さて今回お届けするのは、それぞれが独立した短編のオムニバスである、ハードSM純愛ドラマな表題作『正しい彼女の愛し方』第0話から第8話までに、インタールード的に挿入される、思いっきり突き放したところからリアルにたたきつけられる輪姦強姦劇『強姦』の第2話までを加えた全11構成の作品集です。
タコとかナマコとかロブスターとかアナゴとかナメクジとかヒルとかもアイテムとして登場します。
上述の内容で問題ない方のみ続きも読んでみてくださいまし。
それ以外の方には目の毒なので読まない方がよろしいかと。
くろ『正しい彼女の愛し方』 MOOG COMICS ジーウォーク ISBN978-4-86297-070-1 2008年11月5日発売
カバーは先に外してもだいじょぶですが、著者の5年にわたる作家人生のアレコレが詰まってますので、各自のご判断に委ねたいと思います。
消し:透過度10~50%の中細~中太網線消し
ヒロイン:推定ハイミドルティーン4名・ハイティーン4名・二十代前半1名・二十代後半2名。
お相手:年上だったり同い年だったり年下だったりいろいろ。
乳:巨乳
陰毛:2名除けば無毛
性器形状:男女ともにリアル型ながら男根の形状はちょっとヘンテコ。昔ほどではないけど。
挿入描写:トーンはきっちり貼ってて粘着質ではあるけど美麗までは届かず。
射精形態:基本は膣内(アナル内もアリ)で強姦シーンのみぶっかけアリ。
カラミの手法:基本は萌えエロ手法でぶつかり愛も少々ながら男性はチャック開けるだけ。
萌フェチ:ボンテージ・乳首にチェリーが優・緊縛・半脱ぎなど
軽フェチ:フェラチオ
濃フェチ:
高次元フェチ:アナル・二穴・二本挿し・精飲・ぶっかけ・露出・放置プレイ・ピアッシング・針・タコ・ロブスター・アナゴ・ナメクジ・ヒル・蝋燭・鉄アレイ・ゴーヤ・和辛子・野球のボールなど
性行為の属性:SM純愛・輪姦強姦
乙女の符号:3名
ハードコア度:★4の中
ぶつかり愛:★2の上
想いのエロース:★4の上
エロ作画力:★3の上
エロ作画技法:★2の上
エロのコマ展開力:★3の下
総合エロ度:★3の中
作画力:★4の下
キャラデの魅力:★4の下(男性キャラは★4の中)
心情描写力:★5
漫画展開力:★4の上
漫画のコマ展開力:★3の下
総合漫画力:★3の上
属性:ハードSM純愛・底冷え輪姦強姦地獄
作品評価:89点(★4の特上)
宝物度:宇宙
3冊目の成コミ(通算も3冊目)
正しい彼女の愛し方 scene0(カラー4頁含む18頁)
男子生徒たちに強姦輪姦される女生徒と、彼女を慕いながらも、それを黙認するどころか隠れて覗きながら自慰している男子生徒の図からはじまる物語は、その後ふたりが恋人関係になり初めてのえっちをするシーンを展開させることに終始するのですが、過去のシーンを挿入しながらふたりが自分の性癖に覚醒してゆく姿がコマ単位できっちり描かれていて、軽SM行為にハマってゆく物語は、単行本のテーマに引きずり込むプロローグとして、構成上とても好かったです。反面、カラー4頁で魅せたことの繰り返しになってしまったため、頁的ボリューム不足でドラマの厚みはもう一歩なのと、えっち突入後はSM風味がほとんど活かされてないのが惜しいです。また、過去シーンをコマの角を丸くすることによって区別してるところは、一目瞭然に判断できる工夫が欲しかったところ。たとえばフォトスナップ風にするとかビデオ映像的にするとかコマ自体を大胆にデフォルメしたり揺れゴマにするとかいろいろ手段はあったと思うのですが。ともあれ、本編のハードSM編突入前のウォーミングアップ的役割は充分果たしています。
正しい彼女の愛し方 scene1(16頁)
かなりクールな男子生徒に授業中バイブ調教される幼馴染みの女生徒の図からはじまる物語は、クリトリス催淫剤注射な緊縛プレイを皮切りに針灸針クリ&乳首刺しのままのセックスへと移行するというハードSMが展開されるのですが、Sな男とMな女の心情こそで作品を構成していて、ラストまで納得のデキ。緊縛手法についてはもっと勉強してくれと言いたいですが、当時粗めだった緊縛も現在では縄目まできっちり描けるレベルまで成長してるため、文句は言えません。ともあれSMカップルのキモチの空間力が心地よく、雰囲気抜群の物語に仕上がってて、とてもステキ。
正しい彼女の愛し方 scene2(16頁)
釣り好きな旦那様が生憎のボウズで生きた食材を買ってきたところからはじまる、新婚7ヶ月目夫婦の、新たな性癖への目覚めを描いた物語は、好奇心からタコを素肌に巻き付けちゃったら恍惚が止まらなくなっちゃう奥様のM堕ちから、あとはもう旦那様もノリノリに、ロブスター・アナゴと投入しまくり、サポート精神ももよろしく、シアワセを垂れ流し、事後のラストも甘ったるくて、愛情たっぷりの空間が、たいへん美味しゅうございました。
正しい彼女の愛し方 scene3(16頁)
付き合い始めて三ヶ月、青年が2つ年上のカノジョと初めて入ったラブホがSM専用で、そのままのノリでボンデージからSMゴッコがはじまり、過激に快楽を享受するカノジョに引っぱられるかたちでハードプレイへと移行して、テンポよろしく流れのままにシアワセ空間を演出しつつ幕。作劇的にはちょっぴりラブコメ風味で、流れとして特に気になる面もなかったものの、突き抜けたものも感じなかったのは、ヒロイン方面のシリアスな心情をほとんど投影せず青年目線のみで物語を紡いだからかもしれませんね。著者の描く男性自体がどうしても夢見るオンナノコ目線なファンタジー像的存在なので、三人称語りやヒロインを一人称で語った作品より若干リアリティーが損なわれるベクトルもはらんでいる作風ですから、そこは致し方ないところでしょう。ただし中盤のメインである失神シーンは、コマの切り方次第で相当レベルのインパクトをつくれたはずなのに、肝心要のところが作画として欠落してるのは勿体ない限り。9頁目のラスゴマの後に、堕ちる瞬間の顔アップ3コマ程度と失神直前の痙攣と、失神直後の弛緩した瞬間の失禁まで大ゴマで描ければ相当なご馳走レベルになってたはずなので、ちょっと勿体なかったですね。さらに言わせてもらえば、完全逆さ宙吊りの方が迫力はあったと思いますが、全盛期の『桃山ジロウ』と比べるとオーソドックスプレイでの緊迫感はもうひとつ。まあ、あちらは同じSMでも属性は別物ですけど。ともあれ、SMメインでラストに交合ってのはスタイルとしては似合ってると思いますし、3頁程度でもふたりの熱い抱擁が魅せつけられれば華になる作風かと。
正しい彼女の愛し方 scene4(16頁)
真性ドSで超アブノな生物学教師とカレに焦がれる女生徒のSMドラマは、睡眠薬使用による緊縛拘束から搾乳器を使った乳首&クリ怒濤の攻めまくりから、ナメクジ・ヒルも大量投下するいう、ひたすら凌辱風味の展開に終始し、本来焦がれていたカノジョの立場からすれば浪漫チックの欠片もない喪失劇としか映りませんが、愛あるSMの紡ぎ手としては?を付けたくなる黒い流れも実は、最終頁のミゴトなオチを魅せつけられては、綿密につくられたSM劇演出の一形態だったのかと、唸るしかなかったですよ、な脱帽クラス。2度続けて読むと解り易いタイプの作品です。イメージ的にはウブっ娘にみえる彼女に破瓜がなかったことだけが個人的には残念でしたけど。
強姦1 加藤菜美 19才(16頁)
カラオケ喫茶の女性店員にドラッグを決めた青年たちの容赦なき輪姦強姦。肉体以上に心はズタボロなトラウマレベルの逸品。男性陣の無味乾燥ぶりこそが作品を彩っていてミゴトすぎました。
正しい彼女の愛し方 scene5(16頁)
万引き女生徒は青年店長の幼馴染みで、バッグから出てきたものは、麻縄・和辛子・玉子・ズッキーニ・ゴーヤということで、あとは想像してくださいませ。アイデア自体はチープだけど、プレイは相当にハードな愛あるSM。
正しい彼女の愛し方 scene6(16頁)
ドMな女生徒と4つ年上なオタクSな青年の、携帯サイトで知り合って、そのまま即行処女強姦ハードSM純愛物語。お互いが認識すれば和姦でも強姦として成立しうるという、実に素晴らしい純愛ドラマです。サディストとマゾヒストは惹かれ合うよう定められているというDNAレベルの逸品。
正しい彼女の愛し方 scene7(16頁)
ドMな女性と6つ年下な青年の野外露出系ハード調教劇。彼女が若い子をパートナーに選んだのにはワケがあります。人としての人格を備えたオトナの男は彼女をモノとして扱ってくれないから。彼女は友達にカワイソウだと言われます。なぜならカレシにアイサレテナイから、と。そんな彼女はこう思ってます「私がカレのこと2倍アイシテルから量的には同じ」。これは、そんな乱暴なパートナーを得てシアワセまみれなオンナノコのキモチと、彼女の良きパートナーを務めるため冷酷な若者を演じつづけるオトコノコのお話です。
アナタノはあとニハナニガノコリマシタカ。
強姦2 沢村綾香 18歳(16頁)
男子生徒たちによる女生徒への容赦なき輪姦強姦。肉体以上に心はズタボロなトラウマレベルの逸品。男性陣の無味乾燥ぶりこそが作品を彩っていてミゴトすぎるというところまではまったく同じだけど、『強姦 第1話 加藤菜美 19才』をあらゆる面で凌駕する残酷さ。顔をボコボコにされても気丈に抵抗をつづけた、さしもの彼女も煙草の火を見せつけられては自らを棄てて、穴に徹するしかほかになかった無常地獄は完全マグロ状態に陥るまで延々とつづき、驚愕の暴力がさらなる追い打ちをかけ幕を閉じます。狂犬に噛まれるとはまさにこのことでしょうか。日常に無造作に配置された闇がコワイデス。思いっきり突き放したところから淡々と描かれる悲哀が凄まじくミゴトです。
アナタノはあとニハナニガノコリマシタカ。沢村綾香にいつの日かトラウマを消し去るレベルのシアワセが訪れますように。
正しい彼女の愛し方 scene8(16頁)
軽SM風味のラブコメ。とてもツマラナイです。
著者プログに
SM初心者でも「引かないエロ」・・・・・・いわば「入門編」みたいな感じで描いた作品だったんですね。担当編集氏も私も「これならみんな引かないで付いてこれるはず!!」とか、割と自信持ってたんですが、コチラも大きな誤算デシタ・・・・・orz
という記述がありますが、ここまでせっかくシリアスな想いのドラマを組み立ててきた積み重ねが一気に崩壊するほどゆるさで、フィナーレがこれではとても締まりが悪いです。引き込みならせめて巻頭にもっていって欲しかったですし、もしこれから読まれる方へなら、最初に読んじゃうことをお薦めします。それにしても、感動こそを期待したシリアスドラマの最終話がユルユルだったら白けるでしょうに…。まあ、今更仕方ないけど、おかげで★5が添てませんでした(涙)。
でも単体としてなら充分楽しめる内容で、皮被りクリを引っ張り出すっていうテーマがおもしろい、愛あるSMの一形態。
さて、『正しい彼女の愛し方』の方は、全作品、変態的性行為を楽しむカップルのお話で、大概の場合はS心とM心が合致し、
SMというジャンルの本来あるべき姿を明確に提示してくれていて素晴らしすぎました。ボンデージ・緊縛・針・蛸・ロブスター・アナゴ・拘束具・蝋燭・搾乳器・ナメクジ・ゴーヤ・ピアスなどが主に大活躍するハードSM劇が大半ですが、露出調教をかましたものも少々。ラスト1編のゆるさはともあれ、何れも想いのドラマをきっちりつくりあげ、単なるハードプレイで終わらない、男女の愛ある愛SMドラマに仕上げた手腕には、脱帽、というまえに感動してました。
一方、『強姦』の方は、思いっきり突き放したところからリアルに描かれた輪姦強姦劇が、痛々しいほどミゴトで、男優陣の『単純に繰り返される日々への反抗』的な、他人などゴミ程度にしか思わない、乾きまくった感性が、ちょっと『花村満月』的なサムコワサを増長させ、そこにある悲哀をよりいっそうクローズアップさせ、
もう人生取り返しがつかないんじゃないかというレベルのトラウマさえ提供してくれるほどのリアリティーをたたきつけ、読み手の胸にグサリと杭を打ち込んでくれること請け合いです。ヒロインたちの今後の人生に何だかの救済があって欲しいと願わずにはいられないほど、胸を打つドラマでした。
そんな『変態的純愛』と『リアル強姦』という異なる作品性が違和感なく調和してる芸風です。
それは多分に著者に潜在するマゾヒズムへの憧憬やら渇望やらがもたらすところが大きいんじゃないかと個人的には身勝手に解釈してますが、男性の目からではなく女性的観点で捉えれば、すべてが『ボロボロのグチャグチャにしてもらいたいM願望』というところに帰結するんじゃないかな、と。
ともあれ、作劇面では第0話の漫画技法不足による構成難と正しい彼女の愛し方第8話のずっこけレベルなゆるさを除けば物語的には満点でしたが、作画面およびコマ展開方面では、かなり甘め残り。
特に、『愛あるSMなのにチャック開けるだけ』なのは何とかして欲しいところですね。
『表情の種類不足』とか『断面図ドヘタ』とか『出血に嘆美不足』とか『トーンワーク甘い』とか『ポージングに美意識不足』とか『尺顔がもう一歩』とか『下着や衣装にもっとこだわりを』とか『男性の身体を省きすぎ』とか、細かい点ならいろいろあるのですが、でもどれも克服できるものばかりなので、さらなる飛躍を期待。
と、単行本発売日に某所で書いたのですが、
今月号のムーグを観て、ちょっと震えました。『強姦3 神尾舞 19才』(月刊コミックムーグ1月号収録・ムーグはコミックプラムにリニューアルされるため最終号)
上述内容のいくつかはすでに改善の方向性がきっちりと作画として現れていて、
著者プログで、
プロット通って、ネームを描き出したのデスガ、途中で話に破綻をきたし、久しぶりに自分で全没にシマシタ。話考え直さなきゃ・・・・・・orz
というコメントを見かけたときから期待してたとおり、真剣勝負で未来に向かって爆進してくれてるみたいで、今後1作ごとの成長を見届けるのが楽しみでなりません。
さらにっ青イソメが素晴らしすぎ♪♪ただし18頁という分量は、見開きによるインパクトや、情景描写による味付けや、たたみかける連続性による性行為の迫力増大化というところまで詰めこむにはドラマ的に困難であり、何とか一日でも早く24頁程度もらえる人気だけは身につけて欲しいところ。
正直、2冊目を所持していながらまったく思い出せなかった私ですが、そういう作家様の眠っている才能を引き出して開花させたムーグ様には、ただただ脱帽。
カバー内の【ココマデ辿リツイテクレタアナタヘ】にある担当者様が、実は編集長様だったという件を見つけたときは、ちょっとシビレましたが、ともあれ、剥き身のM願望で迫る永遠夢見るオンナノコな腐女子魂・男女の心情描写・テーマに齟齬のない展開力が抜群な、マゾヒズムにまつわる性をドラマとて扱った大人向け漫画として、本当の意味でのSMに興味のある貴殿貴女へ、二次元M願望がある貴女へ、二次元S願望がある貴殿へ、性を謳ったハードドラマをこよなく愛する大人な漫画ファンな皆様方に、ぜひ手にとってみてくださいませ、と心から叫びたい私です。
最後に、この稚拙で長ったらしい文章に最後まで付き合ってくださった貴殿貴女に百万の感謝を。
あくまでも私の駄文は補足でしかありませんので、できれば文面より、身勝手にスキャンさせていただいてます画像の裡に秘められた、著者の魂の叫びこそを、いちばんの参考にしていただけましたら幸いです。
エチゼンクラゲトタワムケラレタライイデスネ♪
関連:
くろ『正しい彼女の愛し方』 by ヘドバンしながらエロ漫画!
theme : 成年コミック・マンガ
genre : アダルト