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神宿りな情景描写に少女心の移ろいまでをも封じ込め、カタストロフでロリコン魂を救済する賢者の杖『雨がっぱ少女群』

というタイトル通りに『雨がっぱ少女群』をお届けします。

推定8~13歳くらいのペドからロリまでとり揃えておりますがゆえ、もうこれだけで引いた方は右に回ってくださいまし。
また、元来、著者の作風は、根本的にフェチっ気の極めて少ないオーソドックスタイプのリアルロリコン御用達系でございますがゆえ、少女萌え主義一直線な皆様や、エロエロ少女原理主義な皆様には目の毒かと思われますので、やはり右に回った方が無難かと。ただし2冊目ではフェチ&萌えという要素が急激に増大いたしますので、いちおう頭に入れておいていただければと。
さらに言えば、『雨がっぱ少女群』は、やさしいファンタジーとしてのロリコン御用達系と言うにはリアル痛み成分の配合率もけっこう高めございますがゆえ、読み手のロリコン純度が高ければ高いほど美味しくいただけるという寸法になっております。
多くの作品は漫画として精緻に造り込まれてます。
『みかんR』みたいな痛み成分満載とかいうほどのリアル配合率ではございませんが、リアルも適度に鬩ぎ合ってますので、リアルロリコン系が苦手な方なら特に1冊目は注意です。
情景描写の造り込みが素晴らしく、そこに少女の心情の移ろいを投影させてゆく手法に長けた作家性を有しております。
また、漫画力に優れ、『少女を中心として動いてる世界』としての完成度は、ある意味『あしか』や『町田ひらく』や『海野螢』に、匹敵する凄さを、初っ端から身につけています。
そして、ステキすぎる感受性に充ち満ちているのです。
作風的にはどちらかというと、いちばん近いところでは『雨蘭』が思い当たる程度です。
その凄まじきリアリティーゆえ少女エロースの極みにある『みかんR』ほどの淫靡さはありませんが、適度にハードコアな官能を垂れ流す作画法です。
ハードコアという点でもフェチという点でも『EB110SS』レベルには遠く及びませんが、作劇がもたらすところのカタストロフィーにより、高純度なエロ還元力としての破壊度は秘めています。
1冊目では基本的にフェチ成分皆無のオーソドックスタイプのセックスが繰り広げられますが、

想いのドラマを創りあげるために、メタファーとしてのファンタジー的刷り替えが多々利用されることもあります。

読み手のロリコン純度が高いほど楽しめ、想いのドラマとしての漫画が好みなほどのめり込めるような、ようするに、そんな作風です。

はたして2冊目では、オーソドックスタイプのロリコン主義から少女フェチ萌え派への転換期に当たり、萌えロリ的に描かれた作品も多く、フェチっ気も大胆に採り入れるのですが、だからといってノー文句で萌えロリファンの方にお薦めできる類の単行本なのかといえば、相当に黒い成分も含有していることだけは紛れもない事実なので、無問題とは決して言い切れない、そんな作家様です。

漫画技法に卓越したものがある作家様です。
心情描写を絵に織り込む手法に卓越したものがある作家様です。

でも雨がっぱ少女群の本当の意味での素晴らしさは、言葉に言い表しようのないところにある、何かです。


上述の内容で問題ない方のみ続きも読んでみてくださいまし。

それ以外の方には目の毒なので読まない方がよろしいかと。



偉大なる伝説への幕開け。あるいは青の時代。


雨がっぱ少女群『小指でかきまぜて』 TENMA COMICS LO 茜新社 ISBN978-4-87182-957-1 2007年11月30日発売

小指でかきまぜて


消し:透過度80%程度の中細網線消し中心。
ヒロイン:幼女から少女まで。
お相手:全員オトナ(兄1名・父1名含む)
乳:つるぺたから貧乳まで。
陰毛:無し
性器形状:男女ともにリアル。
挿入描写:水準程度。
射精形態:口内1シーン除けばオール膣内。
カラミの手法:萌えエロ手法とぶつかり愛で6:4くらいのオーソドックスタイプで、男性陣はチャック開けるだけ・ズボンは下ろす・裸ん坊で3分割。兄妹純愛の全裸同士は滅茶ステキなんだけど、父子純愛のチャック開けるだけは何とかして欲しかったですが。
萌フェチ:半脱ぎ・三つ編み・ランドセル・ローソックス・コドモパンツ・シュミーズ・ぬいぐるみなど、まさに純ロリコン仕立て。眼鏡っ娘1名。衣装やアクセのさり気ない気配りによるコドモっぽさの演出が抜群に光ります。
軽フェチ:フェラチオシーンとかもあることはあるけどフェチっ気はほとんど感じられない、所謂、ノーマルセックス。
濃フェチ:リアリティーのある少女姦ということ自体がそも濃フェチであろうかと。
高次元フェチ:父娘・兄妹
性行為の属性:オーソドックスタイプのロリコン
乙女の符号:3名

ハードコア度:★3の中
ぶつかり愛:★4の中
想いのエロース:★4の中
エロ作画力:★4の中
エロ作画技法:★3の中
エロのコマ展開力:★4の中
総合エロ度:★3の上

作画力:★5
キャラデの魅力:★5
心情描写力:★5
漫画展開力:★5
漫画のコマ展開力:★5
総合漫画力:★5

属性:あるときはメタファーで あるときはリアルで 紡がれる 徹頭徹尾ロリータコンプレックス

作品評価:92点(★5)

宝物度:宇宙

1冊目の成コミ(通算も1冊目)



『休日のすごし方』(描き下ろしカラー4頁)

休日のすごし方


一刻も早くネズミーランドへお出かけしたくて寝坊助なパパをカラダで起こそうとする幼女のお話。テイストも明るく、読み手をまずは安心させる意味でのツカミとしては上々。


『団地の子』(18頁)

団地の子

ご近所お兄ちゃんから勝手に拝借した官能小説への好奇心からはじまる幼女の性への渇望と、恐怖心と、痛みと、行為のさなかに芽生えてくる、はじめて知った感情と、性愛の歓びを知るトキメキドラマは、はたしてこれがデビュー2作目なのかと疑いたくなるくらい、唯一不用意な断面図を除けば余分なコマがひとつもない完璧さで、表情の移ろいで心情を語りきり、効果的に台詞を配置し、ラストまで抜群のコマ展開で魅せきる手腕がミゴトすぎました。最後のコマのネームは無かった方が、らしかったんじゃないかと個人的には思いますけど。


『まどのゆき~ほたるのひかり』(26頁)

ほたるのひかり


哲学の身勝手な解釈で少女を調律する教師のお話は、デビュー作にして『LO持ち込み大賞初代受賞作品』な『まどのゆき』という10頁ショートに、その後結末をつける形で発表された『ほたるのひかり』までなのですが、短い頁のなかでもきっちり自己主張している少女のきらめきと、テーマからのプロットに澱みがないところが新人離れしていて「凄いな」と感じる反面、『町田ひらく』の亜流的な要素も多く感じ取れてしまい、まあ、そのときは『期待の新人』程度の意識しかなかったのですが、その後何度も読み返すにつけ、『町田ひらく』というよりも『雨蘭』に近い感覚をもっておられる方だな、と思い直すようになりましたが、そりゃそうだよな、もともとロリコン漫画なんてすべては町田ひらくからはじまってる(それこそも固定観念ではあります)ようなものだし、と自身にある固定観念を取り払って冷静に考えれば、町田ひらくはたとえ幻想譚を描いてもリアルをきっちり残す方だし、この作品がリアルではあり得ないファンタジーとして描かれてることを思えば「何でそんな風に感じてしまったのか」ということこそが大いなる疑問でもあるのですが、このリアルとファンタジーの強く鬩ぎ合った作風こそが『雨がっぱ少女群』なのかもしれないと、思い巡らす今日この頃。


『雨がっぱ少女群』(20頁)

雨がっぱ少女群

その部屋には、雲をとびこえ青空を泳いでいる渡り鳥の写真が飾ってあります。
雨降りのお外を眺めて少女は「とらわれのお姫様!」
無邪気に語る少女にもう一人が子が容赦なく「そう言っていつもユウナは後で泣くんだ」
はたしてリーダー格のオンナノコが連れてきた客たちと、有刺鉄線を張り巡らされた廃屋の、剥き出しのマットレスで、生きるために闘う少女たちの、自立心こそを描いた作品なのですが、彼女たちの想いや焦がれを打ち砕かんと、敵も然る者で、あの手この手を使いまくりオトナ社会の汚さを教えまくります。
無邪気に望んだものをことごとく破壊されてゆく少女たちのキモチを詰めこんで物語は胸に染み入るラストまで、一目散に脇目もふらず、ただただひた走ります。
成コミってホントに素晴らしいですね。と、心から思える想いのドラマがここにはあります。
アナタノはあとニハナニガノコリマシタカ。


『パラダイス・ロスト』(20頁)

パラダイス・ロスト

13歳の女生徒とロリコンな美術の先生の、シリアス純愛ドラマです。
巻頭から甘ったるさでトバシマクリ、そして少女に初潮が訪れます。
ロリコンが求めた永遠の少女はオトナへと羽化してしまったのでした。
2頁に渡るイメージシーンが素晴らしすぎて、まるで海野螢の生まれ変わりかと思ってしまいました。
ラストのオチまでもう非の打ち所がない完全無欠で、思わずため息。
アナタノはあとニハナニガノコリマシタカ。


『ウオノココロ』(20頁)

ウオノココロ

目に視えない金魚という自己暗示が理性の箍を外す二重人格少女のお話です。

あるいは

モラルやジェンダーに束縛されて思い通りにならないキモチを、もう一人の自分として捉えたイメージとしての奇譚みたいな、たぶんそんな物語です。

冒頭、廃バスの中でエロエロに乱れる幼女のシーンから物語ははじまります。
ランドセル眼鏡な幼女のまわりを、物心ついた頃から一匹の金魚が憑きまとっています。
大学生カレシラブな彼女の普段着はハニカミ屋さん。
ところが金魚が彼女の頭にチャポンとダイブするとどうでしょう
あらあら不思議あら不思議
パブロフの犬なエロエロ星人に早変わり。
そんな彼女を傍目から、ちょっぴり侮蔑まじりな羨望の眼差しで見つめてるもうひとりの彼女。

わずかデビュー3作目にして、鬼才『雨がっぱ少女群』の、その類い希なる想像力の調理法に私がベタ惚れした瞬間でした。

基本、ターメリック:クミン:コリアンダーの黄金律により導き出されるはずの極上カリーのベースが、法則など完璧に無視したところからデタラメに投入しまくった17種スパイスのホーホケキョーなオシリ曼荼羅で、あたかも偶然の産物みたいにストンと自然界に産み出されたような、運命係数というかラプラスの魔というか路傍の石というか…
ちょっと黒田硫黄的にステキでした。
アナタノはあとニハナニガノコリマシタカ。


『お兄ちゃんてば!』(20頁)

お兄ちゃんてば!

少女とお兄ちゃんのはじめてのトキメキえっちなドラマをシリアスと漫画チックを交互に出し入れしながら巧みに仕上げた逸品です。技巧派としての上手さが光ります。想いのドラマとしても抜群のデキです。とてもオバカチックななのに、心情描写のリアルはきっちり残せていて唸るしかなかったです。パートナーとしての兄の役割も抜群で、『ヘンタイ』というキーワードを極上のスパイスレベルに変換する技が冴え渡ります。
アッパレ♪×2


『やわらかき反抗』(22頁)

やわらかき反抗

妻と離婚して半年になるパパは仕事が忙しくて娘となかなか顔を合わせる機会もなく、やっとこさコミュニケーションできると思ったら、いつの間にか娘はどこか素っ気なくなっていて、ちょっぴり寂しさを味わいながら煙草に火を点けます。
ここからの切り崩し方が雨がっぱ少女群の魅力。
父にかまってもらいたい少女なりのレジスタンスを抜群のギミックで切り落とし、心情描写でだけで漫画1本組み立ててしまうところが素晴らしすぎます。
でも、著者にしてはえっちのときの少女の淫語がファンタジーすぎて、漫画チックな『お兄ちゃんてば!』いじょうにリアリティーは薄くなってしまって、ちょっと残念ではありました。
えっちシーンは、構図的にもコマ展開的にもとってもステキに流れてゆくのに、せっかくの熱い抱擁空間な想いのドラマが、パパの着エロによって稀釈されているのが何とももどかしいのですが…


『人間以下物語 私はスーパーメイドロボ!』(20頁)

人間以下物語 私はスーパーメイドロボ!

想いを胸に、何時までも妻として待ち続ける少女型ロボットのお話です。
セツナク、ホロニガク、透明に限りなく近い想いのドラマに胸をやられました。
泣きたくなるほど美味しいご馳走。
アナタノはあとニハナニガノコリマシタカ。


『ソラを渡る円環』(24頁)

ソラを渡る円環

動いてる観覧車を見たかった、そんな、東京を夢みる少女の、小さな躓きと、大きな一歩の物語です。
たぶんそれいじょうの解説は不要でしょう。
見開き×2に詰めこんだ少女の心情が、私にとっては、死にたくなるほど美味しいご馳走でした。
このお話づくりのリズムって、とても雨蘭的な気がするのは私だけでしょうか。
アナタノはあとニハナニガノコリマシタカ。



偉大なる伝説への挑戦としての迷走期。あるいは桃の時代(その1)。


雨がっぱ少女群『あったかく、して。』 TENMA COMICS LO 茜新社 ISBN978-4-86349-022-2 2008年9月19発売

あったかく、して。


消し:透過度50%程度の極小から中細網線消し中心。
ヒロイン:ギミックとしてのハイミドルティーン1名除けば幼女から少女まで。
お相手:全員オトナ(兄2名・父2名含む)
乳:つるぺたから貧乳まで。
陰毛:無し
性器形状:男女ともにリアル。
挿入描写:1冊目よりは迫力アップも水準程度。
射精形態:口内3シーン除けばオール膣内。
カラミの手法:萌えエロ手法とぶつかり愛で7:3くらいに移行、男性陣はチャック開けるだけ・ズボンは下ろすで2分割。裸同士のぶつかり愛は皆無となり、より萌えエロに傾倒しているのが見てとれます。
萌フェチ:衣装やアクセのさり気ない気配りによるコドモっぽさの演出が抜群にロリコン向きだった1冊目から大きく変化し、二次元萌え的コスへと移行します。
軽フェチ:フェラチオ・イラマチオ・緊縛・放尿などをはじめ、フェチっ気はほとんど感じられない、所謂、ノーマルセックスこそが、リアルロリコン御用達本としての最大の売りだった部分は完膚無きまでに消滅し、標準的なLO路線のなかに収束しました。
濃フェチ:リアリティーのある少女姦というところでの濃フェチ成分は『家庭菜園』を除けば壊滅しています。
高次元フェチ:父娘・兄妹
性行為の属性:オーソドックスタイプのロリコン主義から少女フェチ萌え派への転換期
乙女の符号:無し

ハードコア度:★3の中
ぶつかり愛:★3の中
想いのエロース:★4の中
エロ作画力:★4の中
エロ作画技法:★3の上
エロのコマ展開力:★4の中
総合エロ度:★3の下

作画力:★5
キャラデの魅力:★5
心情描写力:★5
漫画展開力:★5
漫画のコマ展開力:★5
総合漫画力:★5

属性:あるときはメタファーで あるときはリアルで 紡がれる 徹頭徹尾ロリータコンプレックス

作品評価:89点(★4の特上)

宝物度:宇宙

2冊目の成コミ(通算も2冊目)



『パジャマパーティー第1話~第3話』(60頁)

パジャマパーティー

冒頭、主治医の必死の励ましにもかかわすず、カレシへの真っ直ぐな想いだけ遺していきなりヒロインな少女は逝ってしまいます。
そして次の瞬間、2頁目で大股開きマンコを魅せつけ「せっくすしよ♪」っとおねだりする幽霊少女として復活するのです。
甘ったるさとキュンキュンを目一杯詰めこんで、ヤサシサいっぱいに第1幕が終わり、
はたして幻想譚の中でもエロ漫画でいちばん感情移入が難しくなる類である、この難しいモチーフである幽霊物語を奇才がどう料理していくのか私は興味津々だったのですが、2話でいきなり別ヒロインを登場させ起承部を極端にはしょり転に移行してしまった時点で危惧していたとおり、感動もきっちり演出してるとはいえ、ワンアイデアだけでこうもあっさり完結してしまうと、ちょっぴり肩すかしでありました。まあ、それは鬼才の作品にしては、というレベルでの『がっかり』なのですが、『想いが消えれば霊も消える』というアイデアを目一杯活かしたステキなファンタジードラマであることは紛れもない事実です。小さな胸に秘めた大きな想いゆえ成仏できなかった少女心を、心機一転、萌えとフェチのエッセンスを多量にまぶして挑んだ、初連載作品でとしたが、第2話で登場する車椅子少女なセカンドヒロインにしても、ロリータコンプレックスいぜんに符号としてのアイテム化されすぎちゃったかな、と、個人的には感じました。


『太古の森』(24頁)

太古の森

死に魅入られた青年と少女がビルの屋上で邂逅する死に急ぐ者たちのドラマは、リアルをベースにイメージ化させたファンタジーが抜群すぎて、もはやロリエロ漫画という枠には収められない名作漫画レベルです。
私自身の裡なる漫画読みとしての血が思いっきり滾った一編。
アナタノはあとニハナニガノコリマシタカ。


『小鳥の縛り』(20頁)

小鳥の縛り

緊縛Sな姉へのヤキモチで、アブノなエログッズまで持参して、大好きな青年とピクニックな少女の、アツアツドキドキ緊縛初体験物語です。オチャメで萌え萌えでアブノでフェチでキュンキュンです♪


『AWAKE』(24頁)

AWAKE

セックスが怖くて、大好きな兄との性行為に踏み込みきれない少女が、兄の親友な女友達の粋な計らいににより、幸せのハードルを跳び越えるお話なのですが、二重構成なテーマの分散こそが、すでに自らのPNに対する裏切り行為で、ハイミドルティーンである第2のヒロインこそが主役を食ってしまうという、ロリコンものとは到底言えない作品になってしまいました。当然大減点の要因ですが、個人的には節操のない雑食派なので、実は無問題なのですが。


『真夜中の妹』(カラー4頁含む20頁)

真夜中の妹

オバケを怖がる少女な妹が大好きな兄から勇気をもらうお話で、テーマもステキに昇華された、味のある幻想譚なのですが、1冊目の『ウオノココロ』『パラダイス・ロスト』の物語世界の膨らみに比べると若干物足りなくもあり、印象的なラストシーンから発展してゆく展開こそを見たかっというのが本音です。これもやっぱりカラーだからと、えっちシーンを巻頭に回した事による弊害で、残り16頁でエロと物語を分厚く組み立てるには無理がありすぎたという、とても単純なミステイク。どうしてもえっちシーンをカラーにしたいなら物語の冒頭にこだわる必要はないと思うのですがどうでしょう。


『家庭菜園』(20頁)

家庭菜園

丹誠込めて育てあげたランドセル少女な娘を収穫し、意のままに扱おうとする父と、行為の意味するところを知ってしまう娘の、それぞれの想いのドラマなのですが、まさに著者の真骨頂といえる、不協和音な最終頁こそがリアルロリコン主義者には最大の美味である反面、リアル派の方以外ならドン引きになる可能性も大でしょう。私の裡なるロリコン魂が猛り狂った必殺の一撃。
アナタノはあとニハナニガノコリマシタカ。


『夕蝉のささやき』(24頁)

夕蝉のささやき

母に愛されず、思いを遂げられぬまま最愛の父は逝きはてて、十になってやっと、念願かなって秘密の儀式に耐えられる性徴を見るに至り、見果てぬ夢を自らの手首が撒き散らす大量の血涙で汚しなから渾身の祈りで魔法陣に托す、少女の、最初で最後の幸せな微睡みのドラマです。
狂気で行き止まりな愛のカタチは身震いするほど凄まじく、殺意と相反するお茶目な寝顔に戦慄さえ覚えた私です。
私の根底に巣くうトラウマレベルのカウンターカルチャー嗜好がアンファンテリブルな暗黒奇譚と共鳴しまくる、極私的大宇宙。
アナタノはあとニハナニガノコリマシタカ。




裏表紙の方が、雨がっぱ少女群の内面世界がより伝えてくれていると個人的には思うのですがどうでしょう。

また、1・2冊目ともにカバー内が思いっきりステキであると叫びたい私です。

2冊目のカラーイラスト4頁も滅茶ステキですよ♪

また、1・2冊目の後書きの、思いっきり謙ったスタイルは、自分のアイデンティティーに完璧な自身をもつ種の人間にのみ許された技法ですが、その揺るぎない自信ゆえに、需要と作風との鬩ぎ合いで、さぞや苦悩も消耗も激しいことと思われますが、要求される縛りのなかで最大限自分らしさを読者に提示できれば、いまは、それで充分なんじゃないかな、と、個人的には思います。

大砲キャノンや坂井大蔵なら「甘えるな!」と叱りつけるところなのでしょうが、まずは描くことを楽しんでくだされば、それだけで幸い。

月イチで3・4日間程度の旅に出るのも好いデスヨ。
タイセツなコトと真正面から向き合いつづけていると、逆に、本質が見えなくなってしまうことが多いので、ときには何もかも忘却してしまうことも重要だと思うのです。

いずれにしても1冊目と2冊目ではエロ表現形態は別物ですので、それをふまえたたうえで皆様方の購入の指標にしていただければ幸いです。

個人的にはカタルシスの大幅な低下と、完成度の激烈に高いオーソドックススタイルなロリコン御用達系エロ漫画が、またひとつ失われてしまったことへの悲しさで2冊目への評価を下げましたが、


どちらの作品集も、雨がっぱ少女群の、血で出来ているということだけは紛れもない事実。


さきほどの自分らしからぬ思いやりのある提言とは相反して、ちょっとアレなのですが


思いっきり描きまくりやがれ!


です。


それこそ描いて描いて描いて描きまくって、
LOに限らず2誌でも3誌でもかけもちして、
無我夢中でも必死こいてるうちに、作風なんてイヤでも自然に出来上がっちゃうんだし、たくさん描いてればそのうち好き放題やれる幸運に巡り会える可能性だって増えてくるかもだし、
とりあえず作品の完成度なんてどうでもいいですから、


要求される範囲内での自由度のなかで出来うる限りのワガママさを以て、卓越したアイデンティティーを世間に知らしめるために、爆裂邁進しやがれ!


なのです。

たとえ雨がっぱ少女群が三十路の貧乳ねーちゃんを描いても個人的になら無問題ですし。


どんな魔法でも唱えられるその自在力こそがATフィールドな諸刃の剣となり得るとしても


それは、凄まじすぎる才能をもつ者のみに許された、偉大なる特権的苦悩です。


完璧に支離滅裂な文章になってしまって、誠にお見苦しいところを披露してしまいましたが、ともあれ、


賢者の杖は振りかざしてナンボ


雨がっぱ少女群は世界にひとりしかいない希有な才能をもった作家のひとりであるということを、もしご理解いただけた方がお一人でもおられましたら、あながち私のオナニーも無駄ではなかったかな、と思う次第。

もし雨がっぱ少女群に欠点があるとするなら、唯一のそれは、あまりにも魂が高みにありすぎるため、読者にわかりやすい物語を紡ぐためには、多少譲歩して平地に近づかなくてはならない、ということくらいしか思い浮かばない私ですが。

雨がっぱ少女群が一切の手加減無しで書き殴った作品を、一度でも拝んでから冥土に旅立ちたいというのが本音ではありますが、ファンあっての作家活動なので、贅沢は申しません。


まあ、こんなカンジで盲愛する作家様に向かってワガママに思いの丈を叫ぶことにより、書くという行為がもたらす過程で派生する、考察やら考察やら再考察やらのうちに発見する、あらたなトキメキを得たいがばかりに、こんな自慰行為にも似たご紹介を繰り返させていただいてる私ではありますが、

『冗談は人生だけにしておこう』

がモットーな五十郎の想いがちっとでも伝わりましたら、さらにシアワセ。

まあ、書くこと自体でもうすでに目的は達成されているのですがね

ダメじゃん、それじゃ(爆)


天然純粋炭素鉱物の角が丸く削られるのは胸がイタイというのが本音ではありますが、さらなる加工が輝きの中心部まで削り取らない限りに於いては、あらたに別種のサプライズが産まれてくるんじゃないかな、とか思ったりもしています。


ともあれ、3冊目の単行本も滅茶苦茶けなしたいと思ってますので、一刻も早く出してくださいませ。

雨がっぱ少女群が刺さる類の御仁っていうのは、その方がすでにもっている感受性の受け皿の種類次第ってところが大きいと思われますので、一概には言えませんが、日々消費される多くのエロ漫画の中で、確実に誰かの本棚の上段にて、燦然と光り輝いている宝物でありつづける、そんな作家様ではあります。

最後に、いちばん大好きなロリエロ作家は未だにダントツで『みかんR』なのですが、こと『刺さる』っていう意味だけなら双璧な、『雨がっぱ少女群』をやっとご紹介できてシアワセすぎるワタシ。


関連:

雨がっぱ少女群『あったかく、して。』 by ヘドバンしながらエロ漫画!

少女性愛および“異形としての少女”達の甘く優しい幻想性と鋭利な現実性の両方を巧みな筆致によって描き上げる作品集です。



もう、これだけで作風の9割は紹介済みたいな観察眼が凄いです。

『小指でかきまぜて』──雨がっぱ少女群 by Stack-Style

えろあきちゃん: ラスト付近の、見開きを2回連続させる構成が印象的(だから巻末に持ってきたんだろうな)。たぶんたくさんの人がこのハッタリ構成に騙されるのでありましょう。



ひとつひとつの作品ごとにピンポイントなコメントは毎度お馴染みの素晴らしさなんだけど、これは言い得て妙すぎ♪

『あったかく、して。』──雨がっぱ少女群 by Stack-Style

雨がっぱ少女群は、出てくる女の子はぺったんばかりなのに、人材はある意味尖っている雑誌、COMIC LOの作家陣のなかでも、ひときわ異彩を放つ作家さん。端正な線で紡がれる画風・作風は非常に多面的で、読んでいて不気味さを覚えるほどです。



縛りが多すぎるのは世間の風当たりを考えれば仕方ないことなのかもですが、凄まじい人材を抱えているわりには創刊時よりベクトルが固定されすぎちゃってきてることだけは、ちょっと勿体ないんじゃないかなと、個人的には思います。

雨がっぱ少女群のエロマンガ少女は、夕暮れの中から視線を向ける。 by たまごまごごはん

雨がっぱ少女群先生の作品に出てくる男はロクデナシばかりです。しかし彼らは醜悪な容姿をしていません。むしろかっこいいといって差し支えないルックス。

なんてうらやましい!と思いたいところですが、ほら、あくまでも彼の作品は「少女視点」なのです。脆い時間の上をふらふら歩く少女から見た大人の男性は、かっこいいんです。

そして、かっこいいから裏切られる。大人の男性も、手を伸ばして少女の一瞬に触れたがる。

そのすれ違いが、やりきれない。



雨がっぱ少女群の作品は、汚い、あるいは都合の良い、あるいは賢しい男性をパートナーとしてあてがうことによって、少女たちの健気さこそを読者に魅せつけようとしている、ということを簡潔かつ完璧に言い表していて、ミゴトすぎ♪

罪無き少女は世界を支配する あったかく、して。/雨がっぱ少女群 by sasamanga

一見すると、男性側が主導権を握る性行為が殆どでありつつも、男たちを動かしているのは少女であるという現実。少女たちは驕らない。時には不安で涙を流す。しかしそんな脆そうな少女たちはどんな不安定な立場にあっても、その潤んだ瞳とか細い肢体で男たちを常に支配している。それ程の魅力と魔力。これぞ少女愛の窮みだと私は思うのです。今はそれをここまで描き出してくれた雨がっぱ先生に感謝したい気持ちでいっぱいです。



少女を語るうえで絶対に無視することはできない、物語の中でヒロインが輝くためにアイテム化される必要性がある男性の存在意義を的確に語り尽くしてくださってます♪

雨がっぱ少女群「あったかく、して」 by いえろー☆まじっく

正直に言いますと雨がっぱ先生自体に萌えてる俺。
なんちゅーかね、すごい真面目なロリコンなんですよ。
ちゃんと人生に真正面からぶつかってる感じでね、
逃避は負けじゃないよ。テクニックだよ! とか絶対言わない。
応援したくなるキャラクターなんですわ。
……これ、キャラ作り(演技)だったらすごい。



ガチ萌えロリ派としての切り口がとても参考になります。
でも私は萌えロリが嫌いなんじゃなくて、ちまたに溢れかえっている萌えと絶滅寸前なリアルのバランスの悪さを悲観してるだけなのです。それは何もリアルロリコン系に限らず、ほぼ死滅状態な『猟奇』や『スカ』や『ノンセックス』ものなども含めたところでの危惧なのですが。

[漫画]成年コミックの超超新星、雨がっぱ少女群の初単行本  by Nyao's Funtime!!

自分はこの人の作品が好きすぎる。



『あったかく、して。』のnyao様のレビューを首を長くして待ってるワタシ。

雨がっぱ少女群先生を励ますLOスレ住人 by えろまんがとぴっくす

多くの住人に心配されている方です。



ご紹にあずかり光栄です♪
そこに添付されたコメントより

こんなに業の深い漫画を描く人がそう簡単に断筆できないのではと思うからです。



私も半分はブラフだと思っております。というより、そう思いたいだけなのかもしれませんが。客観論で言わせてもらうと、描けないワケがないのです。デビュー以来、あれだけのペースで描きながら、どの作品も私のようなパンピーには到底思いつかないレベルのアイデアの集合体であり、かつ、そのアイデアを高次元なとこにあるドラマとして、唸るしかないレベルの完成度で仕上げてしまうということを、平然とやってのけてしまったお方ですから。桁外れの感性だけでも人間国宝ですが、想像力と構築力は、さらに計測不能レベルでしょう。ただ、本当の意味で、自分が描きたいと思ってるものを求められていないと感じたときには、けっこうあっさりと転職しちゃいそうに思えて…。実は私も、かの落書きコメントを拝見してから、すごく心配、というよりたぶん怖くて、それでこんなのを書いちゃったのですが、たしかにもの凄く業の深い漫画ではありますが、一般漫画でも小説でも瞬時に転向できるだけの才能は、持て余すほどの含有量なんじゃないかな、と。まあ、そうなったらそうなったで仕方ない気もしますが、私は雨がっぱ少女群の描くエロ漫画が好きすぎるので…。
それこそ僭越な物言いですし、忌憚なきところは私の業でもありますが…。
ともあれ、取り越し苦労であってくれればと。

成年コミックとかエロメイン by 調布の危険物

コミックLO 12月号

 雨がっぱ少女群が居ない。



ほかにもステキなコメントがたくさんあるのですが記事が分散してますので敢えてこれを(爆)


theme : 成年コミック・マンガ
genre : アダルト

残酷な神が支配する現代社会という名の荊の檻で儚くも後ろ向きに闘う少女の他者への哀れみに涙スル。

さて今回お届けするのは、

天竺浪人『PARADISE LOST』 MEGASTORE COMICS コアマガジン ISBN978-4-86252-472-0 2008年11月25日発売

PARADISE LOST

なのですが、

掲載誌『コミックメガGOLD』(コアマガジン刊)がお亡くなりになり3話で終わったためテーマ的には消化不良ながら、いちおうお話的にはオチているというレベルな完成度の作品と、掲載誌『フラミンゴR』(三和出版刊)がお亡くなりになり5話まででまったく未完のままになってしまった作品と短編1編の構成という、かなり欲求不満がたまる作品完結度なうえ、アイドルフェチ作家で有名な著者の脳内妄想的連作+監禁飼育された少女のトラウマを描いた痛くて黒い社会問題作+ひねくれ青春謳歌な短編という、極一般的なエロ漫画ユーザーな方にはとてもお勧めしにくい抱き合わせとなっていて、もともとアブノで高次元フェチでダークでシニックな社会風刺派の作家様でもあり、苦手だなと思った方は正直、見ない方が身のためかもです。
また、天竺浪人はエロ作家と言ういぜんに思いっきり漫画家気質な芸風なため、コマ単位での猥褻さは素晴らしいものがある反面、抜きツールとしてのエロ技法スキル自体はそれほど高い部類ではなく、サクサク抜ける部類のエロ本的な作品を求める方へはあまりお薦めできませんし、作品の性質上、今回は前作より総合的なエロ度は下回っており、元来私自身も抜くことは抜くけど、読む頻度の方が圧倒的に高い作家様で、まあ漫画好きの方以外には、はっきり言って強くはお薦めしませんし。私が取り上げるくらいだから当然と言えば当然なのですが、ともあれ

上述の内容で問題ない方のみ続きも読んでみてくださいまし。

それ以外の方には目の毒なので読まない方がよろしいかと。


カバー下には特に何もありませんよ。


消し:透過度10~30%の中細~中太網線消しで、もともと小ゴマが多いのでけっこうクリティカルに消えてる部分が大目。
ヒロイン:少女とかねーちゃんとかオバチャンとか。
お相手:雑多
乳:貧乳&並乳。天竺浪人は稀代の尻フェチでもあるので乳見せナシも多々。
陰毛:高校生の1名除けば無毛および剃毛済
性器形状:男女とも適度にリアル。
挿入描写:水準程度のものはあるけど連続性と大胆さにはやや欠ける。口の方がエロイかもな芸風。
射精形態:多種多様。そのシチュごとにテーマに合ったモノが選択される作風。
カラミの手法:萌えエロ手法とぶつかり愛で7:3くらいだけど、エロースよりフェチが優先するタイプ。
萌フェチ:コスプレイ・ボンテージ
軽フェチ:フェラチオ・バキュームフェラ
濃フェチ:疑似アイドル・監禁飼育
高次元フェチ:アナル・二穴・浣腸・二本挿し・男性へのアナル姦・精飲・ぶっかけ・露出・犬・トゲ付きコンドーム・ファイナルソード・姉弟・女装・輪姦・オージー・トラウマ・スタンガン・調教
性行為の属性:婦警調教・アイドル調教・歪んだ愛の餌食となった少女の連鎖的不幸・青春謳歌
乙女の符号:無し

ハードコア度:★3の中
ぶつかり愛:★3の中
想いのエロース:★5
エロ作画力:★4の中
エロ作画技法:★2の上
エロのコマ展開力:★2の上
総合エロ度:★3の中

作画力:★5
キャラデの魅力:★5
心情描写力:★5
漫画展開力:★5
漫画のコマ展開力:★5
総合漫画力:★5

属性:脳内妄想フェチ願望・リアルトラウマ物語・オチャメ

作品評価:96点(★5の上)

宝物度:宇宙

24冊目の成コミ(通算も24冊目)


『ハメドリ王子』(18頁)

ハメドリ王子

27歳の婦人警官が息抜きでお持ち帰りされてみた、そのお相手の青年がよりにもよって高校生なハメ撮りマニアだったというお話で、冒頭11頁に二人の1年間にわたる主従関係を凝縮して詰めこみ、残り7頁で超アブノな記念日を演出するのですが、18頁漫画としての構成は抜群なものの、どう考えたって単行本1冊程度にした方がはるかに美味しいはずの調教劇を短編に仕立ててしまったということ自体が罪でしょう。カット単位でしか語られない超アブノ的調教の日々こそをひとつひとつのドラマとして積み重ねて描いてくれていれば、たぶん100点満点超したのになと思わずにはいられませんでした。

『ハメドリ王子#2~#3』(44頁)

ハメドリ王子#2#3

1話主演のハメドリ王子こと須堂涼一が、香港のハメ撮り大王よろしく、とっておきのハメ撮り愛奴を紹介するお話で、そのお相手は彼の同級生である、現役女子校生アイドルな藤浦麻綾・17歳。著者らしいファッションセンスのボンデージを効かせた衣装で、徹底的にアナルを嬲られる国民的アイドルの堕ち様がすこぶるステキなんだけど、時代が時代だし媒体も媒体なので唯一のスカシーンは昔の三和やワニのようドハデさの欠片もなく、わずか1センチという為体なのが涙。さらに彼女とクリソツな弟に女装させしゃぶりたおさせ精淫させ、トゲ付きコンドームで挿入させたところで狂ったアイドルの実態を魅せつけ3話に引き継がれるのですが、さすがに無理矢理最終回なので天竺浪人にしては突き抜けきれておらず、無理にまとめるよりは濃いフェチ成分だけ垂れ流しまくっておいて、復活の日を待った方が好かったんじゃないかなと思います。が、ともあれ、弟の姉への憧憬を吐き出すようなリビドーが炸裂しまくり、#2でのイボ付きコンドームのアイデアを活かし、ひとつの変態アイドル姉弟の想いと肉体が奏でるドラマを一応完結させるところまでは持ってきました。まあ、休刊による無理矢理エンドなため致し方ないとはいえ、結果論だけで言えば、『アイドルなんて皆生まれついての露出狂』というテーマを完璧に演出しきるところまでは到達せず、また、スカにしてもシルエットレベルで薔薇含みの3連結にしても♂×♂シーンはゆるくしか描写されず、作家のもつアイデンティティーを100%活かしたとはとても言えない、時代の求める平均値なニーズのみに収束しようとする大手出版社の姿勢ばかりが浮き彫りになってしまっていて、致し方ないこととはいえ、表現の自由が超低空飛行なアダルト漫画界の現状に、寂しさもちょっぴり。

個人的な意見を言わせてもらうなら、成年マークに身を包むことによって、あらゆる表現形態の自由化を目指したはずの成コミの方向性が、あまりにもひとつのベクトルばかりに傾いてゆくのは、とてもつまらないし、紹介したい作品集が昔のものばかりなんてことになりかねない現状には、ちょっと(かなり)不満です。

『岡部さんのこと』(20頁)

岡部さんのこと

万引き女生徒とコンピにバイトな同級生男子生徒のひねくれさわやか青春謳歌な物語。こういうのも時折り描かれますが相変わらず超ステキでした。

ほか、
イラスト入り作品解説のよーなもの2頁
描き下ろし4頁の穴埋め漫画『アナウメ』
後描き漫画『天竺浪人の禿筆三昧』4頁
エセエロコラム『エロ和尚の淫テリジェンス人生相談』2頁
後書き1頁

そんなワケで、一応1編単位ではオチてるもののテーマとしてなら未消化なままの『ハメドリ王子』と、まったくもって「早く続きを描きやがれ」な『CLAY-DOLL』の抱き合わせっていうことで、読後は思いっきり続きが読めないモヤモヤが恨めしかったですが、まあ、いずれも掲載誌休刊では著者の責任は微弱ですし、『CLAY-DOLL』は圧倒されるほど素晴らしかったので、未完による減点は2点のみ。



さて、肝心要のメインディッシュのご紹介ですが、ネタバレも多く含みますので以下に収納。
どうしてもギリギリのところで購入を迷ってる方のみ覗いてみてくださいましね。


more...

theme : 成年コミック・マンガ
genre : アダルト

SMという名のアブノな男女の純愛で真っ正面から紡がれたドラマに酔いしれ、背筋が凍るほどサムコワイ日常の闇に巣くうリアル強姦にただココロが涙スル。

さて今回お届けするのは、それぞれが独立した短編のオムニバスである、ハードSM純愛ドラマな表題作『正しい彼女の愛し方』第0話から第8話までに、インタールード的に挿入される、思いっきり突き放したところからリアルにたたきつけられる輪姦強姦劇『強姦』の第2話までを加えた全11構成の作品集です。
タコとかナマコとかロブスターとかアナゴとかナメクジとかヒルとかもアイテムとして登場します。

上述の内容で問題ない方のみ続きも読んでみてくださいまし。

それ以外の方には目の毒なので読まない方がよろしいかと。


くろ『正しい彼女の愛し方』 MOOG COMICS ジーウォーク ISBN978-4-86297-070-1 2008年11月5日発売

正しい彼女の愛し方


カバーは先に外してもだいじょぶですが、著者の5年にわたる作家人生のアレコレが詰まってますので、各自のご判断に委ねたいと思います。


消し:透過度10~50%の中細~中太網線消し
ヒロイン:推定ハイミドルティーン4名・ハイティーン4名・二十代前半1名・二十代後半2名。
お相手:年上だったり同い年だったり年下だったりいろいろ。
乳:巨乳
陰毛:2名除けば無毛
性器形状:男女ともにリアル型ながら男根の形状はちょっとヘンテコ。昔ほどではないけど。
挿入描写:トーンはきっちり貼ってて粘着質ではあるけど美麗までは届かず。
射精形態:基本は膣内(アナル内もアリ)で強姦シーンのみぶっかけアリ。
カラミの手法:基本は萌えエロ手法でぶつかり愛も少々ながら男性はチャック開けるだけ。
萌フェチ:ボンテージ・乳首にチェリーが優・緊縛・半脱ぎなど
軽フェチ:フェラチオ
濃フェチ:
高次元フェチ:アナル・二穴・二本挿し・精飲・ぶっかけ・露出・放置プレイ・ピアッシング・針・タコ・ロブスター・アナゴ・ナメクジ・ヒル・蝋燭・鉄アレイ・ゴーヤ・和辛子・野球のボールなど
性行為の属性:SM純愛・輪姦強姦
乙女の符号:3名
ハードコア度:★4の中
ぶつかり愛:★2の上
想いのエロース:★4の上
エロ作画力:★3の上
エロ作画技法:★2の上
エロのコマ展開力:★3の下
総合エロ度:★3の中
作画力:★4の下
キャラデの魅力:★4の下(男性キャラは★4の中)
心情描写力:★5
漫画展開力:★4の上
漫画のコマ展開力:★3の下
総合漫画力:★3の上
属性:ハードSM純愛・底冷え輪姦強姦地獄

作品評価:89点(★4の特上)

宝物度:宇宙

3冊目の成コミ(通算も3冊目)



正しい彼女の愛し方 scene0(カラー4頁含む18頁)

正しい彼女の愛し方0

男子生徒たちに強姦輪姦される女生徒と、彼女を慕いながらも、それを黙認するどころか隠れて覗きながら自慰している男子生徒の図からはじまる物語は、その後ふたりが恋人関係になり初めてのえっちをするシーンを展開させることに終始するのですが、過去のシーンを挿入しながらふたりが自分の性癖に覚醒してゆく姿がコマ単位できっちり描かれていて、軽SM行為にハマってゆく物語は、単行本のテーマに引きずり込むプロローグとして、構成上とても好かったです。反面、カラー4頁で魅せたことの繰り返しになってしまったため、頁的ボリューム不足でドラマの厚みはもう一歩なのと、えっち突入後はSM風味がほとんど活かされてないのが惜しいです。また、過去シーンをコマの角を丸くすることによって区別してるところは、一目瞭然に判断できる工夫が欲しかったところ。たとえばフォトスナップ風にするとかビデオ映像的にするとかコマ自体を大胆にデフォルメしたり揺れゴマにするとかいろいろ手段はあったと思うのですが。ともあれ、本編のハードSM編突入前のウォーミングアップ的役割は充分果たしています。

正しい彼女の愛し方 scene1(16頁)

正しい彼女の愛し方1

かなりクールな男子生徒に授業中バイブ調教される幼馴染みの女生徒の図からはじまる物語は、クリトリス催淫剤注射な緊縛プレイを皮切りに針灸針クリ&乳首刺しのままのセックスへと移行するというハードSMが展開されるのですが、Sな男とMな女の心情こそで作品を構成していて、ラストまで納得のデキ。緊縛手法についてはもっと勉強してくれと言いたいですが、当時粗めだった緊縛も現在では縄目まできっちり描けるレベルまで成長してるため、文句は言えません。ともあれSMカップルのキモチの空間力が心地よく、雰囲気抜群の物語に仕上がってて、とてもステキ。

正しい彼女の愛し方 scene2(16頁)

正しい彼女の愛し方2

釣り好きな旦那様が生憎のボウズで生きた食材を買ってきたところからはじまる、新婚7ヶ月目夫婦の、新たな性癖への目覚めを描いた物語は、好奇心からタコを素肌に巻き付けちゃったら恍惚が止まらなくなっちゃう奥様のM堕ちから、あとはもう旦那様もノリノリに、ロブスター・アナゴと投入しまくり、サポート精神ももよろしく、シアワセを垂れ流し、事後のラストも甘ったるくて、愛情たっぷりの空間が、たいへん美味しゅうございました。

正しい彼女の愛し方 scene3(16頁)

正しい彼女の愛し方3

付き合い始めて三ヶ月、青年が2つ年上のカノジョと初めて入ったラブホがSM専用で、そのままのノリでボンデージからSMゴッコがはじまり、過激に快楽を享受するカノジョに引っぱられるかたちでハードプレイへと移行して、テンポよろしく流れのままにシアワセ空間を演出しつつ幕。作劇的にはちょっぴりラブコメ風味で、流れとして特に気になる面もなかったものの、突き抜けたものも感じなかったのは、ヒロイン方面のシリアスな心情をほとんど投影せず青年目線のみで物語を紡いだからかもしれませんね。著者の描く男性自体がどうしても夢見るオンナノコ目線なファンタジー像的存在なので、三人称語りやヒロインを一人称で語った作品より若干リアリティーが損なわれるベクトルもはらんでいる作風ですから、そこは致し方ないところでしょう。ただし中盤のメインである失神シーンは、コマの切り方次第で相当レベルのインパクトをつくれたはずなのに、肝心要のところが作画として欠落してるのは勿体ない限り。9頁目のラスゴマの後に、堕ちる瞬間の顔アップ3コマ程度と失神直前の痙攣と、失神直後の弛緩した瞬間の失禁まで大ゴマで描ければ相当なご馳走レベルになってたはずなので、ちょっと勿体なかったですね。さらに言わせてもらえば、完全逆さ宙吊りの方が迫力はあったと思いますが、全盛期の『桃山ジロウ』と比べるとオーソドックスプレイでの緊迫感はもうひとつ。まあ、あちらは同じSMでも属性は別物ですけど。ともあれ、SMメインでラストに交合ってのはスタイルとしては似合ってると思いますし、3頁程度でもふたりの熱い抱擁が魅せつけられれば華になる作風かと。

正しい彼女の愛し方 scene4(16頁)

正しい彼女の愛し方4

真性ドSで超アブノな生物学教師とカレに焦がれる女生徒のSMドラマは、睡眠薬使用による緊縛拘束から搾乳器を使った乳首&クリ怒濤の攻めまくりから、ナメクジ・ヒルも大量投下するいう、ひたすら凌辱風味の展開に終始し、本来焦がれていたカノジョの立場からすれば浪漫チックの欠片もない喪失劇としか映りませんが、愛あるSMの紡ぎ手としては?を付けたくなる黒い流れも実は、最終頁のミゴトなオチを魅せつけられては、綿密につくられたSM劇演出の一形態だったのかと、唸るしかなかったですよ、な脱帽クラス。2度続けて読むと解り易いタイプの作品です。イメージ的にはウブっ娘にみえる彼女に破瓜がなかったことだけが個人的には残念でしたけど。

強姦1 加藤菜美 19才(16頁)

強姦1

カラオケ喫茶の女性店員にドラッグを決めた青年たちの容赦なき輪姦強姦。肉体以上に心はズタボロなトラウマレベルの逸品。男性陣の無味乾燥ぶりこそが作品を彩っていてミゴトすぎました。

正しい彼女の愛し方 scene5(16頁)

正しい彼女の愛し方5

万引き女生徒は青年店長の幼馴染みで、バッグから出てきたものは、麻縄・和辛子・玉子・ズッキーニ・ゴーヤということで、あとは想像してくださいませ。アイデア自体はチープだけど、プレイは相当にハードな愛あるSM。

正しい彼女の愛し方 scene6(16頁)

正しい彼女の愛し方6

ドMな女生徒と4つ年上なオタクSな青年の、携帯サイトで知り合って、そのまま即行処女強姦ハードSM純愛物語。お互いが認識すれば和姦でも強姦として成立しうるという、実に素晴らしい純愛ドラマです。サディストとマゾヒストは惹かれ合うよう定められているというDNAレベルの逸品。

正しい彼女の愛し方 scene7(16頁)

正しい彼女の愛し方7

ドMな女性と6つ年下な青年の野外露出系ハード調教劇。彼女が若い子をパートナーに選んだのにはワケがあります。人としての人格を備えたオトナの男は彼女をモノとして扱ってくれないから。彼女は友達にカワイソウだと言われます。なぜならカレシにアイサレテナイから、と。そんな彼女はこう思ってます「私がカレのこと2倍アイシテルから量的には同じ」。これは、そんな乱暴なパートナーを得てシアワセまみれなオンナノコのキモチと、彼女の良きパートナーを務めるため冷酷な若者を演じつづけるオトコノコのお話です。
アナタノはあとニハナニガノコリマシタカ。

強姦2 沢村綾香 18歳(16頁)

強姦2

男子生徒たちによる女生徒への容赦なき輪姦強姦。肉体以上に心はズタボロなトラウマレベルの逸品。男性陣の無味乾燥ぶりこそが作品を彩っていてミゴトすぎるというところまではまったく同じだけど、『強姦 第1話 加藤菜美 19才』をあらゆる面で凌駕する残酷さ。顔をボコボコにされても気丈に抵抗をつづけた、さしもの彼女も煙草の火を見せつけられては自らを棄てて、穴に徹するしかほかになかった無常地獄は完全マグロ状態に陥るまで延々とつづき、驚愕の暴力がさらなる追い打ちをかけ幕を閉じます。狂犬に噛まれるとはまさにこのことでしょうか。日常に無造作に配置された闇がコワイデス。思いっきり突き放したところから淡々と描かれる悲哀が凄まじくミゴトです。
アナタノはあとニハナニガノコリマシタカ。沢村綾香にいつの日かトラウマを消し去るレベルのシアワセが訪れますように。

正しい彼女の愛し方 scene8(16頁)

正しい彼女の愛し方8

軽SM風味のラブコメ。とてもツマラナイです。著者プログ

SM初心者でも「引かないエロ」・・・・・・いわば「入門編」みたいな感じで描いた作品だったんですね。担当編集氏も私も「これならみんな引かないで付いてこれるはず!!」とか、割と自信持ってたんですが、コチラも大きな誤算デシタ・・・・・orz

という記述がありますが、ここまでせっかくシリアスな想いのドラマを組み立ててきた積み重ねが一気に崩壊するほどゆるさで、フィナーレがこれではとても締まりが悪いです。引き込みならせめて巻頭にもっていって欲しかったですし、もしこれから読まれる方へなら、最初に読んじゃうことをお薦めします。それにしても、感動こそを期待したシリアスドラマの最終話がユルユルだったら白けるでしょうに…。まあ、今更仕方ないけど、おかげで★5が添てませんでした(涙)。

でも単体としてなら充分楽しめる内容で、皮被りクリを引っ張り出すっていうテーマがおもしろい、愛あるSMの一形態。



さて、『正しい彼女の愛し方』の方は、全作品、変態的性行為を楽しむカップルのお話で、大概の場合はS心とM心が合致し、

SMというジャンルの本来あるべき姿を明確に提示してくれていて素晴らしすぎました。

ボンデージ・緊縛・針・蛸・ロブスター・アナゴ・拘束具・蝋燭・搾乳器・ナメクジ・ゴーヤ・ピアスなどが主に大活躍するハードSM劇が大半ですが、露出調教をかましたものも少々。ラスト1編のゆるさはともあれ、何れも想いのドラマをきっちりつくりあげ、単なるハードプレイで終わらない、男女の愛ある愛SMドラマに仕上げた手腕には、脱帽、というまえに感動してました。

一方、『強姦』の方は、思いっきり突き放したところからリアルに描かれた輪姦強姦劇が、痛々しいほどミゴトで、男優陣の『単純に繰り返される日々への反抗』的な、他人などゴミ程度にしか思わない、乾きまくった感性が、ちょっと『花村満月』的なサムコワサを増長させ、そこにある悲哀をよりいっそうクローズアップさせ、

もう人生取り返しがつかないんじゃないかというレベルのトラウマさえ提供してくれるほどのリアリティーをたたきつけ、読み手の胸にグサリと杭を打ち込んでくれること請け合いです。

ヒロインたちの今後の人生に何だかの救済があって欲しいと願わずにはいられないほど、胸を打つドラマでした。

そんな『変態的純愛』と『リアル強姦』という異なる作品性が違和感なく調和してる芸風です。
それは多分に著者に潜在するマゾヒズムへの憧憬やら渇望やらがもたらすところが大きいんじゃないかと個人的には身勝手に解釈してますが、男性の目からではなく女性的観点で捉えれば、すべてが『ボロボロのグチャグチャにしてもらいたいM願望』というところに帰結するんじゃないかな、と。

ともあれ、作劇面では第0話の漫画技法不足による構成難と正しい彼女の愛し方第8話のずっこけレベルなゆるさを除けば物語的には満点でしたが、作画面およびコマ展開方面では、かなり甘め残り。

特に、『愛あるSMなのにチャック開けるだけ』なのは何とかして欲しいところですね。

『表情の種類不足』とか『断面図ドヘタ』とか『出血に嘆美不足』とか『トーンワーク甘い』とか『ポージングに美意識不足』とか『尺顔がもう一歩』とか『下着や衣装にもっとこだわりを』とか『男性の身体を省きすぎ』とか、細かい点ならいろいろあるのですが、でもどれも克服できるものばかりなので、さらなる飛躍を期待。

と、単行本発売日に某所で書いたのですが、


今月号のムーグを観て、ちょっと震えました。


『強姦3 神尾舞 19才』(月刊コミックムーグ1月号収録・ムーグはコミックプラムにリニューアルされるため最終号)


強姦3

上述内容のいくつかはすでに改善の方向性がきっちりと作画として現れていて、著者プログで、

プロット通って、ネームを描き出したのデスガ、途中で話に破綻をきたし、久しぶりに自分で全没にシマシタ。話考え直さなきゃ・・・・・・orz



というコメントを見かけたときから期待してたとおり、真剣勝負で未来に向かって爆進してくれてるみたいで、今後1作ごとの成長を見届けるのが楽しみでなりません。


さらにっ


青イソメ

青イソメが素晴らしすぎ♪♪



ただし18頁という分量は、見開きによるインパクトや、情景描写による味付けや、たたみかける連続性による性行為の迫力増大化というところまで詰めこむにはドラマ的に困難であり、何とか一日でも早く24頁程度もらえる人気だけは身につけて欲しいところ。

正直、2冊目を所持していながらまったく思い出せなかった私ですが、そういう作家様の眠っている才能を引き出して開花させたムーグ様には、ただただ脱帽。

カバー内の【ココマデ辿リツイテクレタアナタヘ】にある担当者様が、実は編集長様だったという件を見つけたときは、ちょっとシビレましたが、ともあれ、剥き身のM願望で迫る永遠夢見るオンナノコな腐女子魂・男女の心情描写・テーマに齟齬のない展開力が抜群な、マゾヒズムにまつわる性をドラマとて扱った大人向け漫画として、本当の意味でのSMに興味のある貴殿貴女へ、二次元M願望がある貴女へ、二次元S願望がある貴殿へ、性を謳ったハードドラマをこよなく愛する大人な漫画ファンな皆様方に、ぜひ手にとってみてくださいませ、と心から叫びたい私です。

最後に、この稚拙で長ったらしい文章に最後まで付き合ってくださった貴殿貴女に百万の感謝を。

あくまでも私の駄文は補足でしかありませんので、できれば文面より、身勝手にスキャンさせていただいてます画像の裡に秘められた、著者の魂の叫びこそを、いちばんの参考にしていただけましたら幸いです。

エチゼンクラゲトタワムケラレタライイデスネ♪

関連:くろ『正しい彼女の愛し方』 by ヘドバンしながらエロ漫画!

theme : 成年コミック・マンガ
genre : アダルト

高次元フェチと悩殺クラスのハードメガエロスの海の波間にただようごとく、かなえられてゆく願望と刷り替えられてゆく願望に酔う。

さて、就寝前に酒とエロ漫画の日々。を拝見させていただいてて「しまった」と思ったので書いときます。私がキモチよさそうなナカダシも派手に汚してくれるブッカケも大好きなせいで、すっかり区分するのを忘れていた『射精の形態』の項目をレビューに追加させていただきました。まったく以て準備不足の見切り発車だった弊害ですが、まあ、やりながら徐々に直したり追加して行ければいいんじゃないかと(爆)。
Госпланさまマジ感謝です。

また、数日前にkarimikarimi様のプログでこんなの『[漫画]○○といえば○○ 代名詞のあるエロ漫画家 その1』を拝見し、フェチについてまたいろいろと改めて考え直してたりしてたのですが、所謂、萌えアイテム的なものと、エロの行為でもリアルではアブノ扱いされるディーププレイなものでは、別次元のフェチとして捉えた方がいいのかな、と思ったりしましたので、この辺はまだ私自身でもきっちり分類できてないのですが、とりあえず今のところ4分割して区分することにいたしました。
karimikarimiさまマジ感謝です。

ところで私はおもしろい成コミが大好きなワケですが、当然おもしろいの語彙よろしく、いろんな意味が含まれてるワケで、タトエバ男と女が肉体で奏でるドラマとして、あるいはドラマチックな展開に於いて提供される、晴れ晴れとした高揚感としてのそれとか、絶妙の展開やマで、あるいはシグサで思わず笑かしてくれるそれとか、ストーリーの妙としてのそれとか、心にかなう。好ましい。望ましい。という意味でのそれとか、趣が深いという、まんまの意味までそれこそ種々様々ではありますが、エロ漫画にもまたいろんな手法があるワケで、人の性愛こそをモチーフにして漫画こそを魅せた作品から、それこそリビドーを刺激するための展開に終始したものまで非常に幅広く、漫画で訴えるものとエロ作画で訴えるものに、よほどの齟齬がない限りに於いては、ほとんどのエロ漫画を愛していると言っても過言ではない私ですが、そんなワケで、

本日お届けしますのは、レビュー第4弾にして当プログ初めて普通に超弩級エロ漫画な、

ここのき奈緒『Second virgin』 MEGASTORE COMICS コアマガジン ISBN978-4-86252-512-3 2008年11月19日発売

Second virgin


なのですが、
超弩級エロ漫画といういぜんに、高次元フェチ(近親相姦・ダークサイコ・フタナリ・アナル・二穴・二本挿し・露出・精液口移し・大量精飲・ぶっかけ汁まみれ・等等)がてんこ盛りなため、あんまり普通ではないかもですが、それらが守備範囲な方で、よーするにドエロでアブノでおもしろいエロ漫画のファンな方はぜひチェックしてみてくだいまし、ということです。この作品には、いろんな意味でのおもしろいが詰まっておりますがゆえ。

それ以外の方には目の毒なので読まない方がよろしいかと。

なお、カバー内も素晴らしいですよ。先に外してもだいじょぶです。


消し:透過度10~60%の中細網線消し中心
ヒロイン:推定ハイミドルティーン~28歳くらいまで(フタナリ1名・疑似フタナリ1名を含む)
お相手:弟・同級生・年上などバラバラ
乳:並乳1名除けば巨乳
陰毛:そよそよ
性器形状:男女ともにリアル。さらにアナル・唇・オッパイさえも第二第三の性器レベル。
挿入描写:トーンの貼り方が上手く粘着質なうえ、汁描写も美麗。固定連続ゴマを描くことに抵抗があるのか、常に視点がムーブしてるところに4コマ連続固定ピストンとかを上手く挿入できればほとんど宇宙レベルたけど、現状エロ技法的にはほとんどのものがトップレベル。
射精形態:膣内8・口内4・ぶっかけ9
カラミの手法:ぶつかり愛中心。コスを活かした半脱ぎも使用しつつ基本的には裸同士の肉弾戦で、蝉のようにしがみつきながらのゼロ距離えっちも純愛系ではメイン。と、まさに至れり尽くせりな教科書通り。
萌フェチ:黒レース下着・裸エプロン・ボンテージ・ボンタイが優・半脱ぎ・眼鏡っ娘3名など
軽フェチ:フェラチオ・クンニ・パイズリ・目隠し
濃フェチ:フタナリ・間接的催眠
高次元フェチ:姉弟相姦・アナル・二穴・二本挿し・精飲・お掃除フェラ・精液口移し・大量精飲・ぶっかけ汁まみれ・露出
性行為の属性:姉弟純愛・成り行き・間接催眠。
乙女の符号:処女はいるけどアナル姦なので乙女の符号は無し
ハードコア度:★5
ぶつかり愛:★4の上
想いのエロース:★4の上
エロ作画力:★5
エロ作画技法:★5
エロのコマ展開力:★5
総合エロ度:★5
作画力:★4の上
キャラデの魅力:★4の中
心情描写力:★5
漫画展開力:★4の中
総合漫画力:★4の中
属性:かなえられる願望・刷り替えられる願望。

作品評価:91点(★5)

宝物度:神

3冊目の成コミ(通算も3冊目)


『あねかた。』(カラー4頁含む24頁)

あねかた。

寝てる姉に精液をぶっかける弟という奇天烈な図からはじまる物語は、弟の告白シーンだけは唐突感が強く、もう少しタメをつくってからインパクトで魅せつけ、台詞いじょうに姉弟の表情の移ろいこそで展開して欲しかったという面はあるけど、いざエロシーンに突入してしまえば抜群のコマ展開でエロースをひたすらに撒き散らし、口内射精で決めるエンドまで抜群の流れをキープし、ミゴトのひと言。安易に膣内射精しなかったことにより、きっちり日常劇としてのリアルを保たせた作家性も素晴らしい限り。欲を言えば「結局 朝まで全力疾走 5回も…」は、できれば台詞じゃなくて漫画で提示して欲しかったし、残りの4回戦をはしょらずに担当に無理言って8頁追加もらって欲しかったと、無理を言いたくなるくらいの充実内容。

『あねかた。2』(20頁)

あねかた。2

後日、姉弟で盛りまくってるところを友人に発見されてしまった姉という図からはじまる続編は、その友人の存在をミゴトに活かしてエロシーンに雪崩れ込み、二人の絆をさらなる深みまで昇華して、極上エロースまみれでエンド。特に、二人の関係を心配する友人が間に入って正しい性のあり方を身を以て教授しようとするシーンでのチンチンの反応の素晴らしさがマーベラスと言うかハラショーと言うかバグースと言うか、もうチンチンとマンコの愛がホントにミゴトと言うしかほかにありませんでした。弟のチンチンに頬ずりする姉に、ただうっとり。流れも淀みなく非の打ち所もございません。

『あねかた。2.5』(描き下ろし16頁)

あねかた。2.5

さすがに16頁なので挿入はぶち抜き1頁のみとエロ的ボリュームは1・2話にはかないませんが、それでも連続6頁のパイズリからの射精シーンは作画能力の高さも手伝い極上ワインの酩酊感すら醸し出してくれていて、個人的にならこのシーンだけでも抜けます。漫画部分もきっちりつくりこんでてオマケ感覚で終わってないところが素晴らしい限り。

『トはあいかわらず友達のト』(24頁)

トはあいかわらず友達のト

1冊目『Virgin』収録の『トは友達のト』シリーズ第5弾です。第1話は調教が始まった途端に快楽堕ちしてしまうという部分が勿体なかったですし、2話以降もアイデア先行が目立ちましたが、さすがに現在スキル方面の大幅アップを魅せつけ、アイデアのもたらすドキドキを活かす展開力で、絶妙のサプライズでキュンを上乗せして、ラストまでひた走ります。これもミゴトなデキ。でもシリーズ未読だとシチュの意味が解らないかもですね。

『源エリカの憂鬱』(22頁)

源エリカの憂鬱

本作のヒロインは『あねかた。2』登場の女教師なのですが、女生徒から告白されてしまいます。その女生徒は通販で購入した妖しげなアイテムで願いをかなえ、フタナリさんになってしまっていたのでした。あとはもうスイッチ入っちゃったエリカ先生がひたすら攻めまくるのですが、抜かずの2回線は攻守逆転で異なる反応が拝めて味わい深いです。欲を言えばラストだけはもちっと強烈にして欲しかったけど。

『永瀬ひとたび』(22頁)

永瀬ひとたび

バナナの皮ならぬバレーボールを踏んづけてスッテンコロリな男バレマネージャーな女生徒が気づけばボンタイのみ残しスッポンポンという図からはじまる物語は、『裸の王様』感覚で突き進む、所謂、騙し劇なのですが、自分が裸に見えてしまうことへの気恥ずかしさが、露出劇的空間をつくりあげ、劇中ネタバレ時にはすでに恥辱に陶酔しきった状態をつくりあげ、淀みなく輪姦へと移行する流れが抜群。ただし、アイテム的なハード感覚を優先するあまり、1対1時に比べれば輪姦時のギチギチ感はやや不足気味。まあそんなことはどうでもいいくらい、アイデアの昇華が素晴らしかったです。

『breakfast club』(18頁)

breakfast club

1冊目『Virgin』に於いて、著者が己のアイデンティティーをアピールしようとして結局は砕け散った、というか催眠調教ということ自体が相当に難しい分野で、遠くにある物語を突きつけられているみたいなところへ落ち着いてしまったという、所謂、偉大なる失敗作『不条理催眠凌辱三部作』と同一の方向性をもつ作品なのですが、コアマガジンでの2作目に当たるため相当に古いです。ただしこの方は古いとかはあまり関係ない作家様かもしれません。コアデビュー作に当たる『委員長の撮影会』は最後の最後にリアリティーを失うものの、それまでは抜群のも流れをつくってましたから。そんなワケで先ず結論から言うと、堕ちの過程を提示するための表情の移ろいによるコマ展開に若干の甘さがある以外はほとんど展開に澱みはありません。欲を言えば、ラストのコマはコワイものを含んだ表情にするべきだったんじゃないかと個人的に思う程度です。で、肝心の作品の方ですが、通学電車を2本遅らせてしまったため不条理な車両に乗り合わせることになってしまった女生徒の悲劇を、陶酔による刷り替え幸福劇として描いたサイコな作品で、便宜上『不条理ダークサイコ系』と定義。1冊目の収録からこぼれ落ちた理由はおそらく男女性器の結合シーンが無いということだと思われますが、なかなかどうしてミゴトなまでの口中セックスがたたみかれられます。これも精飲が引き金になる一種の催眠暗示効果ですね。

『house work』(20頁)

house work

フタナリセールスマンと奥様のお話です。前振りを苦労して面白くしようとしたワリには最終的に在り来たりの情話に落ち着いていて、著者としては極めて突き抜けてません。三人称で描いてるのですが、この作品に限ればフタナリさんこそをクローズアップさせた方が圧倒的におもしろかったかなと。

『Lucky Lookin'for Blind Men Circus Show』(20頁)

Lucky Lookin'for Blind Men Circus Show

姉弟主演の『不条理ダークサイコ系』の発展系です。既視感を絶妙なスパイスとして用い、現実から催眠世界にいざなってくれる演出に澱みがなくミゴトです。適度なシュール感覚の夢現といってところでしょうか。作劇自体が命な作品なためストーリーには触れられませんがご勘弁を。

『Lucky Lookin'for Blind Men Circus Show #2』(24頁)

Lucky Lookin'for Blind Men Circus Show #2

別ヒロインによる続編です。著者後書きで「もうちょっと突き抜けたかった」とありますが、なかなかどうして素晴らしかったですよ。ゾクゾクきましたし、6年前の『胃之上奇嘉郎』思い出しちゃいましたもん。ただやっばりエロシーンはチンチンの本数とかに頼るより斬新なアイデアで魅せて欲しかったというのはありますが、ラストもなかなかのもので、たいへん美味しゅうございました。


なお私は2冊目『壁の中の天使』を読んでないのですが、このレビューを書き上げるまでは、これ以上の情報を入れたくなかったので意図的にまだ購入しておりませんが、ご勘弁を。

作品の方向性は、思いっきり不埒でデレデレな姉弟相姦純愛ドラマ・サイコ系・幻想譚・昼ドラ系・騙し輪姦・サプライズ系など思いっきり多岐にわたっているうえ、あまつさえアナル・二穴・二本挿し・露出・精飲・ぶっかけ汁まみれなど高次元フェチ要素も盛りだくさんです。サイコ系の作品ほど男性はアイテム化され、純愛系の作品ほど男女の裸のぶつかり愛が多くなります。

エロ作画技法的なことは文句の言いようがないレベル。エロシーンに関して弱点になりうるものは近作ではほとんど改善されているため、こちらも提言することはございません。

巻頭連作の『あねかた。』は漫画展開も好く、背徳感を忘れ去るくらいのレベルのエロースにまみれてて、これだけでも滅茶ステキなのですが、露出系・サプライズ系の展開力にも優れ、『不条理ダークサイコ夢現系』の作風が滅茶素晴らしく、今後さらに磨かれていったらいったいどのようなものが出現するのか、そんなことを想い巡らすだけで失禁しそうな私ですが、ともあれ『ハードメガエロース』で『濃い口エロ』で『高次元フェチ』で、かつ『おもしろい成コミ』を求められる方なら、絶対ゲットしておきなさいレベルの一冊であることを最後に声高らかに叫んで、私の拙い文章で作品の好さをいったいどこまで伝えられたかは疑問ですが、この辺で結ばせていただきます。

アナタノはあとニハナニガノコリマシタカ。

ドキドキとキュンキュンとゾクゾクをお届けできれば幸いです。

以下、単なる四方山話ですので収納

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theme : 成年コミック・マンガ
genre : アダルト

ランドセル少女たちとオトナたちのワガママな想いが交差する、ちょっぴり黒くてイカ●テル、ヒネクレハートな子守歌。

さて本日お届けしますのは、レビュー第3弾にして当プログ初めて普通のエロ漫画な、


ハッチ『comic ped.』 SERAPHIM COMICS ヒット出版社 ISBN978-4-89465-417-4 2008/11/21発売

comic ped.


なのですが、
タイトル通りオールペドフィリア(推定高学年なため、当プログではペドではなくロリコン扱い)なランドセル少女オンリーですので、あんまり普通ではないかもですが、ロリが守備範囲な方で、想いが紡ぐドラマとしてのストーリー系エロ漫画ファンな方はぜひチェックしてみてくださいませ。

それ以外の方には目の毒なので読まない方がよろしいかと。

なお、カバーは読み終わってから外してくださいまし。


消し:小白丸消し/中細白線消し
ヒロイン:推定全員ローティーン
お相手:同級生もの1編&兄1編除けばオトナな男性
乳:つるぺた中心で、膨らみかけまで
陰毛:無し
性器形状:基本縦すじ開けばそこそこリアルながら、ちょい雑め
挿入描写:トーンの貼り方が上手い方ではないので質感リアルとまではいかず
カラミの手法:ぶつかり愛中心。半脱ぎもアリ。華奢な少女との体格差を活かした露骨魅せつけ体位も多め。裸同士のぶつかり愛はかなり良好。緊張感はアリ。情緒は良好。せっかくの純愛系は蝉みたいにしがみつくものが欲しかったけど。
フェチ要素:半脱ぎ・放尿・アナル・精飲・お掃除フェラ・父娘・兄妹・膣内オシッコ・巻末作の体操着ブルマも優・眼鏡っ娘2名など。乙女の符号は無し。
性行為の属性:強姦・純愛・肉便器という要素が主ですが、物語の中で属性は逆転したりします。
ハードコア度:★3の中
ぶつかり愛:★4の中
想いのエロース:★4の上
エロ作画力★3の上
エロ作画技法★3の中
エロのコマ展開力★4の中
総合エロ度:★3の上
作画力:★4の下
キャラデの魅力★4の上
心情描写力★5
展開力:★5
漫画力:★4の中
属性:ヒネクレハート・純愛・リスタート

作品評価:93点(★5)

宝物度:神

4冊目の成コミ(通算も4冊目)


兄は妹をイジめるもの(24頁)

兄は妹をイジめるもの

シッコを我慢しまくってやっと我が家に辿り着いた妹をホールドする、かな~りヤンチャでアブノな兄という図からはじまる、兄妹賛歌は、ファンタジーに健気な妹の、それでも兄を嫌いになれないキモチをふたりのエロ心にほんわか絡めて、雰囲気抜群のエロ空間を演出したのち、最後はポエムチックからギャグで落として、いったん幕。

妹は兄を求めるもの(24頁)

妹は兄を求めるもの

数年後。そんな兄にもカノジョができて、未練タラタラ欲求不満大爆発の妹は、一足先に分別を身につけてしまった兄に対抗すべく、変わらなきゃと決意し、「アナルだったらなかだししても何の問題もないし」と。あとはもう罪のない子供時代に戻ったように何も考えず、ただ想いの命ずるままにふたりはドロドロに溶けてゆくのでありました。前編部で使ったオチを抜群のファンタジーとして活かしたラスト3頁が、思いっきりシアワセ空間を演出してくれて、ミゴトと言うしかほかにありませんでしたが、「えっなになに?」って、それは読者のお楽しみということで、ぜひうっとりしてくださいませ。

Re Start(76頁)

Re Start

ワケアリで東京から引っ越してきた少女は、生まれて初めて友達ができて心うきうき気もそぞろ。春風満面で苦労をかけた大好きなパパに抱きついてホロリ。ルンルン気分でみんなで遊びにでかける彼女だったのですが、そこはハッチだからそのまま終わるワケありませんよね。友人達は万引きの常習犯で、折しもそのスーパーにはパパが勤めていて、相手は子供といえわずか一人に多勢に無勢では如何ともし難く、携帯で撮られながら強姦されるパパ。勇気が出せなくて言いなりになる彼女。そして…。さらに大きなドラマを一山つくって、そのまま流れで転がすのが普通なのですが、絶対に読者の思い通りにネタを転がしてくれないところがハッチの凄さ。というか真骨頂。巻末の作品解説に相方のZUKI樹からオチが変だと言われたとありますが、私はこのラストにベタ惚れです。でもハッチのリズムが解らない方にはヘンテコに映るかもですね。アナタノはあとニハナニガノコリマシタカ?

落ちてゆく人(24頁)

落ちてゆく人

上から水風船が落とされるところに居合わせてビショ濡れになる少女の図からはじまる悪意の連鎖。義父から性的虐待を受けるランドセル少女から次々に悪意は伝染してゆき、最初の頁にリフレインするラストシーンまで抜群すぎ。あとは見てのお楽しみということで。

深く深く私は眠る(30頁)

深く深く私は眠る

父親との甘やかな禁断の日々の記憶以外すべてを忘却し、意識はあるのにカラダは動かない、傍から見れば植物人間に成り果てた少女の目線で描かれたヒネクレハートな子守歌。ただ天上を見上げるだけの毎日に肉便器であることだけが唯一、生を実感できるという皮肉をこめて、自らの嫉妬が招いた身から出た錆からはじまった物語をまた、嫉妬によって結に繋げたシナリオ構成力も素晴らしいけど、安らかな痛みで括ったラストは著者後書きによれば私のイメージとは逆でしたが、まあ、読み方は自由ですし、好きなように捉えればいいんじゃないかと。

犬猿三人四脚(20頁)

犬猿三人四脚

犬猿の仲な男女生徒と、+1な男子生徒によるオバカチックな三人四脚。ラストの大バカ暴走ぶりがオミゴトで座布団三枚ですが、ラスゴマは見開きで大バカさを魅せびらかしてくれてれば十枚でしたね。

さて表紙を見ていただければお気づきの方も多いかと思いますが『オトナへの抵抗』以下の装丁まで完璧に『comic ino.』まんまです。皮肉にも雑誌の方は消滅してしまうのですが、ともあれタイトルとサブタイトルが著者の作風をそのままを表してくれてるので、細かいことは抜きにさせていただきます。

エロ作画的なことを言わせてもらうなら、挿入部の稜線の描き方がワリと粗いのとトーン貼りの妙を身につけてないことで、もう一歩のところで超エロエロになり損ねてる部分と、断面図のヘタさだけがちょい惜しくて、ハードコア技法的なものは若干まだ物足りなくもあるものの、たっぷりのフェチっ気と、エロへの踏み込みの強さと肉体同士のぶつかり愛と、すこぶる良好な展開力で、充分抜きツールとしても堪能できるレベルですが、シリアスもコメディーも絶妙な黒さで味付けた、想いのドラマで紡がれる抜群のストーリーテーリングこそが持ち味なので、決してエロ濃度だけでお薦めしたくはない作家様というのが本音です。

この作品集のほとんどは純粋な想いの成分で構成されています。だからこそ、そこには理想的という意味でのファンタジー性を黒く塗り込めるレベルの負のオーラが漂いまくっているワケですが、人のもつ邪な想いまで含めたところでの人間愛が形づくるドラマとして、あたりまえだけど人間は神様じゃないよ、ということをつくづく実感させてくれる一冊でした。

にしても今回は、ハッチとは思えないほどステキなオトナ(紳士とかいう意味ではございません)も登場してくれたのが、個人的にはとても感慨深かったです。

昔に比べると鬱成分は大幅に減少してるとはいえ、ズキはきっちり装備してますので苦手な方はご用心。

人の感情が紡ぎ出すドラマが超ステキですが、ドラマを際だたせる物語の妙こそをストーリー系エロ漫画ファンの方にはぜひ堪能していただきたい、稀代のヒネクレハートブレイカー発第4弾。

なお、この作品集が気に入った方はぜひとも残り3冊もゲットしてみて欲しいです。特に2冊目『スキャンダラスガール』は、痛み成分も鬱成分もてんこ盛りだけど、それがネックにならない方へなら滅茶お薦めだっりもするのです。

さすがに今回は全作品超大好きなのですが、あえて挙げるなら『落ちてゆく人』と『Re Start』が最愛。

エロ度★5レベルの特濃なヤツも無論ステキなんですが、こういう成年漫画に巡り逢いたいからこそ、片っ端から読み漁ってるのかもしれませんね。

裸と裸で男と女が奏で合う人間ドラマをぜひご賞味くださいまし。

関連:
ハッチ「comic ped.」 by 酒とエロ漫画の日々。
ハッチ『comic ped.』 by ヘドバンしながらエロ漫画!

theme : 成年コミック・マンガ
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天然猫肉汁アリス缶詰

Author:天然猫肉汁アリス缶詰
辞めると宣言しながら、突発的に雑記を書いてしまいましたが、これでお終いです。
今後はコメントおよび拍手コメントへの返礼以外の更新はございませんのでご理解いただきたく存じます。
短い間でしたがご愛読本当にありがとうございました。

天然猫肉汁アリス缶詰敬白

2009/5/22

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