まわしき鬼神の翼。素敵な英雄譚と恋物語よね。御伽噺のよう」
かつて、聖地に堕ちた九番目の神塊器と その覇権を巡って起きた叛乱
『 トガの封滅戦争 』
そのなかに 古神の恩恵と二人の女神の加護を受ける無敵の侍がいた。
諏訪「だが英雄は死に 残るは電波王のみ。さっさとデルタを高速演算処理放熱構造に展開させろ!」
そのあとの3頁で、スクネの変身シーンをやっつけるが、初変身なので、もう少し解りやすく展開してほしかったかも
でもってふたたびドミニオン方面にささっと振って、約2頁、魔犬へスクネが攻撃するシーン
「真魔装 水極 ( みぎ ) 腕奥義
焦点砲 形態!!」
「惑い、震えて 塵に なれッ!!!」
が、そこで
未来椅子のようのものの上で覚醒した?別スピカなのか?
の、遠隔精神攻撃?を受け、スクネは右眼球を握りつぶされる
でもって、最終16頁目、展開上々も
上段のコマの会話は あまりにも わかりやすさに欠けて不親切だと思う。
これは作家・霧恵マサノブに常につきまとう欠点であると、身勝手に認定させていただくが、世界観に基づく難解語は、初出時にきっちりと読者に対してその意味あいを理解させるべく配慮がないと、職業作家としては甚だ失格であると忠告して戒める ( 有間風
まあ、 『 LeviAThaN 』 に於いては大いに改善されつつあったので、さほど心配はしてないが、やはりともすれば説明が後出しになりがちなので、それに苦言は十八番だし。
にしても、 『 フォールドクラック 』 は、某セカンドインパクトの発動条件的アレなのか?
でもって 『 のりちゃんと坂本君と犬 』 『 生者の刻 』 『 サクセスターズ 』 の過去作品解説を2頁やっつけて、続く
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第5.5話 』( 5頁 )
東兄「弟よ、お前に伝えておきたいことがある」
東弟「なんだいお兄ちゃん あらたまって」
有間「私達のアタマの中に穿たれた制約…いわゆる 『
怨嗟の軛 ( くびき ) 』
それによって生じる個々の認識の欠落によって 『 魔法 』 の概念は生まれる。
つまり基本的に全ての魔法は魔装具 ( マグ ) と呼ばれる
『 道具 』 を介して その効果が顕現する
単純な物理現象なワケだ。
だが、この世界には、例外中の例外で
『 星屑 ( ほしくず ) の眷属 』 とか
『 神塊の末裔 』 とか呼ばれる
『 本物の魔法使い 』 が存在する」
東兄「我等が能力を持ってすれば ドライミニオンの兵隊など いかにマテリアルを持っていようとも物の数ではない。だがあの小型魔法使い、あれはなかなか厄介だ」
有間「そうだな 例えば、野々村が好んで遣う 『 超遠距離高速攻撃魔法 』 ってのがあるだろ。アレはアレでかなりレベル高くて生粋の戦闘職業 ( キルジョブ ) じゃないとまず回避 ( レジスト ) できない。純粋戦闘では無敵に近いスキルだが、…実はあの魔法、放てる回数が極端に少ないんだ。レベルの高い強力な魔法であればあるほどそういう制約が強い。野々村に限らず全ての通常魔法は操者が外部から何らかの物質的補給をしなければ遣い続けられない。
これが通常魔法の限界だ。
ところが、本物の魔法使いにはこの制約が存在しない。
それどころか
道具を介さずとも力の行使が可能なんだ。
現実問題としてこれは…認識できる人間がこの世に存在しないことを意味する」
陣内妹「わあ 無効化 ( ディスペル ) も回避も不可能!」
有間「ま、
本当の問題は そんな些細なことじゃないんだけどね」
東弟「心配しないでよ お兄ちゃん。いざとなったらやつらの間合いの外から全ての方向に向かって照射する。そこをお兄ちゃんの能力で丸ごとやっちゃえばいい」
有間「
『 マテリアル 』 も似たようなモンだけど…こっちの方がより厄介かな。この系統は通常魔法の範疇には違いないんだが、ヤバイのは こいつが 『 神塊 』 がらみの魔装具だってこと」
陣内兄「神塊って、本物の魔法使いもたしか…」
有間「そうさ、本物の魔法の力を人間にも遣えるようにスピンアウトしたものが、マテリアルであり
『 ヤクヤ 』 なんだけど、実はこれにはとんでもなく大きなリスクが付いてまわる。めちゃめちゃ不安定なんだよ。マテリアルの能力を完璧に使いこなすには分子運動を完全に制御する途轍もない演算能力が必要とされる。コレ失敗したらどうなるかわかる?」
陣内兄妹「ぼ~~~ん?」
有間「ワタシのシル限りでは過去に二回。ひとつは十六年前の、そしてもうひとつは黄金期の終わり。
大陸がひとつ吹っ飛んだそうだ」
東兄「すまぬ。お前が弟で……よかった」
東弟「行こう お兄ちゃん 僕たちは狂人。気遣いは無用さ」
この回は完全無欠に完璧に完膚無きまでにステキでしたナ◎ ( 恍惚
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第6話 』 ( 16頁 )
1頁目
宇宙空間な黒バック + 地球らしき惑星
凍てつく寒さと
漆黒の中、
眼下の輝きに手をのばすことも許されず
いのちの往還からもとり残されて…
無限に漂うことを
さだめとされた
私の苦しみがわかるか。
2頁目
斯様に様々な 『 許せない 』 という想いを
次元的空間?を泳ぐ かの飛行物体 ( 力 )
して2段目で スピカたちの旅姿 ( ちょい過去
3段目 タイトルロゴ
ラス4段目 スクネ 『 解き放て 』
解き放て
解き放て
私を解き放て。
かつて彼者 ( かのもの ) 堕としたごとく、
ただ一言…
3頁目
『 許す 』 と
言えばよい。
でもって、椅子にふんぞり返り、身の程知らずな人間 ( 虫螻的に ) どもに悪態つくは電波王
4頁目
一方ドライミニオンの管制室では、デルタ高速演算形態自動解除され パニック
あらゆる命令がキャンセルされ、慌てて回線を切断しようとするがカットオフできず
5頁目
そこに現れ出でたる者
回線を外部から強制切断したかの者
さしもの電波王も ひとこと ごちる
「 由 布 華 」
6~7頁目
颯爽と登場するは 由布華 ( ゆふか ) の見開き
手にした杖の形状が 杖ゆーより 昔風テレビアンテナぽいのが乙☆
8~9頁目
スクネが力尽き 慌てふためくムラジとイミキ
襲い来たる番犬
10~11頁目
だか しかァしッ!!
ところがどっこい決着は あまりにも あっさり 一瞬で つく
お久しぶりに 奇天烈モードで 登場したのは
無論、アイツ☆
12頁目
そのままギャグ風味に スピカが指さす 彼方には
「模様人間 ( 全てを知る者 ) だ♪」
13頁目
新展開
新キャラ 大量投入
ミチノシ ( 道師 )
イナギ ( 稲置 )
アソミ ( 朝臣 )
マヒト ( 真人 )
オミ ( 臣 )
セリフから どうやら八色側と推測され
14頁目
オミ「あれが噂に聞く 『 制御体 』 …。
切断の瞬間、凄まじい感情の奔流を感じたわ。多分、負の方向への…。 『 怨念 』 …。まるで、キュクロデュミナスの連中のよう。……どちらにせよ不確定要素もリスクも満載。デルタはもう使えまい。ってゆーか使いたくねー」
アソミ「……電波王は動くかな?」
オミ「 …動くさ。神が下界を見わたすように真のザナドゥと連結している者は全ての情報を手にできる。だが、肉を伴わぬ情報は現実として立ち行かぬ。何よりもそれを知っているのは電波王自身だから」
15頁目
アソミ「そうなると鍵 ( キー ) ははりあの男 ( イミキ ) …。これから忙しくなるわね」
薄ら笑いのイナギをひとコマもってきて
『 磐 ( いわと ) に引き篭もった神を引きずり出すのは いつだって乱痴気騒ぎだからな 』
して、発見されるイキミたち
16頁目
東兄弟 見参
そして 口上たれる
して 最後に
「そして、旅は終わりだ。家出娘。帰るぞ、我等が墓穴へ。模様人間 炎縄由布華」
なんだかんだで5頁な盛りだくさんのあとがきとかも演出して 第一部完結編 の 第4巻に続く
奥付ポエム
受け継ぐものは 不可避の呪い
血肉を遺伝子で縛られ
模倣子すらも幼き日の記憶に刷り込まれ
世を嘆き 親を憎み 自らを蔑む
そんな時は、ハイキングに出かけよう。
疲れていれば、どこでもいい。
誰にも邪魔されず、物思いにふけろう。
雨が降っていなければ、いつまででも。
わずかづつ雲がかたちを変え、風が空を渡る。
仰ぎ見る心の焦点を合わせれば
せせらぎで僅かに光る小石のように
やがてゆっくりと形を成し、わきあがる
呪いとは別に、受け継いだ、何か。
大丈夫、君はまだ 思い出せる。
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第4巻 』 ( 58頁 )
発行:月刊制作委員会 (仮)
発行日:2005年5月5日
描き下ろし
13冊目の単行本
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第6.5話 』 ( 5頁 )
1頁目
作戦失敗を嘆く三幹部の図
司「まったく…、不測だよ。だが、暴走よりも驚くべきは この介入者だ」
2頁目
オペレーター長?みたいな眼鏡女「現在、最終報告地点を中心とした半径5k圏内は 音波、電磁波、光波共に 全て不通」
誰かの横槍?な声「正確には
遮断されてる だな」
オペレーター長?「八色の姓 ( ヤクヤのカバネ ) 、スクネ・イミキ・ムラジ 及び、恒宙艦イオタ幼体 共に生死不明。直前情報はスクネ宿者の頭部破損を確認。死亡の可能性あり。フォールドクラック及び デルタ回線切断寸前に、問題の場所から聖地への高速通信を傍受しました」
介入者の声「この介入者がマテリアル制御術式をザナドゥを遣って処理したと見るのが妥当か」
介入者の声「聖地と、そして電波王と通じる者と言うわけね」
介入者の声「キュクロデュミナスと通じ我等の回線に安々と侵入し あまつさえ進行中のフォールドクラックを阻止して見せた……待ち人来たる と、言ったところか。ようやく篭の外に現れてくれたな」
諏訪「彼女だ」
友美「彼女ね」
司「間違い無い」
3~5頁目
諏訪「オミ アソミに通達! 全力でこの地へ向かえ! いかなる事象にも優先して彼の者を保護せよ!! 逃がさんぞ 模様人間 ( すべてをしるもの ) ッ!!!
ここで綾波静香方面へ
どうやら教師であるらしい静香の手を掴んで せかせる子供たち
そこには 桜吹雪が舞っていた の図 ← 見開きじゃないのが惜しすぎ
静香、驚愕
少年「ね、凄いでしょ。ココだけが暖かいみたいなんだ。有間にも見せたかったのに」
少女「御家 ( みはしら ) 様に花が咲くなんて 私、初めて見た」
静香「……もう二度と……二度と見る事はないと思っていたのに…」
少女B胸中「咲いちゃいけないお花だったのかナ~?
少女B「あのネ、…でもネ、とってもキレイだとおもうの」
ただポカンと口をあけ 魅入られるまま見つめていただけの静香の表情が
一瞬、現実を肯定するかのごとき頷き顔となり そして
目を閉じる 微笑みさえ たたえて
静香「……そうね、…とってもあの娘 ( こ ) らしい…」
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第7話 』 ( 16頁 )
1頁目
吉坊と志乃の だるまさんがころんだ 風味
志乃「あの雲のように 人間 ( ひと ) はうつつに流れゆくもの。振り向いてもなくならない現実は その人が自分で決めなくちゃならないの」
2頁目
一方、スピカ軍団と 東兄弟と 模様人間が 三つ巴遭遇シーンに 戻り
3頁目
由布華「東のおじさま…。なぜ、ここに?」
タイトルロゴ
東兄「いや、なに…偶然だ。だが考えれば道理といえる。ネット ( ディジタル ) 上で消滅した情報が残る可能性はここしかないからな」
由布華「私は、 『 すべてをしるもの 』
今ここにある世界の理由も あなたやシノ姉さまの
ことも知っています。狂う気持ちもわかる。でも 私はすべてを知っているはずなのに 私自身のことは私の中のどこにも無い。私は自らの出自を知りたいだけなのです」
4頁目
東弟「自分が何者で どこから来て どこへ行くのか。生まれた意味は? 今、ここにいる理由は? おまえたちは熱病のように
それを焦がれ渇望 ( もとめ ) る。それは当然の疑問だ。年頃になればな。
だが生きていくのに そんなもんいらねェよ。
我らが過去は汲めども尽きぬ暗き絶望 ( あな ) 。ゆえに我らが教え 『 知ることなかれ。探ることなかれ。伝えることなかれ 』 。過去を知ろうとする思い 自らの出自を確かめる欲望 それら全て 先に死んだ者たちの…お前の父母の魂を汚す行為と知れ!」
由布華 ( 胸中 ) 「封滅戦争!
東兄「拒否できぬ存在理由と相対したとき…不可避の運命 ( さだめ ) と対峙して…正気を保てるほど我々は強くない。なればこそ お前の中に お前自身の答えがないのだ。それでもなお知りたいと望むなら…」
5頁目
由布華「……私と闘うおつもりか」
東兄「ふっ まさかな。 『 すべてをしるもの 』 即ち究極の魔法遣い。闘える者などいるはずもない。だが手は打たせてもらった。お前なら認識 ( みえ ) るだろう?」
東弟「無線信管式高性能成型炸薬。 『人質 』 というか 『 本質 』 だな。いかにお前とて八十六爆其全てのコード解析と解除を同時には出来まい。こと、この分野において 演算は我の方が早い」
6頁目
よって 対スピカ方面軍団 vs 東兄弟 を 先に譲る 由布華の図
座布団 ひねり出し ちょこんと座す
これより 闘いの火蓋は切って落とされ
奇襲するムラジのバットな一撃を脳天に受けた東兄
7頁目
がっ
8頁目
爆発反応装甲 ( リアクティブアーマー ) により回避
9頁目
炸薬遣い ( チャージマスター ) の能力に
10頁目
無力を知り、逃走に切り替えるイミキたちだったが
東弟「だるまさんがころんだ」
必殺技が炸裂☆
11頁目
白黒反転フィルム的描写でストップモーションかけ
ムラジはナゼかマウンドへ な 無論そこは別世界へ
12~13頁目
イミキは シノと吉坊の再開シーンに飛ばされ
14頁目
東弟「 『 全脳界磁気共鳴システム 』!! 聖地を取り巻く不破の障壁 『 ミノスの迷宮 』 と同じ原理 同じ技術さッ! 感謝してほしいねッ 一番見たいものを見せてやってるんだ! 思う存分泣いちゃいなッ」
と、自分技をひけらかし ( 同時に読者に対して種明かしをし ) 、
あとは兄弟漫才から 座布団に平然と座す 模様人間の図 挿み
15頁目
東兄「さあ、贖罪の時間だ」
東弟「虚構 ( ゆめ ) の現実 ( うつつ ) に溺れ死ねッ!!」
と、イミキに向けて必殺技を放ち
が、いつの間にかイミキの肩にはスピカが乗ってて
16頁目
「にいやん。ごめんな」の、スピカ語の、意味するところで物語的登場人物の現実を提示するが
スピカとイキミは この罠から はたして抜け出せるのかッ?
というところで つづく
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第7.5話 』 ( 5頁 )
1頁目
迷子なので 作戦名 『 死んだふり 』 をスピカに提案するイミキ
2~5頁目
一方、ムラジ方面は 全力野球仲間たちと青春幸せ街道真っしぐら
が、
自ら創ったこのひと言で 夢を振り切り幻 ( ゆめ ) を終わらせる起死回生 渾身のデッドボール
この配分なら、マウンドに集まるみんな、みたいな青春ド真ン中な見開き魅せびらかして 残りをコンパクトにした方が もっともっと輝いたと思うが、なお上々☆
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第8話 』 ( 16頁 )
第1部最終話なので、世界観を読者に提示した場面いがいは さすがにオミット
1頁目
新世紀 ( ネオバロック ) 初頭
自らの手による遺伝子の変革に端を発した新たなる生命理論…
『 ジーンリッチ 』 と 『 ナチュラル 』
当初 世界は二分すると思われていた。
だが
科学の本質として
流出により普遍化した技術は一部の特権ではなくなり、
また、多くの生物がそうであるように
人々は特化した形質を獲得することを生き残りの戦略とした。
生活 ( せいぞん ) のニッチを得るために 『 職業 』 は完全な世襲制となり
その基盤を盤石なものにするため より高度で より専門的な形質を求める。
同方向に特化した者達によるニッチを巡る競争と融合の果てに代は重ねられ…
そして…。
2~14頁目
はたして、 『 だるまさんがころんだ 』 の絶大スキルに対抗すべく 『 死んだふり 』 な いないないばあ☆ で一矢報いようとするイミキの目論見は吉と出るのか?
友達ゴッコな夢の時間を 幻 ( ゆめ ) と定義することによってインハイに渾身をぶつけたムラジの想いは果たして届くのか?
そして 真打ち 本物の魔法使い スピカの繰り出したる必殺技とわッ?
怒りにブチキレ能力を全方位射出せしめた東弟が招いた事態に便乗して繰り広げられるはテンヤワンヤの大騒ぎ
模様人間の運命は如何に?
救出に向かうも絶対絶命の窮地に追い込まれたイミキに明日はあるのか?
15頁目
とゆカンジですナ ( 萌☆
16頁目
前頁流れで、ほぼ8割サイズのステキに天使なデカゴマ魅せつけ
下段のボケで 【 第一部 完結 】
と、最終回なのでさすがに解説は抜きですが、第8話はちょい個人的にイチオシな名台詞をばッ ( ちょい語尾アレンジ有り = 爆
ムラジ 「 仲間 仲間 笑わせんな。俺達は道具 ( ヤクヤ ) だ。呪われたただの寄せ集め ( オマケ ) だ。互いのことなんざ何も知らねえッワカっちゃいねえさッ 知ってるわけねェんだァ 俺の本当の名前をッ ゴルァ!!覚める夢 見せてんじゃねえゾッッ!! このボケかぁあッ!!」
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第8.5話 』 ( 5頁 )
八色別働隊な五人衆 生きてんのか死んでんのかさえ判別不能な東弟に遭遇の巻
+ことの
野々村林檎 くたばりかけた東兄に遭遇スの巻
なんだが、この絵ヅラでもご理解いただけるかと思うが、本作のテーマに密接する重大な欠点が浮き彫りになっている。
このシーン、実は大地に突然ピシッと×シルシな亀裂が入り、にゅるるるるると気絶したままの東弟が排泄されるかのごとく出現したところに偶然居合わせた五人衆のイナギが踏んづけてるワケだが、右側で狼狽えてるのが、アソミなのかオミなのかちょっと見 判別しにくいという、せめて大量投入されたコピーキャラを読者に判別させるための わかりやすいなにか が欲しいところだ。
単にツインテだからアソミみたいのでは、髪も切れないしイメチェンも出来んだろが
何より記憶力のすこぶる悪いオイラにみたいな老人に対して不親切であろ。
一方、瓦礫に横たわる東兄に銃口を向ける野々村の図
東兄「ミノスは守りの要だ。それはまったく正しい。殺してくれ。弟は死に… 我も…狂人として生きるには…もう疲れた。これでお前も生まれ変われる。引き金を引け。そうすれば 震える小さな子犬ではなく 縛鎖を引き千切る 狂える狼になれる」
して、野々村は…
※今回は最終奥付頁まで漫画が続いてるため 恒例のポエムは無し
過去作品解説頁は 『 反逆のピエッタ 』
あと、 未出の初エロ漫画 『 サバイバ 』 の紹介もアリ
暫くヤクヤはオヤスミとのたまっておったが
しかし、霧恵マサノブの業は海よりも深く、結局のところ、すぐに5巻もすぐに出たのでありました まる
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第5巻 ~ZERO PLATTER 』 ( 42頁 )
発行:月刊制作委員会 (仮)
発行日:2005年11月6日
描き下ろし
14冊目の単行本
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第9話 』 ( 16頁 )
※ぶっちゃけ本来ならプロローグとして 読者に提示して然るべき世界観の解説を 遅まきながらやっつける回
1頁目
Input Password
┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ masamiti/reiko/sino/ob409e24 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
Y/N
2頁目
遺伝子選択と改変技術がもたらした職業的ニッチの充足と棲み分けによる自然的人口統制で 世界は平らになった。
【 職人の時代 ( ネオ・バロック ) 】受け継ぐ職業に特化した人々の時代。
役割を分担し、互いに深く関係し、共生して、精密機械のように 群体のように…
3頁目
人類という名の地を覆う生物の、
そして 文明というかたちの無い概念の
それは 完成された一つの命と言えた。
すでに戦争には保存文化としての価値しかなく、それ用に調整された遺伝子と技能を持つ戦士達が完全に管理された戦闘
『 文化財保全事業 』 を行っている。
激しい喜びや悲しみもなく
ただ自らの技能に忠実で植物のように平穏な日々。
世界は
平らになった。
4頁目
職人の時代が何世代か過ぎ去った後
唐突に そいつは 現れた。
【 青方変移を伴う、直系約10㎞の物体 】軌道計算上、再接近時でも地球の約2400万キロ以上彼方を通過するはずの小天体。
5頁目
だがその物体は、火星周回圏で唐突に軌道を変え
なにかに引き寄せられるように地球に……。
落下地点は、かつてのユカタン半島に程近い、北米大陸南東部。
その日 すべての人類 ( ヒト ) が シェルターの中から あるいは愛するものと共に
宇宙 ( てん ) を仰ぎ見た。
6~7頁目
見開き:夜空を流れゆく小天体 と それを仰ぎ見る人々 の図
8頁目
厚さ約30㎞の地殻を貫徹する激突の衝撃によって直径約500㎞のクレーターが形成され
成層圏まで巻き上げられる土砂により マイナス30℃の寒冷現象が三週間、
その後、10年にわたる太陽光線の遮断…。
それが基本的な世界崩壊のシナリオであったが
【 現実は大きく異なっていた 】物体は大気圏突入後 減速しつつ赤道を半周しながら北米ロッキー山脈にぶちあたり、
結果的に カンザス・ミズーリ・ケンタッキーと 大きくバウンドしながら ヴァージニア東岸に直径20㎞のクレーターを作り、
止まった。
9頁目
大気圏突入後の軌道も急減速もまるで計算と合わず 研究者達の出した結論は
『 物体自体の制動 』【 この日、人類は初めて、真に異質なものと邂逅した 】10頁目
調査につれ、明らかになる物体の特質は それまでの科学の常識を超えたものだった。
物体表面の材質が観測のたびに変化し 質量が変動する。
長い研究の果てに出された結論は、バリオン ( 重粒子 ) マシンと呼ばれる最小単位 ( クオークレベル ) の位相変化による原子変換と重力子による運動制御。
そして 科学史上最も偉大な発見となったのは 一定以上のバリオンマシンが形成する力場の源泉。
『 重力の井戸 』 からもたらされる計測不能なエネルギー実数。
11頁目
これによる
熱力学第一・第二法則
崩壊。
参考:フリー百科事典 『 ウィキペディア ( Wikipedia ) 』 の 項目 『 熱力学 』 より抜粋
熱力学第一法則 ( エネルギー保存則 )
系 ( 閉鎖系 ) の内部エネルギーの変化は、外界から系に入ったと外界から系に対して行われた仕事の和に等しい。
さらに一般に、外界と物質を交換しうる系 ( 開放系 ) では、外界から系に物質が流入することによる系のエネルギーの増加量も加わることになる。
熱力学第二法則
熱を低温の物体から高温の物体へ移動させ、それ以外に何の変化も起こさないような過程は実現不可能である。
温度の一様な一つの物体から取った熱を全て仕事に変換し、それ以外に何の変化も起こさないような過程は実現不可能である。
第二種永久機関は実現不可能である。
厳密には第三法則 ( 絶対零度の到達不可能 ) が必要。
第二法則は第二種永久機関が実現するためには低温熱源が絶対零度である必要があると述べているだけで、第二種永久機関が実現不可能とまでは言っていない。
断熱系で不可逆変化が起こるとき、エントロピーは必ず増加する。可逆的な変化ではエントロピーの増加はゼロとなる。
熱力学第三法則
絶対零度でエントロピーはゼロになる。
第一法則及び第二法則は、ルドルフ・クラウジウスによって定式化された。
【 …つまり、宇宙は閉じてはいなかった 】物体は
『 深淵なる神の物塊 』 …
『 神塊 ( シンカイ ) 』 と名付けられ
物体の構成物質は 単に
『 マテリアル 』
と 呼ばれるようになった。
12頁目
神塊の出現は 平らな世界の心を乱した。
マテリアルのジェネレーター特性は変換率に限界がなく 世界のエネルギー事情を一変させるだろう。
重力制御技術を使えば生物の悲願であった星の世界に手を伸ばすことも可能になるのだ。
そして、
あるいは…。
【 希望に満ちたこの時代の人々は 『 黄金期 』 と呼んだ 】13頁目
神塊の解析は急ピッチで進められた。
何者で、何処 ( どこ ) から、何故 ( なぜ ) ここへ?
やがて、プログラムと演算によりマテリアル配列を操作できるシステムが確立され…
神塊中心部のマテリアル配列が集積回路状に変成する事が発見されたことで神塊自体が何らかの蓄積情報を持つ可能性が浮上し、本格的なコンタクトが開始された。
当初、世界を覆うザナドゥネットワークとのリンクが試みられたがうまくいかず、疑似精子化したマテリアルとの受精卵によって実験的に創り出された
『 スピカ 』 という名の交雑体によって 神塊とのコンタクトが行われた。
便宜的に
『 イポ・スピカ 』 と呼ぶ。
14頁目
2頭身ではなく5頭身な 娘と言っても差し支えなさそうな年頃のスピカの図
そして 神塊にふれる スピカ
15頁目
【 接触実験開始から35分後 】フォールドクラック現象。
16頁目
実験施設を含むヴァージニア東岸が直径100㎞に渡り真球状に消失。
約523000000000立方㎞もの体積が瞬間的に失われた事によって生じた大気と海水の流入による断熱誇張で爆発的なダウンバーストがおこり、極低温の爆風と津波によって 北米大陸と中米・南米の沿岸地区、アフリカ大陸西岸、ヨーロッパが壊滅。
すでに一個の群体として機能していた人類とその文明は、
その機能の4分の1を奪われ、精密機械としての脆弱性を露呈しながら この日からゆっくりと衰退してゆくことになる。
後に、人類が初めてフォールドクラックを体験したこの日は
『 旅立ちの日 』 と呼ばれ
こうしてヒトの黄金期は、終局に向かい進みはじめた。
霧恵昌朮 『 ヤクヤのカバネ 第10話 』 ( 16頁 )
1頁目
数年後
志乃「やはり手をだすのですか?」
諏訪「このままにしてもおけません。そして、それがドミニオンの…人類の総意でもあります」
志乃「あなたが管理していた箱庭が これでようやく意味を持ちはじめましたね」
志乃「お気にめさないようね。ジーンリッチのあなたには」
諏訪「不快ですよ この上なく。あなたもそうでしょう? あなたの血をひく最高性能の生体演算素子千人が…この世界を創りあげた誇りある全ての人々が…まるごと使い捨てになる」
2頁目
志乃「それもドミニオン ( 人類 ) の意志 ( 総意 ) なのでしょう? 個虫が意志を持つ群体は…悲しいですね」
北米大陸に生じた巨大な淵… 『 アビス 』 の中層を漂う神塊が発見され…
引き揚げられた。
3頁目
ネットワークに保存されていた 『 旅立ちの日 』 直前のデータ比較から神塊本体に損傷は見出せず、
『 フォールドクラック 』 とは 大規模な量子転移現象であると推察された。
『 消滅 』 ではなく 『 消失 』
反転した 『 重力の井戸 』 を抜けて…
此処 ( ここ ) ではない何処 ( どこ ) かへ。
4頁目
最高意志決定機関 『 ドミニオン 』 の作成した指示に従い神塊は九つに分割され、
『 旅立ちの日 』 を辛うじて生き残ったザナドゥネットワークサーバ9基の演算監視のもと、
新たに造りだされた9体の 『 スピカ 』 と共に
更なる実験とリスク軽減のため 高度2000㎞の衛星軌道上に移送された。
便宜的に
『 イペル・スピカ 』 と呼ぶ。
5頁目
神塊の図 ぶち抜き+αサイズの図
6頁目
さながら、亡びに瀕して種子を撒く植物のように…
9体の神塊器の作り出す緩衝ゲートを抜けて送り出される実験船や探査船。
此処 ( ここ ) ではない何処 ( どこ ) かへ。
7頁目
やがて、
誰もが気付かぬうちに 『 ドミニオン 』 はその機能を停止し
地球上を静かな無秩序が支配していった。
8頁目
…9体の神塊器はその役目を終え、宇宙空間に放逐された。
ほとんどの制限コードは解放され、彼らには意志の自由が保障されていたが 解析された神塊の蓄積情報とある仮説によって、
たった一つ
たった一つだけ不可分のプログラムが設定された。
9頁目
『 地球への帰還を禁ずる 』このプロテクトが解除され、
第九番目の神塊器
ココノエ・イペル・イオタスピカが地上に落下したのは
これより1000年以上が経ってからのことである。
10頁目
握りしめたガラス容器の中に泳ぐ立方体を凝視し物憂いな志乃の図
11頁目
そこへ有間登場し、データを遺してたことにツッコミ入れる
狼狽える志乃
12頁目
「これは重大な背信行為ですゾ電波王」と、有間は詰め寄り
さらに「あなたを信じて笑って狂った御家の民、すべてを裏切った」
と、肉薄し、志乃の衣をはだけさせ
13頁目
質問攻めにしながら股間も責め
「あの人はここにはいない。黎子も、もう、…いない」
14頁目
志乃「
わたし
に 一人で
全部背負えって言うの!? 神
殺しの
罪ッ ヒトの歴史を奪う
極罪をッ それになによりこれがあれば あの娘 ( こ ) の軛を断ち切ってあげられる…」
泣きわめきながら訴えるシノに 有間 チューしながら打って変わってやさしげな面持ちで、
「電波王…あなたは人間だよ。そうやって泣いて…そして、笑って…そのために私と野々村はここにいる」
15頁目
で 時間経過白コマ で どうやら セックスしたらしく
有間「あ~あ~中に出されちゃったァ。出来ちゃったらどうしようかにゃ~♪」
志乃「ふふ それは無いわね。私のような体に、生殖能力があることは まず無いそうだから…」
16頁目
上段3コマで、一瞬にして泣き崩れる有間の図
3/4サイズ下段大ゴマで、崖上の吊り橋から地平線を見わたすの図 ( 引き絵
志乃「有間さん…ありがとう」
奥付ポエム
旅の果てに巡り会い
されど旅は終わらず
新たに映る見えない旅路を
共に携え生きてゆく
以下、6巻へ?
さて9話 『 First volume 』 の目的が、世界観の提示であったとすれば、10話 『 Latter part 』 は、主要キャラの小エピソード的紹介も踏まえたさらなる補足というところでありましょうが、霧恵マサノブが商業誌で描いてゆくいじょう、残念ながらこの作品の続編を拝める機会は当分無いであろう と思うのです。
が、なにがなんでも、この作品はいつの日か霧恵マサノブがライフワークの一環として商業誌で一から創りなおすべきなんじゃないかとオイラは思ってるので、週に2~3本の連載を抱えられるようになったら、ぜひとも再挑戦してほしいとエールを贈るしだい。
いままで描いてきた作品世界のほとんどの登場人物を再投入してしまったのは、作家としてというよりも霧恵マサノブ本人のアイデンティティーに拠るモノが大きいんじゃないかなと身勝手に憶測してみたりするワケだが、いずれにせよターゲットが商業であるいじょうは、 『 ほかの作品も併せて読んだ方が、よりたのしめる物語 』 よりも 『 単品として完成され尽くしている物語 』 のほうが たとえ同一レベルの作品だとしても より作品としての商業価値は高くなるワケなので、間口を自ら狭くする必要性はさらさら無いし、それをやりたいなら然るべき売れっ子レベルの作家になってからでも、まったくもって遅くないんじゃなかろうかなぞと、言いたい放題ワガママ晒させていただく所存。
いずれにせよ、この物語だけは、必ずやいつの日にか完成させてくれるものと信じてやまない。
霧恵昌朮 『 霧恵昌朮実験短編Ⅰ 』 ( 20頁 )
発行:月刊制作委員会 (仮)
発行日:2006年5月5日
描き下ろし
15冊目の単行本
作画力 ★2の上
コマ展開力 ★3の中
物語性 ★2の中
世界観 ★1の中
テーマ ★1の上
想いのドラマ ★1の中
漫画的総合評価 ★1の中
ファン的宝物度 ★1の上
さて、霧恵マサノブの15冊目なのですが、
著者HPの作品紹介コメントによれば、
本当に実験作品だったらしいですので
まあ、アレですが
さすがにこの単行本だけは、必死こいて探さなくてもいいんじゃねーの?
というレベルの出来です。
霧恵昌朮 『 ScareCrow 』 ( 6頁 )
霧恵昌朮 『 おまかせ!!レビアたん ( Let's Leaving Liveathan ) 』 ( 2頁×2話 )
霧恵昌朮 『 エンジニアス 』 (4頁 )
各々の解説等は省かせていただきますが、
『 Liveathan 』 は、アイデアがそこそこおもしろかったかな。
絵ヅラは無理に萌っぽくしようとして、自爆してて、かなり微妙なんだが…
ともあれプロトタイプを読めるというのは、ある意味ファン冥利に尽きるワケだけど、だからと言って 『 買え 』 とは、とても言えないなあ
あと、あとがき1頁も、今回はそれほど濃くない。
ラストがコレでは甚だお粗末だが、すでに阿吽の連載が始まっていたりで、古い原稿寄せ集めてなんとかでっちあげた一冊とお見受けしたので、まあ、致し方あるまい。
かと言って、譲ってくれ、とか言われても、ケチなのでプレゼントはできないのだが…。
さて、こんなカンジでお届けした霧恵マサノブ大特集でしたが、誰か読んでくれる方はいるのだろうかと、思ったり思わなかったり。
まあ、一言一句漏らさずに読んでくれた方には、何か 得体の知れないモノ でもプレゼントしたいくらいの大感謝祭なのだが、あげられるモノなど何も思い浮かばないところが甚だ残念星人なのであるワケだし…
ともあれ、
『 霧恵マサノブ 』 が特濃的に体内に侵蝕してる方のためだけに今回は記事を書いてしまったワケだが、もうすでにビューアーとしては引退してるので、今後も書くとしたら、自分趣味満載でかつ限定お一人様でも歓喜してくださる物件限定ということになってしまうことであろうかと。
無論、レビューアー復活とかは今後もあり得ないし、現状として、エロ漫画界に特に追加して語りたいことは無いし、時代が変わりましたよおッとかならともかくも、また突然発作が起きてタイプを打つには、それ相応の時間も必要かと思われるが、次回は、コレも約束したまま放置プレイになってる 『 小田ひで次 』 の 『 拡散 』 を 書きたいなあ
とか。
来年中に実現できたらいいなあ
とかいう 夢の亦夢。
さて、そんな私事はそろそろ切り上げ、まとめようかなと。
『 ヤクヤ 』 に終結されたものを観ていただけた方にはもはや自明の理かもしれないが、それらも包括し、念押しのために書く。
霧恵キャラ大集結なこといじょうに、霧恵マサノブが創りあげてきた世界の統合 そして、なによりもかの 『 LeviAThaN 』 へと続く運命の道筋をはっきりと観てとれるんじゃないかなと。
過去の全作品が 『 LeviAThaN 』 への道しるべだったと言っても過言ではあるまい とか。
同人作家から商業作家への転身に全生命を注ぎこんで、それまで築きあげてきた世界観や、アイデアを、一切出し惜しみせずに投入し、あまつさえ、各々の作品で輝いたテーマさえ、さらなる作品性の向上に役立てるべく磨きあげ、過去に於いての失敗を活かし、モノノミゴトにまとめあげた、その死に物狂いの作家魂とゆーか、それこそ霧恵マサノブのアイデンティティーが大爆発していたことに、心より花束を。そして
それらを、このレビューで感じとっていただけたのなら、何よりも幸い。
結論としてだけなら、霧恵マサノブは、プロになったことにより 『 霧恵昌朮 』 より脱皮したと、身勝手に決めつけ告知するものなり。
『 LeviAThaN 』 第1話では、まだヒロインのデザインすら確定に遠く、作画もネームも不安定ではあったものの、わずか三ヶ月ていどのプロ意識の持続が もたらしたワザは 『 海神 』 を読んだことのあるあなたになら、きっと理解できるんじゃないかなと。
まあ、そのくらい、同人時代と商業作家転身後では、作品のレベルに甚だしく違いが生じてるワケなんだが
とにかく 『 ヤクヤ 』 だけは なにがなんでも いつか必ず描きあげてほしいと 心より願う。
それが商業であったなら なおとても嬉しい。
『 のり2 』 は、いま霧恵漫画力でのリメイクを激しく身悶えながら希望。
『 GIGATON HEARTS 』 『 生者 』 の 同人誌再版を ゲバ棒振りかざして要求スル所存ナリ。
『 GIGATON HEARTS 』 はエピソード足して欲しいとか 『 生者 』 は アクションシーンのみ 『 間 』 を上手くつくってインパクトつけて欲しいとか、口が裂けても言わないので、推定全国一千人の熱烈霧恵ファンのためにも何卒何卒。
『 電波神社縁起 ( 仮 ) 』 から始まる くだんの 『 Behemoth ( ビヒモス ) 』 シリーズ実現を目一杯亀頭★もとい祈祷。
『 ヤクヤ 』 の模様人間 ( ゆかたん ) を発祥の地とする 『 マジカルゆかたん 』 ×4 『 頭鳥 ( あたまどり ) 』 『 尻猿 ( しりざる ) 』 『 脚魚 ( あしうお ) 』 が、再び陽の目を見る日を心待ち。ってか、カニの存在意義がこのまま提示されず終わってしまったら泣くになけないですってばさあ ( 涙
お蔵入りの 『 触腕水原さん 』 は当然、かの水原家ゆかりのものであろうが、いったいどうしたら拝めるというのだあ ( 号泣
某阿吽奨励賞な 『 サバイバ 』 に、明日はあるのかッ?!
などなど
挙げたら、枚挙にいとまがないですが、やはりそこはアリスですので、苦言も呈させていただきますヨ
すべてのキャラを、すべての作品を、ひとつの世界観で繋いでしまうのは、少なくとも商業作家として、得策とは想えません。週に2~3本ていどの連載をかかえる人気作家になってからトライしても遅くはないんじゃないかな?
それは、同人時代の全作品を観てた方がより楽しめる = 一見様お断りなオーラがにじみ出ていることも含め、それいじょうに、自ら、創れる世界を限定してしまうのは、あまりにも勿体なさすぎると思うのですがどうでしょう?
出来うることなら、あるゆる過去から、あらゆる既成概念から、脱却したころの、霧恵マサノブの、無から産み出す世界を、喉から手が出るほどに渇望するオイラなのでありまするよ まる
そんなワケで
10年後くらいに
性懲りもなく
霧恵マサノブ商業誌まとめて50冊☆みたいなレビューを書けたら
などと見果てぬ夢に溺れておりまするが
ともあれ、
私は霧恵マサノブをッ 以下略
それでは ばいにゃん♪